日赤ポリグロビンN(pH4処理酸性人免疫グロブリン)、重症感染症における日数制限は?

日赤ポリグロビンN(pH4処理酸性人免疫グロブリン)、重症感染症における日数制限は?

日赤ポリグロビンN(pH4処理酸性人免疫グロブリンは、免疫グロブリン製剤で獲得免疫に関わります。適応の一つに重症感染症があるが、基本的には投与日数は3日で、症状詳記があれば5日まで投与可能(保証はできない)。

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日赤ポリグロビンN(pH4処理酸性人免疫グロブリン)、重症感染症における日数制限は?

由来

  • ポリクローナルPOLYclonalなグロブリンGLObulin、ネイティブNativeに由来

 

Nがネイティブであるため、自国(日本)のものであることが推測可能。

 

特徴

  • 添加物が10%マルトースのみであり、ナトリウム制限患者や糖尿病患者にも適している。
  • IgG分子が安定するpH4の条件下で処理している。

 

免疫グロブリンは様々な方法でウィルスの除去や不活化が行われている。その方法の一つにpH4の条件下での処理がある。

 

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免疫グロブリン(Ig;immunoglobulin)は、抗体とも呼ばれ免疫に関与している。簡単に免疫を以下にまとめる。

 

ヒトの免疫

人は主に3段階のバリアーによって、外部からの異物に対して守られている。

 

  1. 物理的防御壁
  2. 自然免疫
  3. 獲得免疫

 

物理的防御壁

皮膚や粘膜による防御壁である。これらは私たちが思っているよりか、初期段階でのバリアー機能を果たしている。

 

自然免疫

主に好中球やマクロファージによる防御方法である。外部より侵入してしまった異物に対して、これらの細胞が異物を貪食し、消化・分解する。

 

獲得免疫

自然免疫を突破されてしまった場合は、最後の砦の獲得免疫が働く。これが主に免疫グロブリンの関わるところである。

 

自然免疫により、異物が貪食されると、二度と悪さをしないように、ブラックリスト作成が行われる。実際の警察の本当の流れがわからないが、事件に例えてみる。

 

犯人(異物)が、警察に捕まる(貪食)。捕まえた警察は、警視庁に犯人の情報を伝える。

 

情報を受け取った警視庁は、警察署にブラックリストを渡す。

 

警察署の署長はブラックリストをもらい、やる気に満ち溢れる。やる気に満ち溢れた署長は、部下を配備して、ブラックリストの犯人が悪さを二度と悪さをしないように見張らせる。

 

 

このイメージを持って、再度獲得免疫を簡単にみてみる。

 

貪食した獲物の情報を、ヘルパーT細胞というリンパ球の一種に伝える。

 

情報を受け取ったヘルパーT細胞は、B細胞というリンパ球の一種にブラックリスト情報を伝える。

 

情報を受け取ったB細胞は形質細胞に変化して抗体(免疫グロブリン)をつくる。

 

作られた抗体(免疫グロブリン)によって、再び異物がやってきたら、撃退できるという仕組みである。

 

用法用量

  • 低又は無ガンマグロブリン血症に使用する場合;200〜600mg(4〜12mL)/kg体重を3〜4週間隔で点滴静注又は直接静注。適宜増減。
  • 重症感染症における抗生物質との併用に使用する場合;成人は2500〜5000mg(50〜100mL)を、小児に対しては、50〜150mg(1〜3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注。適宜増減。
  • 特発性血小板減少性紫斑病に使用する場合;400mg(8mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注。5日間使用しても症状に改善が認められない場合は、以降の投与を中止。適宜増減。
  • 川崎病の急性期に使用する場合;200mg(4mL)/kg体重を5 日間点滴静注又は直接静注、もしくは2,000mg(40mL)/kg体重を1回点滴静注。なお、年齢及び症状に応じて5 日間投与の場合は適宜増減、1回投与の場合は適宜減量する。

 

詳しくは経験したことへ

 

重大な副作用

  • ショック、アナフィラキシー、肝機能障害、黄疸、 無菌性髄膜炎、急性腎不全、血小板減少、血栓塞栓症、心不全など

 

経験したこと

先生から急に「敗血症合併のDIC疑いの人に、ガンマグロブリン使いたいんだけど」という電話が来た。

 

普通に使えばよいのでは・・・と思いながらも話を聞いていると、「投与日数って5日制限なの?」と聞かれ、わからなかったため、折り返しすることに。

 

添付文書上では、特発性血小板減少性紫斑病や川崎病では5日となっているが、載っていない!メーカーさんに聞くことに。

 

私「重症感染症の投与日数は、制限がないのでしょうか?」

 

メーカー「基本は3日間で、どうしても症状が落ち着かない時には、症状詳記してもらえれば5日分まで使えると思います。ただもしかしたらはねられる可能性があるので、3日間にしてもらうのがよろしいかもしれません」

 

再び先生に折り返す。

 

私「基本的に3日で、症状詳記すれば5日使えるようです。ただし、はねられる可能性があるので、保証はできないとのことでした。」

 

先生「そうなんだ。そうしたら5日分にするよ」

 

先生のご判断で5日分投与が決まった。投与日数がある薬は、これも投与日数を添付文書に書いてほしいと思った。

 

まとめ

  • 免疫グロブリン(抗体)は獲得免疫に関わる。
  • 重症感染症における使用は、基本は3日で症状詳記すれば5日使えることもある(保証はできない)

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