アリセプト(ドネペジル塩酸塩)、認知症とBPSDとその対応

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)、認知症とBPSDとその対応

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)は、アセチルコリンエステラーゼを阻害することで、アセチルコリンの濃度を高めます。認知症患者は中核症状やBPSDをはじめとした症状があり、それに対する対応を知っておくことが重要です。

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アリセプト(ドネペジル塩酸塩)、DSTと認知症、BPSDへの対応

由来

  • Ariceptの[Ari]はアルツハイマーを、[cept]は(アセチルコリン)レセプターをイメージしている。

 

微妙なところから引っ張ってきている・・・。個人的には何にもつなげられない。

 

特徴

  • 強力かつ選択的なアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害作用を有する。
  • 血漿中濃度消失半減期が長いので、1日1回投与。
  • 脳内のAChEを阻害し、脳内アセチルコリン量を増加させる
  • アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の中核症状である認知機能障害の進行を抑制する。

 

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)の作用機序はアセチルコリンエステラーゼを阻害することによる。

 

アセチルコリンは記憶に関わる神経伝達物質であり、アルツハイマー型認知症患者は減少していると考えられている。

 

 

記憶に重要なアセチルコリンであるが、アセチルコリンエステラーゼによって分解される。アリセプト(ドネペジル塩酸塩)は、そのアセチルコリンエステラーゼを阻害することによって、アセチルコリンの分解を防ぐ。

 

 

用法用量

アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
  • 1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4 週間以上経過後、10mgに増量。適宜増減。

 

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制
  • 1日1回3mgから開始し、1〜2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。症状により5mgまで減量できる。

 

 

注意書きに3mg/日投与は有効用量ではなく、消化器系副作用の発現を抑える目的なので、原則として1〜2週間を超えて使用しないこと。とある。時々知らない先生もいて、漫然と使い続けている場合もあるので注意が必要。

 

 

重大な副作用

  • QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック、失神、心筋梗塞、心不全、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血、肝炎、肝機能障害、黄疸、脳性発作、脳出血、脳血管障害、錐体外路障害、悪性症候群、横紋筋融解症、呼吸困難、急性膵炎、急性腎障害、原因不明の突然死、血小板減少など

 

経験したこと

今回は特にアリセプト(ドネペジル塩酸塩)にまつわる話ではない。院内で新たに始まった、DST(Dementia Support Team);認知症サポートチームとなったので、これから数回に渡りまとめようと思う。

 

これから認知症患者はどんどん増えていくであろうから、家族から質問を受ける機会が増えるはずである。そうした時に最低限のことは知っておくことで、コミュニケーションが円滑になるはずだ。

 

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認知症とは

なんとなくイメージは出来ていると思うが、認知症とは一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障を来すようになった状態である。そして、認知機能障害は現時点では、回復不可能。よって認知症患者を元に戻すということは難しいということを知っておかないといけない。

 

認知症患者は後に説明する様々な言動がある。それが周囲の人を巻き込んでいくことになる。しかし認知症患者本人は、自身の行動を異常と思っていないため、周りの人は患者本人の立場になって言動を理解することが必要である。また接し方としては、出来なくなったことを元通りに治そうとするのではなく、出来なくなったことを尊重し、代行していかなければいけない

 

 

ただ認知症患者に関わる家族などの一般人はそうした理解がなかなか難しい。そのため、医療人が認知症患者と、家族などの一般人の橋渡しをする役割が求められる。その役割の一つがDSTにはあるのだと思う。

 

認知機能とは

認知機能とは、理解、判断、注意、実行機能、見当識、記憶などをさす。これらは自立した生活には必要な能力であり、先ほども述べたように、支障が出ると認知症となる。この認知機能は加齢とともに低下していくが、認知症はこの低下の速度が速い

 

 

身体機能も、もちろん加齢とともに低下していくが、身体機能もまた認知症だと低下の速度が速くなる。つまり最終的には動けなくなり、寝たきりとなる。これは一般的な加齢による終末と認知症の終末は特に変わらないことがわかる。速度が違うだけなのである。

 

では、認知症の症状とはいったいなんなのだろうか?

 

認知症の症状

主に中核症状BPSDにわけられる。

 

中核症状

いわゆる認知機能障害であり、以下のようなものがある。

 

  • 記憶障害;新しいことを覚えられない。最近のことを忘れてしまう。
  • 見当識障害;日にち、場所、人物名などが認識できない。
  • 失語;言葉がでてこない。
  • 失行;今までできていた生活などの動作ができない。
  • 失認;ものが何かわからない。
  • 遂行機能障害;計画を立てたりできない。

 

BPSDとは

Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略であり、行動心理症状などと呼ばれる。先ほどの中核症状から派生して起こることが多い。具体的には徘徊や妄想・攻撃的行動・不潔行為・異食・奇声・幻視・抑うつなどがあり、要するに私たちが漠然とイメージできるような問題行動のことになる。

 

これらは問題行動と思われがちだが、その背景として原因や意味などがあるかもしれない。患者が何か訴えたいのだけれど、うまく表現できなかったりしていることもあるため、うまくメッセージを感じ取ることも重要である。

 

そしてBPSDが激しくなっていることは、症状が進行していると家族などに誤解されることがある。しかしBPSDが激しくなっていることと症状の進行はイコールではない。なぜなら先ほども話したように、進行すると問題行動を起こす体力も低下してくるからである。よって認知症の進行具合によって必要なことが変わってくる。

 

  • 認知症の前半では、心と行動の介護
  • 認知症の後半では、身体介護

 

となる。後半はBPSDをする力も残されていないから、前半が山場であることがわかると思う。これを知ることで家族も余裕を持って、認知症患者に向き合えると思われる。

 

 

その他症状
もの取られ妄想

自分がなくしたことを覚えていないため他の人が盗んだと妄想してしまう。自分が盗んだと思われると、とてもやっかいである。そう思われないために、先に見つけたとしても、あえて言わず、さりげなく患者本人が見つけるように仕向けると、トラブルなく対応できる。

 

帰宅願望

病院など慣れない環境に置かれると帰りたがることがある。その場合「帰れない」と言うと、絶望を与えてしまう。「もう少しで帰れますからね」などと希望を持たせて返事をすると、患者も安心する。だいたい患者は話した内容は覚えていないので、時には嘘を交えながら話す必要がある。嘘も交えつつ、いかに納得させるかを考えていかなければならない。

 

せん妄

始まる日時をほぼ特定できるのが特徴。昼寝をさせてしまうと、当然夜が眠れなくなってしまう。そのためストレスを与えない程度に昼間覚醒させて、夜間しっかり睡眠することが重要。

 

まとめ

アリセプト(ドネペジル塩酸塩)は、アセチルコリンエステラーゼを阻害することでアセチルコリンの濃度を高める。
認知症患者の症状には、中核症状やBPSDをはじめとする様々な症状があり、その対応などを知っておくことが重要。

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