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成分名や効能につなげることは難しい。
ラピアクタ(ペラミビル)の作用機序は、ノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる。
インフルエンザウイルスが増えるには、細胞への吸着→侵入→脱殻→複製(転写)→出芽→放出といった過程が必要になる。治療のターゲットとしては、どこかの過程を止めて、インフルエンザウイルスが増えないようにすればよい。
インフルエンザウイルスの形は、海にいる、うにをイメージしてもらいたい。本体の周りに棘が出ているイメージである。
インフルエンザウイルスが細胞に吸着するには、インフルエンザウイルス表面から出ているヘマグルチニンという棘のような突起物を介して細胞にくっつくことが必要である。そして先ほどの過程を経て新しいインフルエンザウイルスが細胞表面に出芽される。
新しいインフルエンザウイルスも細胞表面にヘマグルチニンを介してくっついている。このままだと最後の放出が出来ず、インフルエンザウイルスにとっては増えることが出来なくなってしまう。そこで、インフルエンザウイルスはノイラミニダーゼと呼ばれるはさみのようなもので、ヘマグルチニンを細胞表面から切り離す。これによって、新しいインフルエンザウイルスを放出するのである。
前置きが長くなったが、ラピアクタ(ペラミビル)はノイラミニダーゼを阻害することによって、新しいインフルエンザウイルスの遊離を抑制する。A型とB型インフルエンザウイルスはノイラミニダーゼを持つが、C型インフルエンザウイルスはノイラミニダーゼを持たないため、ラピアクタ(ペラミビル)は効果がない。
成人患者を対象とした試験では、ラピアクタ(ペラミビル)投与から平熱(37.0℃未満)に戻るまでの時間は300mg投与群で32.8時間だった。小児の試験においてはラピアクタ(ペラミビル)投与から平熱(37.5℃未満)に戻るまでの時間は20.4時間だった。よって2日以内には回復が見込める。
他のタミフル(オセルタミビル)などと違って、ラピアクタ(ペラミビル)は予防投与の使い方はなく、治療でしか使えない。ラピアクタ(ペラミビル)は腎機能障害のある患者では高い血中濃度を示すため適宜調節する。なお小児の腎機能障害患者の使用経験はない。
重症化するおそれがある場合は倍量いくというイメージだ。そして3日以上の反復投与の症例は限られている。よって投与しても2日くらいまでだろう。ここで言う2日目投与の基準としては以下のようになっている。
2日目投与する場合は、少なくとも1日目投与から12時間はあけてから投与する。
症状発現から48時間経過後は有効性を裏付けるデータは得られていない。通常インフルエンザは1週間くらいで回復するが、わかり次第投与することで早めの回復が見込める。
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院内のインフルエンザA陽性の患者に対して、ラピアクタ(ペラミビル)が出た。そして、病棟から、至急で薬を上げてほしいと電話が来た。
カルテを見ると、この患者は、すでにタミフル(オセルタミビル)が処方されていた。カルテを読むとタミフル(オセルタミビル)内服拒否のためラピアクタ(ペラミビル)を処方したようだった。
腎機能を見てみると、Cre1.2くらいでcCrを計算すると、40くらいだったと思う。先生の指示は1袋(300mg/60ml)。うーん・・・システム上、100mgとか打てなかったのかな。
なるべく早めの方がいいと判断し、問い合わせしようと思ったら、その先生は外来の日だった。無理を承知で外来の診察の合間に、折り返してもらうように外来看護師に伝言したら、電話内容を聞いていたのだろうか、途中からその先生が電話に出た。
私「外来中、お忙しいところすいません。先生、腎機能の関係上、減量が推奨されますが、このままの量でよろしいでしょうか?」
先生「そうなの?クリアランス40くらいあったと思うけど。それでも減量なら、減量指示して。」
看護師さんに電話で説明するのも、伝言ミスになりそうな気がしたので、急いで病棟へ持っていき経緯を説明する。
私「急ぎのラピアクタ(ペラミビル)持ってきました。先生に問い合わせして、減量の指示となりました。腎機能の関係上1/3量の100mgとなったので、20mlだけ投与をお願いします。」
無事に解決。投与前は38.6℃くらいあった熱も、投与の次の日から37℃代に下がり回復した。やはり点滴は効きが早く感じた。