バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)、眼内炎のまとめ

バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)、眼内炎のまとめ

バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)は細菌の細胞壁合成を阻害して、MRSAやMRSEなどに適応をもつため、MRSAやMRSEの術後眼内炎に使われる

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バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)、眼内炎のまとめ

由来

  • 有効成分の一般名による

 

覚えやすい

 

特徴

  • MRSA又はMRSEに起因する眼感染症の治療に有効である

 

バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)は、グリコペプチド系に分類される。細菌の細胞壁の合成を阻害するのが主な作用機序である。

 

細菌の細胞壁はペプチドグリカンからなるが、ペプチドグリカンが作られるにもいくつか過程がある。

 

 

おおざっぱに言うと、N-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンという成分が結合して1本の鎖のようなものを作っている。その1本の鎖どうしを、トランスペプチダーゼと呼ばれる酵素が、ペプチド鎖をくっつけることによって、より強固なつなぎをつくる。1本の鎖どうしを網の目にするようなイメージだ。これによってペプチドグリカンがつくられる。

 

 

バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)はN-アセチルムラミン酸の末端であるD-Ala-D-Alaに結合することによって、細胞壁の合成を阻害する。

 

MRSAはMethicillin-Resistant Staphylococcus aureusの略で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌と訳される。その名の通り、メチシリンなどの抗生剤に耐性を持っている黄色ブドウ球菌である。

 

一方でMRSEはMethicillin-Resistant Staphylococcus epidermidisの略で、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌と訳される。MRSEとMRSAの違いは、コアグラーゼと呼ばれる血漿を凝固させる酵素を作るかどうかが違う。

 

バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)はMRSAやMRSEにも適応がある。

 

用法用量

  • 適量を1日4回塗布

 

耐性菌の発現を防ぐために投与期間は、14日間以内を目安とされている。

 

重大な副作用

  • ショック、アナフィラキシー、角膜障害

 

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経験したこと

バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)に関連して眼内炎についてまとめておく

 

眼内は無菌であるが、何らかの原因で眼内に細菌や真菌が入り込むと眼内炎を起こす。眼内炎の原因には以下のようなものがある

 

  • 内因性眼内炎;中心静脈栄養をしているなど免疫力が低下している患者などが体内の血管を介して感染
  • 術後眼内炎;手術時の創口から感染

 

術後眼内炎では、健常者でも日常的に検出される黄色ブドウ球菌、腸球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、アクネ菌などが代表例であり、眼科の手術においては防がなくてはならない。そのため、点眼薬は治療というよりも予防するために点眼して菌を減らすことで眼内炎のリスクを下げていく。よく使われるものには以下のようなものがある。

 

  • ニューキノロン系;多くの菌に効果があり組織移行性が高い。ベガモックス点眼(モキシフロキサシン)、ガチフロ点眼(ガチフロキサシン)、クラビット点眼(レボフロキサシン)、トスフロ点眼(トスフロキサシン)、タリビッド眼軟膏(オフロキサシン)など
  • セフェム系;黄色ブドウ球菌などのグラム陽性球菌に。ベストロン点眼(セフメノキシム)
  • グリコペプチド系;MRSAやMRSEに。バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)

 

眼内炎の症状は眼痛、充血、視力低下、飛蚊症などがあり、重症の場合は失明する場合もある。

 

まとめ

  • バンコマイシン眼軟膏(バンコマイシン)は細菌の細胞壁合成を阻害して、MRSAやMRSEなどに適応をもつ
  • 術後眼内炎は予防的に点眼薬が使われる。

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