ブイフェンド(ボリコナゾール)、併用禁忌以外にも視覚障害に気を付けよう。

ブイフェンド(ボリコナゾール)、併用禁忌以外にも視覚障害に気を付けよう。

ブイフェンド(ボリコナゾール)はアゾール系の抗真菌薬で、ラノステロールからエルゴステロールを作るのに必要な酵素を阻害することで真菌の細胞膜合成を阻害する。併用禁忌が多いイメージだが、視覚障害の副作用にも気を付けるべき薬である。

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ブイフェンド(ボリコナゾール)、併用禁忌以外にも視覚障害に気を付けよう。

由来

  • Voriconazole及びVictory(勝利)とdeFEND(守る)から命名された。

 

Vからボリコナゾールが引っ張り出せれば、アゾール系であることは推測可能。

 

特徴

  • アスペルギルス症およびカンジダ症に対して優れた臨床効果
  • 幅広い抗真菌スペクトル
  • 優れた組織移行性
  • 食道カンジダを除き、注射と経口の選択が可能

 

ブイフェンド(ボリコナゾール)の作用機序の前に、真菌について確認する。

 

真菌はヒトと同様に、真核生物なので、薬がヒトの細胞も攻撃してしまう恐れがある。よってヒトには影響を与えないような作用機序が必要である。

 

真菌の細胞において、ヒトと違うところは、細胞膜がエルゴステロールで構成されていること細胞壁が1,3-β-D-グルカンで構成されていることなどがあげられる。主にこの2つを攻撃すれば、ヒトに影響を与えることなく真菌のみをやっつけることができる。

 

今回のブイフェンド(ボリコナゾール)はアゾール系に属する。アゾール系は先ほどの真菌構成成分のうち、真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害することで作用をしめす。

 

細かい機序は、アセチルCoAから始まり、スクアレン、ラノステロールなどを経て、エルゴステロールが作られる。そのうち、ラノステロールからエルゴステロールになるのに必要な酵素を阻害することで、エルゴステロールが作られないようにする。

 

 

ブイフェンド(ボリコナゾール)は、アスペルギルス属やカンジダ属だけでなく、クリプトコッカス属、フサリウム属、スケドスポリウム属などにもスペクトルを持ち、幅広い。

 

バイオアベイラビリティが96%と非常に高く、経口投与時も静脈内投与時とほぼ同じ血漿中濃度が期待できる。

 

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用法用量

  • 成人(体重40kg以上);初日は1回300mgを1日2回、2日目以降は1回150mgを1日2回食間に経口投与する。効果不十分の時には増量できるが、初日は1回400mgを1日2回、2日目以降の投与量は1回300mgを1日2回までが上限。
  • 成人(体重40kg以下);初日は1回150mgを1日2回、2日目以降は1回100mgを1日2回食間に経口投与する。効果不十分の時には増量できるが、2日目以降の投与量を1回150mgを1日2回までが上限。

 

小児に関しても細かい用法用量設定が必要である。その他、軽度〜中等度肝機能低下(Child PughA〜B)の患者は初日は通常量、2日目以降は半量とするといった記載もある。

 

投与期間中は血中濃度のモニタリングが望ましいという記載もある。投与してから5〜7日目に定常状態になるため、それ以降にトラフ値を測定する。1〜5μg/mlを目安にコントロールすると良いようだ。

 

重大な副作用

  • ショック・アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、肝障害、QT延長、心室頻拍、心室細動、不整脈、完全房室ブロック、心不全、腎障害、呼吸窮迫症候群、ギランバレー症候群、血液障害、偽膜性大腸炎、痙攣、横紋筋融解症、間質性肺炎、低血糖、意識障害など

 

経験したこと

別ページ、カンサイダス(カスポファンギン)、調製法の謎にせまるの患者さんが点滴から内服に変更ということでブイフェンド(ボリコナゾール)が処方された。当院は内服も注射も抗真菌薬が少ない。

 

早速、服薬指導に行こうと添付文書の警告を見ていると・・・・

 

肝障害・・・まぁまぁ。

 

羞明、視覚障害!?

 

なんだこれは!!臨床試験時のデータで25%くらいも出ている。これは伝えないと。

 

ブイフェンド(ボリコナゾール)は併用禁忌の薬が多いイメージだったけど、視覚障害の可能性が高いことなんて全く知らなかったので、いい勉強になった。無事に何事もなく、経過してくれれば良いが・・・この記事に追記がないことを祈るばかりである。

 

 

まとめ

  • ブイフェンド(ボリコナゾール)はアゾール系の抗真菌薬。
  • 併用禁忌が多いだけでなく、視覚障害にも気を付ける必要がある。

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