ラピアクタ(ペラミビル)、点滴静注のインフルエンザ治療薬

ラピアクタ(ペラミビル)、点滴静注のインフルエンザ治療薬

ラピアクタ(ペラミビル)はノイラミニダーゼを阻害して、インフルエンザを治療する薬である。点滴静注で使われ、内服困難や吸入困難のインフルエンザ患者に使われる。

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ラピアクタ(ペラミビル)、点滴静注のインフルエンザ治療薬

由来

  • Rapid(迅速な)+ActionよりRapiacta

 

成分名や効能につなげることは難しい。

 

特徴

  • 1回の点滴静注でA型、B型インフルエンザに対して優れた有効性が期待できる。
  • 点滴静注のため、内服や吸入困難の患者にも投与が可能。
  • A型およびB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを阻害する。ノイラミニダーゼに結合した後は容易に解離することなく長時間にわたってノイラミニダーゼ活性を阻害する。

 

ラピアクタ(ペラミビル)の作用機序は、ノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる。

 

インフルエンザウイルスが増えるには、細胞への吸着→侵入→脱殻→複製(転写)→出芽→放出といった過程が必要になる。治療のターゲットとしては、どこかの過程を止めて、インフルエンザウイルスが増えないようにすればよい。

 

 

インフルエンザウイルスの形は、海にいる、うにをイメージしてもらいたい。本体の周りに棘が出ているイメージである。

 

インフルエンザウイルスが細胞に吸着するには、インフルエンザウイルス表面から出ているヘマグルチニンという棘のような突起物を介して細胞にくっつくことが必要である。そして先ほどの過程を経て新しいインフルエンザウイルスが細胞表面に出芽される。

 

新しいインフルエンザウイルスも細胞表面にヘマグルチニンを介してくっついている。このままだと最後の放出が出来ず、インフルエンザウイルスにとっては増えることが出来なくなってしまう。そこで、インフルエンザウイルスはノイラミニダーゼと呼ばれるはさみのようなもので、ヘマグルチニンを細胞表面から切り離す。これによって、新しいインフルエンザウイルスを放出するのである。

 

 

前置きが長くなったが、ラピアクタ(ペラミビル)はノイラミニダーゼを阻害することによって、新しいインフルエンザウイルスの遊離を抑制する。A型とB型インフルエンザウイルスはノイラミニダーゼを持つが、C型インフルエンザウイルスはノイラミニダーゼを持たないため、ラピアクタ(ペラミビル)は効果がない。

 

成人患者を対象とした試験では、ラピアクタ(ペラミビル)投与から平熱(37.0℃未満)に戻るまでの時間は300mg投与群で32.8時間だった。小児の試験においてはラピアクタ(ペラミビル)投与から平熱(37.5℃未満)に戻るまでの時間は20.4時間だった。よって2日以内には回復が見込める。

 

用法用量

  • 成人;300mgを15分以上かけて単回点滴静注。合併症などにより重症化するおそれがある場合は600mgを15分以上かけて点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与できる。適宜増減。
  • 小児;1日1回10mg/kgを15分以上かけて単回点滴静注するが、症状に応じて連日反復投与できる。上限は1回600mgまで。

 

他のタミフル(オセルタミビル)などと違って、ラピアクタ(ペラミビル)は予防投与の使い方はなく、治療でしか使えない。ラピアクタ(ペラミビル)は腎機能障害のある患者では高い血中濃度を示すため適宜調節する。なお小児の腎機能障害患者の使用経験はない。

 

  • 50≦cCr;1回300mg。重症化するおそれがある場合600mg
  • 30≦cCr<50;1回100mg。重症化するおそれがある場合200mg
  • 10≦cCr<30;1回50mg。重症化するおそれがある場合100mg

 

重症化するおそれがある場合は倍量いくというイメージだ。そして3日以上の反復投与の症例は限られている。よって投与しても2日くらいまでだろう。ここで言う2日目投与の基準としては以下のようになっている。

 

  • 成人;37.5℃以上の場合
  • 小児;38℃以上又は医師が投与必要と判断した場合

 

2日目投与する場合は、少なくとも1日目投与から12時間はあけてから投与する。

 

症状発現から48時間経過後は有効性を裏付けるデータは得られていない。通常インフルエンザは1週間くらいで回復するが、わかり次第投与することで早めの回復が見込める。

 

重大な副作用

  • ショック、白血球減少、好中球減少、肝機能障害、黄疸

 

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経験したこと

院内のインフルエンザA陽性の患者に対して、ラピアクタ(ペラミビル)が出た。そして、病棟から、至急で薬を上げてほしいと電話が来た。

 

カルテを見ると、この患者は、すでにタミフル(オセルタミビル)が処方されていた。カルテを読むとタミフル(オセルタミビル)内服拒否のためラピアクタ(ペラミビル)を処方したようだった。

 

腎機能を見てみると、Cre1.2くらいでcCrを計算すると、40くらいだったと思う。先生の指示は1袋(300mg/60ml)。うーん・・・システム上、100mgとか打てなかったのかな。

 

なるべく早めの方がいいと判断し、問い合わせしようと思ったら、その先生は外来の日だった。無理を承知で外来の診察の合間に、折り返してもらうように外来看護師に伝言したら、電話内容を聞いていたのだろうか、途中からその先生が電話に出た。

 

私「外来中、お忙しいところすいません。先生、腎機能の関係上、減量が推奨されますが、このままの量でよろしいでしょうか?」

 

先生「そうなの?クリアランス40くらいあったと思うけど。それでも減量なら、減量指示して。」

 

看護師さんに電話で説明するのも、伝言ミスになりそうな気がしたので、急いで病棟へ持っていき経緯を説明する。

 

私「急ぎのラピアクタ(ペラミビル)持ってきました。先生に問い合わせして、減量の指示となりました。腎機能の関係上1/3量の100mgとなったので、20mlだけ投与をお願いします。」

 

無事に解決。投与前は38.6℃くらいあった熱も、投与の次の日から37℃代に下がり回復した。やはり点滴は効きが早く感じた。

 

まとめ

  • ラピアクタ(ペラミビル)は、インフルエンザ患者の治療で点滴静注で使われる。
  • 腎機能に応じて減量が必要。
  • 他のタミフル(オセルタミビル)などと異なり、予防の適応はない。

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