ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)、流産とウテメリンとの違い

ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)、流産とウテメリンとの違い

ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)は、抗コリン作用によって、内科と産婦人科で使われます。産婦人科としては流産や早産に使われ、ウテメリンとの違いとしては、禁忌、作用機序、注射の有無などがあげられます。

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ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)、流産とウテメリンとの違い

由来

  • 特になし

 

特徴

  • 腹部の疼痛を速やかに改善。
  • 自律神経系を介さず、消化管平滑筋に直接作用し、鎮痙作用を示す。
  • 胃排出能には影響しない。
  • 特異な子宮収縮緩和作用がある。(子宮体部に対しては強力であるが、頚管に対しては弱い。)
  • ホルモン剤ではないため、内分泌障害はない。

 

ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)は、内科領域や産婦人科領域で使われるが、作用機序としては、抗コリン薬に分類される。

 

胃や腸の消化管にはM3受容体があり、そこにアセチルコリンがくっつくと、筋肉が収縮し、痛みなどが起こってしまう。ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)は、M3受容体を遮断することで、アセチルコリンがくっつけなくなり、これらの症状を緩和する。

 

 

同じく産婦人科領域では、子宮平滑筋にM3受容体があり、アセチルコリンがくっつくと収縮が起こってしまう。分娩時期でもないのに、収縮が起こってしまうと、流産や早産のリスクが高くなってしまう。ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)は子宮平滑筋においても、同じようにM3受容体を遮断し、子宮平滑筋を弛緩させる。

 

用法用量

  • 成人1日150〜200mgを3〜4回に分割。 適宜増減。

 

重大な副作用

  • 肝機能障害、黄疸

 

経験したこと

前回の、フォリアミン(葉酸)、添付文書の使い方では過剰摂取!?に続き、妊娠の続きである。

 

子宮が出血しているということで、アドナとダクチル(ピペリドレート塩酸塩)が処方された。当院も産婦人科があり、採用医薬品であるため、まとめておこうと思う。

 

まずウテメリンとの違いであるが、主に3つあげられる。

 

  • 禁忌の違い
  • 作用機序
  • 注射の有無

 

禁忌の違い

ウテメリンは添付文書上では、妊娠16週未満の患者は禁忌となっている。これは安全性と有効性が確立されていないという理由による。それに対して、ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)は16週未満でも禁忌となっていない。

 

 

よって、当院では、16週未満ではダクチル(ピペリドレート塩酸塩)、16週以降だとウテメリンのことがほとんどである。

 

作用機序

ウテメリンはβ2受容体を刺激して、子宮を弛緩させる。これに対して、ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)はM3受容体を遮断することによって子宮を弛緩させる。

 

 

ウテメリンは一応β2刺激薬であるが、β1も刺激する可能性があり、患者によってはたまに動悸を起こしたり、アレルギーを起こしたりする患者がいる。ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)はもちろんβの作用は無いため、そういった心配はない。

 

なお注射の話になってしまうが、そういった場合はウテメリン注から、マグセント注に切り替えられることが当院では多い。

 

注射の有無

今までの流れでいくと、ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)の方がよさそうに思えてしまうが、現時点ではダクチル(ピペリドレート塩酸塩)は注射薬がない。緊急入院してくる人は基本的には注射でコントロールをつけてから、内服に切り替えて退院という形になるので、注射と内服両方あるウテメリンは切り替えがしやすい。

 

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流産

定義的なものとしては、妊娠22週未満の妊娠の中絶を流産と呼ぶ。流産の可能性のある症状としては、性器出血や下腹部痛がある。

 

 

大きく5つにわけられる。

 

  • 切迫流産
  • 進行流産
  • 完全流産
  • 不全流産
  • 稽留流産

 

切迫流産

胎児の心拍動はあり、妊娠の継続は可能。性器出血や下腹部痛がある。

 

ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)をはじめとした子宮収縮抑制薬の適応。

 

進行流産

胎児がなく、胎児があったとしても心拍動は無い。妊娠の継続は不可。性器出血や下腹部痛がある。

 

子宮内容除去術となる。

 

完全流産

胎児とその付属物が完全に出てしまっている。妊娠の継続は不可。性器出血や下腹部痛が改善する。

 

子宮は自然に復古する。

 

不全流産

胎児や付属物などが一部しか出ていない。妊娠の継続は不可。性器出血や下腹部痛がある。

 

子宮内容除去術となる。

 

稽留流産

胎児が子宮内で死亡している。妊娠の継続は不可。無症状。ちなみに「けいりゅうりゅうざん」と呼ぶ。

 

子宮内容除去術となる。

 

赤ちゃんが流産しませんように。

 

まとめ

  • ダクチル(ピペリドレート塩酸塩)は、抗コリン作用によって、内科領域と産婦人科領域に使われる。
  • ウテメリンとの違いとして、禁忌、作用機序、注射の有無などがあげられる。

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