由来
- 英語で帯状疱疹を意味するZosterと抗ウイルス剤Antiviral Agentsより
覚えるのに役立たない
特徴
- ヘルペスウイルス特異的チミジンキナーゼによるリン酸化により活性化されて、初めてウイルスのDNAポリメラーゼ阻害作用を発揮するため、正常細胞にはほとんど作用しない選択性の高い抗ヘルペスウイルス剤
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DNAポリメラーゼはウイルスのDNAの複製に関与する。ゾビラックス眼軟膏(アシクロビル)はそこを阻害することで作用する。そして、ゾビラックス眼軟膏(アシクロビル)はヘルペスウイルスがもつ酵素によってリン酸化されて活性化されるため、通常の細胞にはダメージを与えにくいという特徴がある
用法用量
- 適量を1日5回塗布する。なお、症状により適宜回数を減じる
1日5回はよほど暇人でなければ無理であるし、コンプライアンスを保つのが困難である。そのためなのか、ゾビラックス眼軟膏(アシクロビル)は珍しく適宜増減ではなく減じるとなっている。
重大な副作用
経験したことなど
眼科門前にヘルプに行く機会があったので、ゾビラックス眼軟膏(アシクロビル)とともに教わったことなどをまとめておく。
眼科領域でよく使われる点眼剤や眼軟膏剤は日本薬局方において、無菌であることが定義されている。そして、点眼薬は主成分となる薬物の水に対する溶解性により以下の2つに大きくわけられる。
- 水性点眼薬(水性点眼液、水性懸濁点眼液);溶剤が水
- 非水性点眼薬(非水性点眼液、非水性懸濁点眼液);溶剤が植物油
製剤によって異なるが、これらは主成分や溶剤以外にも以下のような添加物を含んでいて、製剤設計されている。
- 等張化剤;浸透圧に関与。塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸、グリセリンなど
- 防腐剤;保存力に関与。塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジングルコン酸、パラベン類、クロロブタノールなど
- 緩衝剤;pHに関与。ホウ酸、リン酸、酢酸など
- 可溶加剤;溶解に関与。ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など
- 安定化剤;化学的安定性に関与。クエン酸、エデト酸ナトリウム(EDTA-2Na)、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなど
- 懸濁化剤;物理的安定性に関与。カルボキシビニルポリマー(CVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)など
- 粘稠剤;投与部位への滞留性に関与。ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース(MC)、グリセリンなど
なおこれらの添加物は、その製剤の投与量において、薬理作用を示さず無害でならなければならないとも日本薬局方で定義されている。これらの添加物の中で注意したいのが、防腐剤の塩化ベンザルコニウムである。塩化ベンザルコニウムは角膜上皮障害(点状表層角膜炎、糸状角 膜炎、角膜びらん)を起こすことがあり、しみる、そう痒感、眼痛等の自覚症状が現れる。
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そして塩化ベンザルコニウムを含む点眼や眼軟膏はソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるので、ソフトコンタクトレンズを装用している場合には、点眼前にレンズを外し、点眼後少なくとも5〜10分間の間隔をあけて再装用するのが一般的である。ソフトコンタクトレンズでもワンデイなら、蓄積しにくいので取り外し不要と考えられている。
添加物の主成分でもまれに角膜上皮障害を起こすものがあり以下のようなものが代表例である。
- トブラシン(トブラマイシン)
- ゾビラックス(アシクロビル)
- ピマリシン(ピマリシン)
- ニフラン(プラノプロフェン)
- ジクロード(ジクロフェナク)
- ブロナック(ブロムフェナク)
- ネバナック(ネバフェナク)
- レスキュラ(イソプロピルウノプロストン)
- キサラタン(ラタノプロスト)
- トラバタンズ(トラボプロスト)
- タプロス(タフルプロスト)
- ルミガン(ビマトプロスト)
- ミケラン(カルテオロール)
- チモプトール、リズモン(チモロール)
- ベタキソロール(ベタキソロール)
- ニプラノール、ハイパジールコーワ(ニプラジロール)
- レボブノロール(レボブノロール)
- ラクリミン(オキシプロカイン)
まとめ
- ゾビラックス眼軟膏(アシクロビル)はヘルペスウイルス特異的チミジンキナーゼによるリン酸化により活性化されて、ウイルスのDNAポリメラーゼ阻害作用を示す。
- 添加物の塩化ベンザルコニウムは角膜上皮障害を起こすことがあるため注意が必要である。