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名前から薬効や成分名を繋げることは難しい。
まずはPCIから。PCI(percutaneous coronary intervention)は、経皮的冠動脈形成術と訳され、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に対して行われるカテーテル治療である。虚血性心疾患の患者さんの冠動脈は狭窄や閉塞してしまっている。その詰まってしまった心臓の冠動脈に対して、バルーンやステントを入れて拡げる治療。
エフィエントの作用機序もせっかくなので復習。おおざっぱにADP受容体を阻害して、血小板凝集を示すと覚えておきたい。長くなるので順を追ってまとめる。
血小板血栓は名前の通り、血小板が集まって塊ができる。塊ができないようにするには血小板の凝集を阻害すればよいことになる。
血小板の凝集を阻害する因子として、cAMPというものがある。cAMPが増えれば、血小板凝集が阻害される。cAMP上昇→血小板凝集阻害
そのcAMPはATPと呼ばれる物質から作られるが、この反応はアデニル酸シクラーゼが促進する。ATP→cAMP(この反応をアデニル酸シクラーゼが促進)
小括すると、アデニル酸シクラーゼを増やして、この反応を促進して、cAMPを増やすことで、血小板凝集が阻害されることがわかる。
大事な反応を促進してくれるアデニル酸シクラーゼであるが、この物質はADPがADP受容体に結合すると抑制される反応が起こる。ADPによる抑制が増える→アデニル酸シクラーゼが減る
よってADPによる抑制をブロックできれば、アデニル酸シクラーゼが減らなくなることがわかる。ADPがADP受容体に結合するのをブロックするのがエフィエント(プラスグレル)である。
CYP2C19の話をする上で、どうしても引き合いに出てくるのが、プラビックス(クロピドグレル)である。エフィエント(プラスグレル)は理論上、プラビックス(クロピドグレル)で生じていた個人差を減らして改良した薬となっている。
先ほど、エフィエント(プラスグレル)は、ADP受容体を阻害して血小板凝集が阻害されるという話をしたが、プラビックス(クロピドグレル)の作用機序もADP受容体を阻害して血小板凝集を阻害する。
ただ、プラビックス(クロピドグレル)の場合はプロドラッグで、肝臓で活性代謝物になるというワンステップが必要である。よって肝代謝酵素の1つであるCYP2C19が生まれつき欠損している患者さんは、このワンステップがうまくいかず、思った効果が得られないことがある。そういった個人差を改良したのが、エフィエント(プラスグレル)である。
アスピリン(81〜100mg、初回投与は324mgまで)と併用する。たまに先生が打ち忘れたり、患者さんが持参薬を持ってきていると思い込んでいるときがあるので、必ずチェックしなければいけない項目である。このことに関してあとで詳細を述べる。
PCI前に3.75mgを5日間程度投与されている場合は、最初の20mgのローディングは不要である。3.75mgが5日程度投与されていれば、定常状態になっていると考えられるためである。
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PCI後でエフィエント(プラスグレル)が新規で追加された患者さんがいた。
こんな感じの処方だったと思う。いつもはエフィエント(プラスグレル)とバイアスピリンの飲むタイミング一緒なのに???となった。
コンプライアンス面でもそうだが、DAPTでタイミング違うことなんか見たことなく、調べてみるものの「併用すること」としか書かれておらず、自信もないしよくわからなかったので、安定のメーカーさんの流れとなった。
私「バイアスピリンとエフィエントの飲むタイミングが違う指示があるのですが、何か新しい治療法とか出たのでしょうか?もしくは同じタイミングと違うタイミングで効果を比較されたデータなどありますか?」
メーカー「調べて折り返します・・・」
30分後くらいに折り返しがくる。
メーカー「特に新しい治療法ではないようです。比較して検討したデータはございません。ただ飲むタイミングが違ったとしても、血小板凝集を抑制していますから、問題はないかと思われます。」
私「ありがとうございました。」
あとはコンプライアンス面での問題だったが、患者さんと話した感じだとしっかりしていたので特に問い合わせせず終了。
後日先生が暇そうにしているタイミングを見計らって聞いたところ、あまり覚えていないという回答だった。ただの打ち間違えかな?