トラゼンタ(リナグリプチン)、胆汁排泄型のDPP-4

トラゼンタ(リナグリプチン)、胆汁排泄型のDPP-4

トラゼンタ(リナグリプチン)は胆汁排泄型のDPP-4阻害薬である。高齢者は腎機能や肝機能が低下しているため、そのような患者にはトラゼンタが選択肢となるだろう。

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トラゼンタ(リナグリプチン)、胆汁排泄型のDPP-4

由来

  • とくになし

 

由来も何かあれば、かなり好印象だった。特徴が印象的であるのに、由来がないのは非常にもったいない。

 

特徴

  • 主に胆汁排泄であるため、腎機能、肝機能に関わらず投与可能
  • 1日1回でよい。

 

トラゼンタ(リナグリプチン)の作用機序は、DPP-4(dipeptidyl peptidase W);ジペプチジルペプチダーゼ4を阻害することである。DPP-4とはなんなのか?それを説明するにあたって、関連するキーワードがもう1つある。それがインクレチンである。まずインクレチンからみてみる。

 

インクレチンとはいわゆるホルモンの一種である。血糖値が上昇すると主に小腸から分泌される。インクレチンには、GLP-1(glucagon-like peptide-1);グルカゴン様ペプチド1やGIP(glucose-dependent insulino-tropic polypeptide);グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドなどの種類がある。これらの働きとして、インスリン分泌促進作用グルカゴン濃度低下作用を増強するなどの作用がある。

 

 

良いことばかりのインクレチンであるが、これはあるものによって分解されてしまう。それがDPP-4なのである。トラゼンタ(リナグリプチン)の作用は、DPP-4を阻害することによってインクレチンの分解を防ぐ。よって先ほどのインクレチンの効果が得られて、血糖コントロールが得られるといったメカニズムだ。

 

 

他のDPP-4は主に腎排泄である。それに対して、トラゼンタ(リナグリプチン)は胆汁排泄なので、特に腎機能が悪い患者にはトラゼンタ(リナグリプチン)を使い分けとして提案できるだろう。

 

用法用量

  • 1日1回5mg

 

適宜増減などもついておらず、1日1回5mgを覚えておけば間違いない。非常に覚えやすい。

 

重大な副作用

低血糖症、腸閉塞、肝機能障害など。

 

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経験したことなど

トラゼンタ(リナグリプチン)の勉強会をした。薬価収載は2011年9月と結構時間が経っている。DPP4が各社から出ていて、各社アピールをしているが、決定打に欠けるところが多かった。

 

DPP-4どうしのHbA1cの下がり具合を比べたものを見せてもらったが、どれも下がっており有意差はみられなかった。つまり効果は、どの会社のDPP-4でも、そんなに変わらないのである。

 

そうなると、効果ではなく別の何かでアピールする必要がある。トラゼンタ(リナグリプチン)は、排泄経路が特徴的で、胆汁排泄となる。他のDPP-4は腎排泄であるため、大きな違いである。

 

メーカーいわく、高齢者(65歳以上)は肝機能や腎機能が低下している可能性が高いため、使えるのではないかと言っていた。
透析の先生も言っていたが、透析業界ではトラゼンタは第一で考えられるのだそう。他が腎排泄なだけあって、透析などの腎機能が悪い患者でも使えるとなると、医師の方からみても大きな魅力だろう。

 

高齢者で腎機能が悪い症例は、結構な確率で遭遇する。そのため、トラゼンタ(リナグリプチン)を提案するようなケースはあるのではないかと思う。もしDPP-4について知っていない医師で、提案できる機会があれば、提案してみたいと思った。

 

 

まとめ

  • トラゼンタ(リナグリプチン)は胆汁排泄であるため、腎機能や肝機能が低下した高齢者に使いやすい。

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