ユリーフ(シロドシン)、ODの落とし穴

ユリーフ(シロドシン)、ODの落とし穴

ユリーフ(シロドシン)は前立腺肥大に伴う排尿障害に使われる。排尿障害に加えて畜尿障害も改善する。ODをはじめとして、さまざまな剤形があるが、患者さんに的確に伝えることで、新たな発見ができる場合もある。

Sponsored Link

ユリーフ(シロドシン)、ODの落とし穴

由来

  • Urine(尿)のトラブルを改善し、Lief(快さ)を得ることから。

 

Uri+iefからユリーフ。尿関連を良くすることがイメージできる。

 

特徴

  • 前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する、α1A遮断薬。
  • 投与初期から優れた自覚症状(I-PSS)を改善する。
  • 排尿障害の改善効果に加えて、畜尿障害も改善する。

 

ユリーフ(シロドシン)の作用機序は、α1受容体遮断薬に分類される。α1受容体が刺激されると、前立腺などによって尿道が圧迫されてしまう。ユリーフ(シロドシン)はα1受容体を遮断し、これを防ぐことによって、尿道を広げてくれる。

 

 

α1受容体には、いくつかサブタイプがあり、α1Aは前立腺に多く存在する。ちなみにα1Bは血管に、α1Dは膀胱括約筋に多く存在する。

 

ハルナール(タムスロシン)やユリーフ(シロドシン)はα1Aへの選択性が高く、フリバス(ナフトピジル)はα1Dへの選択性が高い。

 

I-PSSとはInternational Prostate Symptom Scoreの略で、国際前立腺症状スコアと訳される。
過去1か月の間における状況について、7つの質問について答える。この質問内容が自覚症状にあたる。

 

  1. 尿をした後にまだ尿が残っている感じがあるか?
  2. 尿をしてから2時間以内に、もう一度しなくてはならないことがあったか?
  3. 尿をしている間に尿が何度も途切れることがあったか?
  4. 尿を我慢するのが難しいことがあったか?
  5. 尿の勢いが弱いことがあったか?
  6. 尿をし始めるためにおなかに力を入れることがあったか?
  7. 夜寝てから、朝起きるまでに何回尿のために起きたか?

 

この質問に対して、

 

  • 0点;全くない(Fの質問のみ0回)
  • 1点;5回に1回の割合より少ない(Fの質問のみ1回)
  • 2点;2回の1回の割合より少ない(Fの質問のみ2回)
  • 3点;2回の1回の割合くらい(Fの質問のみ3回)
  • 4点;2回の1回の割合より多い(Fの質問のみ4回)
  • 5点;ほとんどいつも(Fの質問のみ5回)

 

として合計点数を出す。0〜8が軽症、9〜20が中等症、20以上が重症となる。

 

Sponsored Link

Sponsored Link

 

用法用量

  • 4mgを1日2回朝夕食後。適宜増減

 

肝機能障害と腎機能障害の場合、血漿中濃度が上昇する可能性があるため、1回2mgから開始を考慮。(慎重投与レベル)

 

純粋に半減期が約6時間と短いので1日2回。ハルナール(タムスロシン)とフリバス(ナフトピジル)が1日1回で良いため、比較するとユリーフ(シロドシン)は面倒である。

 

重大な副作用

  • 失神、意識消失、肝機能障害など

 

α1より血圧を下げる可能性がある。

 

経験したこと

今回はユリーフ(シロドシン)をまとめたが、正確にはユリーフ「OD」(シロドシン)で事件が起こった。

 

ある患者さんが、持参薬でユリーフ(シロドシン)を持ってきていたが、持参薬の数が少なくなり切り替えオーダーが必要となった。
当院では、ユリーフOD(シロドシン)を採用しているため、医師に話して切り替えオーダーを処方してもらった。
この患者は6種類くらい薬を飲んでおり、ユリーフOD(シロドシン)はいくつかの薬と一包化されていた。

 

本当は切り替えと同時に説明に行きたかったが、他の患者の指導などで説明に行けず、切り替えて2日くらい後で話に行った。

 

私「持参薬が少なくなったので、先生と相談して当院で切り替えられるものにお薬変わりました。・・(説明中略)・・・ユリーフはユリーフODに切り替わっています。すぐに溶けたり、唾液だけで水なしで飲める薬になっています。」
これを聞いた、患者は顔色を変えて激怒した。なぜか?

 

患者「1日くらい前から、のどに違和感があるかと思ったら、その薬のせいだな。そんなの一包化したら困るんだよ。あんたら医療者は薬見ればわかるだろうけどさ、こっちはわかんないんだよ。そんな適当なことをするんだったら薬は飲まない!!」

 

私「申し訳ございませんでした。のどに違和感を感じていたんですね。飲まないというのは、患者様にとっても不利益だと思いますので、こちらの薬だけ別包にする形でいかがでしょうか?」

 

患者「わかったよ。とっととわけてこいよ!!」

 

めんどくせ〜の一言に尽きる。嚥下障害とかの人に薦めるODで、のどに違和感を訴えられるとは、全く思わなかった。正直言ってODのデメリットなんて考えたこともなかったから、こういう患者さんもいるんだなといい経験になった。地雷を踏んだが、剤形の説明をすることも重要なことだと思った。

 

まとめ

  • 剤形を説明することで、患者が感じている違和感を見つけられることもある。

就職や転職でお悩みの方はコチラ!私はここで年収120万円上がりました

Sponsored Link