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クレアチニンはCr(Creatinine)とカルテに記載され、主に腎機能を評価するのに使われます。そもそもクレアチニンとはなんなのでしょうか?
筋肉にはクレアチンというアミノ酸の一種があり、エネルギーの発生に関与しています。このクレアチンが燃えて、エネルギーを産生した後に出てくる、燃えカスがクレアチニンになります。
クレアチニンは腎臓の糸球体でろ過され、尿細管での再吸収をほぼ受けずに、尿中に排出されます。そのため、腎機能が低下し、ろ過が減ってくると血清クレアチニン値が上昇してくるのです。
クレアチニンの基準値は0.2〜1.2mg/dlと言われています。私は面倒なので、下の0.2は覚えず、ざっくり上が1.0を超えたらやばいくらいでしか覚えていません。
なぜかというと、細かい腎機能はクレアチニンクリアランスを見るからです。クレアチニンの検査は腎機能が50〜70%くらいまで低下しないと検査結果にあらわれず、腎機能障害の初期段階には有効に使えないことがあります。
その名の通り、クレアチニンをどれくらいクリアランスするかというものです。細かく言うと、糸球体が1分間でどれくらいのクレアチニンを除去できるかというかということになります。
私はクレアチニンクリアランスについては70ml/minを下回ったら、腎機能低下があるなぁ。くらいでしか覚えていません。なぜなら、減量が必要であれば、クレアチニンクリアランスの目安の値が添付文書に書かれているからです。
クレアチニンクリアランスの検査方法は畜尿したりして測定するそうですが、薬剤師はそこはどうでもいいと思います。むしろ知っておくべきはCockcroft-Gault式でしょう。
コッククロフトゴールト式と呼ばれるものです。大学の時にはガルトって言ってる先生もいた気が・・・まぁコッククロフト式とか言われることが多いので、そこらへんは適宜察してあげてください。
畜尿などが面倒だということから、血清クレアチニン値よりクレアチニンクリアランスを予測するための式になります。先ほど、クレアチニンは主に筋肉にあるという話をしました。そのため、筋肉のある男性の方が多くなります。よってこの式も男性と女性では式が少し違います。
この式の機能が搭載された電卓があり、メーカーさんからもらえていたようです。しかし、私の職場では今は絶版となり、手に入らないということになっています。真実はどうなのかはわかりません。電卓に頼りたいところですが、この式は覚えておいて損はないです。私は国試の勉強で覚えました。電卓なしで、計算できるようになることをオススメします。
気になる覚え方ですが、今回はゴロはありません。何回も計算して覚えてください。気合論が95%です(笑)しかし、私なりに覚え方のヒントを。
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第一に、72を死ぬ気で覚えましょう。72を2倍すると、140という数字がぼんやり出てきます。覚えられる人は、こんなことしなくていいです。とにかく、この72と140を覚えなければ、どうしようもできません。
そして、140から何かを引くんだっけな・・・年齢と体重どっちだっけなぁ・・・となるはずです。ここで、ちょっと待ってください。現実的に考えると、引いたときにマイナスになってはいけないんです。クレアチニンクリアランスがマイナスになってしまいますから。そうすると、年齢で140歳と、体重140kgどっちが現実的にありうるかを考えるんです。体重140kgはテレビとかで見るかもしれませんが、年齢140歳は余裕でギネス越えなわけです。よって、140から引くのは年齢だと覚えることができます。
次は、せっかく引くところで迷ったので、そのまま140から引いた年齢に残りの体重を掛け算しましょう。
掛け算したから、今度は割り算です。72と血清クレアチニンを割れば、男性の出来上がり。
そして先ほどもお話ししたように、男性より女性の方が筋肉少ないので、0.85をかければ、女性のできあがり。
私はこんな風に覚えました。
さきほどのCockcroft-Gault式では推定クレアチニンクリアランスを計算しました。ここで復習がてら次の例題を解いてください。
次の患者の推定クレアチニンクリアランスを計算せよ。
1が100ml/min。2が50ml/minとなるかと思います。
ここでもう一度問題を見ていただくと、体重しか条件が変わっていないことに気づくと思います。体重があるだけでクレアチニンクリアランスが100ml/minあるから腎機能は大丈夫としていいのか?という問題が出てきます。脂肪がたくさんあって、太っている人は腎機能が必ずしもいいとは限りません。他にも高齢者は筋肉量が少ないため、クレアチニンが極端に低く出る時があります。
そういったことを考慮して作られたのが、eGFRです。Estimated Glomerular Filtration Rateの略で、推定糸球体濾過値と訳されます。
eGFRも男性と女性に分かれています。
さすがに、eGFRまでは式を私は覚えていません・・・パッと計算出来たらかっこいいなとは思うのですが、カルテの検査値の項目に甘えてしまっています(笑)
この式で求めたeGFRは体表面積が1.73uの人における値で標準化eGFRと呼ばれるものです。標準化eGFRは以下のように慢性腎臓病(CKD)のステージ評価にも使われ、日常的な腎機能評価に使われます。
ここで注意すべきなのは標準化eGFRは体表面積が1.73uの人における値なので、本来であれば患者によって体表面積が異なるので補正をしてあげる必要があります。それが個別化eGFRです。
標準化eGFRの単位が(ml/min/1.73u)なのに対して、患者の体表面積をかけているので個別化eGFRの単位は(ml/min)となります。では、標準化eGFRと個別化eGFRは何が違うのかというと以下のようなイメージとなります。
よって先ほどの例題のような標準体型から大きく外れるような患者には個別化eGFRを使っていくのが良いのではないかと私は考えています。
シスタチンCは、結論から言うと、腎機能の指標となる検査値になります。シスタチンCは、システインプロテアーゼという酵素を阻害しているタンパク質で、体内に広く存在しています。血中に分泌されたシスタチンCは血中のタンパクと結合せず、分子量が小さいです。そのため、糸球体を通過することが出来ます。通過したシスタチンCは近位尿細管で、ほぼ再吸収されてアミノ酸まで分解されます。よってGFRの低下に伴い、シスタチンCが上昇します。
クレアチニンは、年齢、性別、筋肉量、食事などの影響を受ける可能性がありましたが、シスタチンCは影響を受けません。さらに、GFRが70ml/min前後の軽度の腎障害でも上昇するので、より早期の腎障害に有効であると言えます。
血清シスタチンCからeGFRを求める式も公表されています。
もしクレアチニンクリアランスを算出して、結果が疑わしいとき、シスタチンCを検査していれば、計算してみるといいでしょう。
全ての薬で腎機能障害は起こる可能性がありますが、代表的なものに以下の薬があります。
少なくとも新しい薬が始まったら、クレアチニンを追いかけることで、腎機能障害を早期発見することができます。