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よくわからないし、何にもつなげられない。
ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は、おおざっぱに言うと、B型肝炎の薬だ。作用機序の前にB型肝炎ウイルスのDNA複製についてみてみる。
まず、B型肝炎ウイルスは2本のDNAからできている。その2本のDNAはわっかのような形をしており、外側のわっかをマイナス鎖DNA、内側のわっかをプラス鎖DNAと呼ぶ。マイナス鎖DNAは完全なわっかの形をしているが、プラス鎖DNAは途中が途切れた不完全な形となっている。プラス鎖のイメージとしてはCのような感じである。
そしてDNAポリメラーゼと呼ばれる酵素が、不完全なプラス鎖を完全なわっかにする。
次にウイルスは、宿主細胞のRNAポリメラーゼによって、マイナス鎖DNAをもとにして、RNAを作る。難しいので、DNAのもつ遺伝情報をコピーしてRNAが作られることがわかればよい。
つくられたRNAも遺伝情報を持つため、今度はこれをもとにして、マイナス鎖DNAを逆転写する。ここに関わってくるのが、いわゆる逆転写酵素だ。
再びDNAポリメラーゼによって、プラス鎖DNAもつくられる。
これが、ざっくりとしたB型肝炎ウイルスのDNA複製である。とりあえず、逆転写酵素が関わってくることさえ、わかってもらえればよい。
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再び、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)の作用機序に話を戻す。
もうおわかりかと思うが、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は、先ほどの逆転写酵素を阻害することによって作用する。
有効成分であるテノホビルは親水性であるため、細胞まで届きにくい。そのため、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は側鎖をくっつけ細胞透過性を高めたプロドラッグである。
細胞を透過したベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は加水分解などを受けて、テノホビルとなる。
テノホビルはさらに二リン酸化を受けて、活性体となり、逆転写酵素を阻害する。
テノゼットと異なり、腎機能に応じた減量がいらないのは大きい。ただし、クレアチニンクリアランスが15ml/分未満のときは中止を考慮することとなっている。
またベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は処方患者以外が間違えて飲まないように、簡単にボトルを開けられないようになっていることに注意が必要。キャップを上から下に押し付けた状態で、反時計回りにキャップを回して開ける。
ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)の勉強会をした。長期処方が解禁になったということで、メーカーがきた感じだ。内容をまとめておく。
C型肝炎は、治療可能となり、最近多くの薬が出ている。それに対してB型肝炎はどうなのか?
B型肝炎は、残念ながら現時点での医療では完治させることは難しい。そのため、ウイルスの鎮静が現時点では治療の目標となる。治療の目標として以下のような指標があげられる。
HBV DNA量は、体内のウイルス量を表す。これが測定できなくなるレベルまで下げることを目標とする。
Hbe抗原は、ウイルスが活性化して増える時に作られるタンパク。これが陰性化することを目標とする。
HBs抗原はウイルス表面を覆っているタンパク。陽性は感染をしていることを表し、低下すれば薬物治療中止の目安の1つとなる。
よって完治できないため、基本的には飲み続けて、鎮静していくことになる。そうなると気になるのは耐性化だが、試験時ではベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)の48週薬剤耐性は起こらなかったそうだ。過去に使われていたラミブジンは耐性化が問題となったため、これも大きいと思う。
完治が現時点ではできない以上、新しい薬が出てくるまでは、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)が流行りそうである。