プロトピック(タクロリムス)、アトピー性皮膚炎のまとめ

プロトピック(タクロリムス)、アトピー性皮膚炎のまとめ

プロトピック(タクロリムス)はアトピー性皮膚炎に使われ、特徴的な副作用に刺激感があるが、炎症が治まると比較的軽度になる。プロトピック(タクロリムス)0.1%製剤は塗布量にも注意が必要。

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プロトピック(タクロリムス)、アトピー性皮膚炎のまとめ

由来

  • Prograf(タクロリムス水和物のカプセル剤・顆粒剤及び注射剤の商標)の「Pro」と、Topical 及び Atopic Dermatitis の「topic」を組み合わせた

 

プログラフが関わっているとは!!

 

特徴

  • 顔面・頸部のアトピー性皮膚炎に対して、medium クラスのステロイド外用剤と比較して効果発現が早く、有意に高い改善効果を示した。
  • 躯幹・四肢のアトピー性皮膚炎に対して、strongクラスのステロイド外用剤と同等の治療効果を示した。
  • アトピー性皮膚炎患者において、QOLの改善が認められた。

 

プロトピック(タクロリムス)はステロイド外用薬と比べて、皮膚委縮や血管拡張などの副作用はなく、リバウンド現象も起こさないため、顔にも使える。しかし、プロトピック(タクロリムス)の特徴的な副作用に、ほてり感、かゆみ、ピリピリ感などの刺激感が生じやすい。

 

 

このプロトピック(タクロリムス)の刺激感の副作用は炎症があると生じやすく、炎症が治まると比較的軽度になる。そのためプロトピック(タクロリムス)を使い始める前に、強めのステロイドを短期間使い炎症を抑えてから、プロトピック(タクロリムス)に切り替えるという方法がある。また他にもプロトピック(タクロリムス)を冷やしておいたり、保湿剤の上にプロトピック(タクロリムス)を重ね塗りすることで刺激感を軽減できる可能性がある。

 

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用法用量

  • 成人には1日1〜2 回、適量を患部に塗布。1回あたりの塗布量は5gまで

 

プロトピック(タクロリムス)0.1%製剤の塗布量は体に塗布する場合、チューブから押し出した1cm分で10cm四方目安となる。顔に塗布する場合は米粒大で直径5cmが目安となる。

 

 

経験したこと

プロトピック(タクロリムス)とともに、アトピー性皮膚炎について勉強したのでまとめておく。

 

アトピー性皮膚炎は重症度に応じて寛解導入療法を行い、以下のような治療が標準となる。軽快後は寛解維持療法を行う。これによって病態をコントロールすることが目標となる。アトピー性皮膚炎では以下の湿疹病変の重症度に加えて、かゆみの評価、血清TARC、血清LDH、好酸球数などで治療の評価を行う。

 

軽症(面積に関わらず軽度の皮疹のみ)
  • 保湿薬、保護薬の外用が基本
  • 湿疹病変や、かゆみが生じたときなどにマイルド以下のステロイド外用薬を使用

 

中等症(強い炎症を伴う皮疹;体表面積の10%未満)
  • 2歳未満ではミディアム以下のステロイド外用薬を使い、プロトピック(タクロリムス)は使わない。
  • 2〜12歳ではストロング以下のステロイド外用薬を使い、プロトピック(タクロリムス)は0.03%の小児用を使用。
  • 13〜15歳ではベリーストロング以下のステロイド外用薬を使い、プロトピック(タクロリムス)は0.03%の小児用を使用。
  • 16歳以上ではベリーストロング以下のステロイド外用薬を使い、プロトピック(タクロリムス)は0.1%を使用。

 

重症(強い炎症を伴う皮疹;体表面積の10〜30%)
  • 中等症とほぼ同じだが、ステロイド外用薬は2歳未満でもストロング以下を用い、2〜12歳でもベリーストロング以下を用いる。

 

最重症(強い炎症を伴う皮疹;体表面積の30%以上)
  • 原則として一次入院が望ましい
  • 必要に応じて、ネオーラル(シクロスポリン)内服や、ステロイド内服治療などを行う

 

既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
  • ネオーラル(シクロスポリン)内服や、デュピクセント(デュピルマブ)の使用の検討

 

寛解維持療法

紅斑や鱗屑、かゆみなども落ち着き、色素沈着が主体となってきたら寛解維持療法を行う。寛解維持療法としてはプロアクティブ療法が基本となる。プロアクティブ療法は再燃を繰り返す皮疹に対して寛解導入療法後、保湿剤によるスキンケアに加えてステロイド外用薬やプロトピック(タクロリムス)を間歇的に塗布して、寛解状態を維持する治療法。

 

プロアクティブ療法の例としては、寛解導入後、隔日外用などを経てから、週2回外用というように段階的に減らすといった具合で行う。外用の範囲は患者にこれまで炎症のあった全ての部位に広範囲に外用するように指示する。また外用量としては、寛解導入時より少なめで指示する。

 

 

その他
  • 皮膚のバリア機能を高めるためにも保湿の継続は重要
  • ダニやホコリなど環境因子が原因となることもあるので、室内の清掃も必要
  • かき壊さないように爪はまめに切る
  • 皮膚への刺激となるため、強く擦るように汗や水分は拭き取らない
  • 石鹸やシャンプー、リンスなどは残ると刺激となることがあるので、よくすすぎ落す
  • 高温のお湯はかゆみを増やすので避ける

 

まとめ

  • プロトピック(タクロリムス)の特徴的な副作用に刺激感があるが、炎症が治まると比較的軽度になる。
  • プロトピック(タクロリムス)0.1%製剤の塗布量は体に塗布する場合、チューブから押し出した1cm分で10?目安となる。顔に塗布する場合は米粒大で直径5cmが目安となる。

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