Sponsored Link
Osteoclastが破骨細胞と知っていなければ、つなげるのは難しい。
リクラスト(ゾレドロン酸)の作用機序とともに骨粗鬆症のメカニズムを見てみる。
骨は日々生まれ変わっており、骨を壊す破骨細胞と、骨をつくる骨芽細胞が、うまくバランスを保っている。骨粗鬆症はそのバランスが崩れてしまっている状態になる。
今回のリクラスト(ゾレドロン酸)について考えるとするならば、骨を壊す破骨細胞の働きが強くなりすぎて、骨が壊れてしまっている状態である。破骨細胞の骨の破壊を阻害するのが、リクラスト(ゾレドロン酸)の作用となる。
細かい作用機序としては、破骨細胞内の作用機序を考える必要がある。破骨細胞内では、メバロン酸→イソペンテニルピロリン酸(IPP)やジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)→ゲラニルピロリン酸(GPP)→ファルネシルピロリン酸(FPP)→ゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)といった経路が存在する。
この経路が進むことで、破骨細胞は細胞骨格を保てたり、情報伝達などを行えるそうだ。この経路を進めるのに、ファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)という酵素が必要で、リクラスト(ゾレドロン酸)はそれを阻害する。阻害されてしまったら、破骨細胞はこの経路を進めることが出来なくなるため、機能しなくなるというメカニズムだ。
リクラスト(ゾレドロン酸)は点滴静注で使われるため、内服のビスホスホネートと異なり、理論上ロスは少ない。
臨床試験時のデータでは新規の椎体骨折を65%低下、非椎体骨折を45%低下した。現時点で、ここまで差が出るのは日本において他にないそうだ。
Sponsored Link
Sponsored Link
ゾメタ(ゾレドロン酸)も4mgは入っているのに、リクラスト(ゾレドロン酸)は5mg入っている。1mgの差でこれだけ投与期間が違うのかと不思議に思ってしまう。
顎骨壊死の関係上、歯科治療を終えておくことを推奨している。またリクラスト(ゾレドロン酸)を開始してしまってから、歯科にかかることはお勧めできないと。どうしても治療するなら、先生の判断でとしか言えないとのことだった。メーカーさんは歯科の方にアナウンスはしていないそうで、歯科医の認知度はまだ低いという。歯科医の先生に気づいてもらえるように、リクラスト(ゾレドロン酸)のカードやお薬手帳のシールを作っている。
リクラスト(ゾレドロン酸)の勉強会を行った。2016年11月から発売されているため少し遅い気もするが、勉強会を行った。
ついにビスホスホネートが1年に1回の製剤が出たか、という感じである。さすがに1年に1回だと2回目を忘れてしまいそうである。ましてや使う患者は年齢層が高めと思われるのでなおさら。
そんな患者をフォローするために、「ほねの1年プログラム」というプログラムを行っている。これは、ハガキで登録することで、3か月ごとに骨粗鬆症の情報が届けられる。また投与1か月前の11月には注射が近づいたことを知らせる紙が届くようなシステムになっている。もちろん無料。
ビスホスホネートはどうしても顎骨壊死のイメージが強いが、リクラスト(ゾレドロン酸)を使う上で気を付ける副作用がある。試験結果で、発熱(39.3%)、関節痛(10.8%)、筋肉痛(8.1%)、倦怠感(7.8%)といった、炎症性の副作用が多かった。
これのメカニズムもある程度わかっている。作用機序のところで、ファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)を阻害する話をしたが、これを阻害することでイソペンテニルピロリン酸(IPP)が溜まっていく。これが溜まっていくと炎症性サイトカインが発生するため、炎症性の副作用が多くなるそうだ。ただこの副作用は3日以内に回復することが多く、また1回目より2回目の投与時には発生率も減少していた。
勉強会の時には薬価は4万くらいと言っており、プラリア(デノスマブ)とそんなに変わらない。内服するのと比べても、1年に1回だったらいい薬かもしれない。