ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)、腎機能による調節が不要なB型肝炎治療薬

ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)、腎機能による調節が不要なB型肝炎治療薬

ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は、B型肝炎ウイルスの逆転写酵素を阻害することによって作用します。腎機能による用量調節が不要であり、耐性化も試験ではなかったB型肝炎の薬です。

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ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)、腎機能による調節が不要なB型肝炎治療薬

由来

  • Melody of Victoryより

 

よくわからないし、何にもつなげられない。

 

特徴

  • 肝臓に効率的に取り込まれ、テノホビルに代謝されるプロドラッグ。
  • 核酸アナログ製剤既治療例を含むB型慢性肝疾患患者におけるHBV DNA陰性化率94.0%/63.9%(HBe抗原陰性患者/HBe抗原陽性患者:48 週)、ALT正常化率は83.1%/71.5%であった。
  • 48週薬剤耐性変異の出現はみられなかった。
  • 服用時間を問わず、1日1回1錠を服用。
  • 腎機能低下患者(eGFRCG<15は未検討)肝機能低下患者における用量調節が不要。

 

ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は、おおざっぱに言うと、B型肝炎の薬だ。作用機序の前にB型肝炎ウイルスのDNA複製についてみてみる。

 

まず、B型肝炎ウイルスは2本のDNAからできている。その2本のDNAはわっかのような形をしており、外側のわっかをマイナス鎖DNA、内側のわっかをプラス鎖DNAと呼ぶ。マイナス鎖DNAは完全なわっかの形をしているが、プラス鎖DNAは途中が途切れた不完全な形となっている。プラス鎖のイメージとしてはCのような感じである。

 

 

そしてDNAポリメラーゼと呼ばれる酵素が、不完全なプラス鎖を完全なわっかにする。

 

次にウイルスは、宿主細胞のRNAポリメラーゼによって、マイナス鎖DNAをもとにして、RNAを作る。難しいので、DNAのもつ遺伝情報をコピーしてRNAが作られることがわかればよい。

 

 

つくられたRNAも遺伝情報を持つため、今度はこれをもとにして、マイナス鎖DNAを逆転写する。ここに関わってくるのが、いわゆる逆転写酵素だ。

 

再びDNAポリメラーゼによって、プラス鎖DNAもつくられる。

 

 

これが、ざっくりとしたB型肝炎ウイルスのDNA複製である。とりあえず、逆転写酵素が関わってくることさえ、わかってもらえればよい。

 

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再び、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)の作用機序に話を戻す。

 

もうおわかりかと思うが、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は、先ほどの逆転写酵素を阻害することによって作用する。

 

有効成分であるテノホビルは親水性であるため、細胞まで届きにくい。そのため、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は側鎖をくっつけ細胞透過性を高めたプロドラッグである。

 

細胞を透過したベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は加水分解などを受けて、テノホビルとなる。

 

テノホビルはさらに二リン酸化を受けて、活性体となり、逆転写酵素を阻害する。

 

 

用法用量

  • 1回25mgを1日1回

 

テノゼットと異なり、腎機能に応じた減量がいらないのは大きい。ただし、クレアチニンクリアランスが15ml/分未満のときは中止を考慮することとなっている。

 

またベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は処方患者以外が間違えて飲まないように、簡単にボトルを開けられないようになっていることに注意が必要。キャップを上から下に押し付けた状態で、反時計回りにキャップを回して開ける。

 

 

重大な副作用

  • 腎不全等の重度の腎機能障害、乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)など

 

経験したこと

ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)の勉強会をした。長期処方が解禁になったということで、メーカーがきた感じだ。内容をまとめておく。

 

C型肝炎は、治療可能となり、最近多くの薬が出ている。それに対してB型肝炎はどうなのか?

 

B型肝炎は、残念ながら現時点での医療では完治させることは難しい。そのため、ウイルスの鎮静が現時点では治療の目標となる。治療の目標として以下のような指標があげられる。

 

  • HBV DNA量を持続的に低値に保つ
  • HBe抗原の陰性化
  • HBs抗原の陰性化

 

HBV DNA量を持続的に低値に保つ

HBV DNA量は、体内のウイルス量を表す。これが測定できなくなるレベルまで下げることを目標とする。

 

HBe抗原の陰性化

Hbe抗原は、ウイルスが活性化して増える時に作られるタンパク。これが陰性化することを目標とする。

 

HBs抗原の陰性化

HBs抗原はウイルス表面を覆っているタンパク。陽性は感染をしていることを表し、低下すれば薬物治療中止の目安の1つとなる。

 

よって完治できないため、基本的には飲み続けて、鎮静していくことになる。そうなると気になるのは耐性化だが、試験時ではベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)の48週薬剤耐性は起こらなかったそうだ。過去に使われていたラミブジンは耐性化が問題となったため、これも大きいと思う。

 

完治が現時点ではできない以上、新しい薬が出てくるまでは、ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)が流行りそうである。

 

まとめ

  • ベムリディ(テノホビル アラフェナミドフマル酸塩)は、逆転写酵素を阻害して作用するB型肝炎の薬である。

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