カンサイダス(カスポファンギン)、調製法の謎にせまる

カンサイダス(カスポファンギン)、調製法の謎にせまる

カンサイダス(カスポファンギン)はカンジダ症やアスペルギルス症に使われるキャンディン系の薬です。添付文書上の調製法であると、実際投与されるのが72mgや52mgになるのではないかという疑問にせまります。

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カンサイダス(カスポファンギン)、調製法の謎にせまる

由来

  • CANdida(カンジダ)、CIDal(殺害の意味をつくる接尾語)、ASpergillus(アスペルギルス)から命名。

 

CAN(カンジダ)AS(アスペルギルス)から抗真菌薬であることは推測可能である。さらに強引ではあるが、CANをキャンに結び付ければ、キャンディン系であることもつなげられる。

 

特徴

  • 成人および小児の真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症の適応をもつキャンディン系
  • カンジダ属、アスペルギルス属による真菌感染症に対する優れた臨床効果を持つ
  • ローディングドーズにより、初日から目標トラフ値を達成

 

カンサイダス(カスポファンギン)の作用機序の前に、真菌について確認する。

 

真菌はヒトと同様に、真核生物なので、薬がヒトの細胞も攻撃してしまう恐れがある。よってヒトには影響を与えないような作用機序が必要である。

 

真菌の細胞において、ヒトと違うところは、細胞膜がエルゴステロールで構成されていることや細胞壁が1,3-β-D-グルカンで構成されていることなどがあげられる。主にこの2つを攻撃すれば、ヒトに影響を与えることなく真菌のみをやっつけることができる。

 

今回のカンサイダス(カスポファンギン)はキャンディン系に属する。キャンディン系は先ほどの真菌構成成分のうち、真菌の細胞壁の構成成分である1,3-β-D-グルカンの生合成を阻害することで作用をしめす。

 

 

用法用量

成人
真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症
  • 初日に70mg、2日目以降は50mgを1日1回投与する。1時間かけて緩徐に点滴静注する。

 

カンジダ属又はアスペルギルス属による真菌感染症
  • 食道カンジダ症;50mgを1日1回投与する。1時間かけて緩徐に点滴静注する。
  • 侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症;初日に70mg、2日目以降は50mgを1日1回投与する。1時間かけて緩徐に点滴静注する。

 

小児
  • 投与初日に70mg/m2(体表面積) を、投与2日目以降は50mg/m2(体表面積)を約1時間かけて1日1回緩徐に点滴静注。1日用量として70mgを超えないこと。

 

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Child-Pughスコアで中等度(7〜9)の場合、減量が必要
  • 食道カンジダ症;35mg/日
  • 発熱性好中球減少症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症;初日は70mg、2日目以降は35mg/日

 

なお、Child-Pughスコアで重度(10以上)の場合は使用経験がない。

 

調製法
  • 1バイアルに生理食塩水又は注射用水10.5mlを注入し、ゆっくりとふりまぜて溶解する。溶かした後は7.2mg/ml(70mgバイアル)、5.2mg/ml(50mgバイアル)となる。
  • 希釈液は生理食塩水又は乳酸リンゲル液を用いる。必要量を250mlの希釈液で希釈し点滴静注する。1日量が50mg又は35mgの場合には希釈液を100mlに減じることができる。

 

調製時の損失を考慮して、70mgバイアルは75.6mg、50mgバイアルは54.6mg入っているので注意が必要。

 

希釈液はブドウ糖を用いない(ブドウ糖だと不安定)。また他の薬と混合せず、他剤と同じラインで同時に点滴静注は行わない。他剤と連続注入する場合は投与前後にラインを生食又は乳酸リンゲルでフラッシュする(他剤と混合して投与したデータはない)

 

溶解後の必要量
  • 70mg;70mgバイアルなら10ml抜き取り。50mgバイアルなら二本から14ml抜き取り。
  • 50mg;70mgバイアルなら7ml抜き取り。50mgバイアルなら10ml抜き取り。
  • 35mg;70mgバイアルなら5ml抜き取り。50mgバイアルなら7ml抜き取り。

 

 

重大な副作用

  • アナフィラキシー、肝障害

 

経験したこと

カンサイダス(カスポファンギン)をアスペルギルス疑いの患者に使いたいということで、先生から連絡があり開始となった。そのときは添付文書通りの使い方を伝えたのだが、家に帰って添付文書を見直していると疑問に思うことがあった。

 

溶かした後は7.2mg/ml(70mgバイアル)、5.2mg/ml(50mgバイアル)となる。溶かした後の液から10mlを抜き取ったら、72mg、52mgなのではないかと???

 

メーカーさんの問い合わせセンターも今日は終了しているし、疑問を抱えたまま、その日は寝ることになった。

 

 

次の日メーカーさんに問い合わせた。

 

私「カンサイダスの添付文書通りに調製して使ったら、72mgや52mgになるかと思うんですが、誤差の範囲ということでしょうか?」

 

メーカーさん「誤差の範囲となります。試験段階ではこのような使い方をしていたので、添付文書もそのようになっております」

 

私「誤差の範囲なんですね。そうしたら細かい調整法を抜きにして、全量溶かして、全量回収したら75.6mgや54.6mg入ることになるかと思うのですが、これは誤差の範囲にはならないのでしょうか?」

 

メーカーさん「調整後の最終濃度が0.5mg/mlを超えないようにとなっていますので、正規の手順を推奨しております。」

 

私「なるほど。ありがとうございました。」

 

といった具合に疑問は解決した。過量充填や誤差は難しい〜用法用量は正しく守って使いましょう(笑)

 

まとめ

  • カンサイダス(カスポファンギン)はキャンディン系。
  • カンサイダス(カスポファンギン)は調整法が複雑なため注意が必要である。

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