![抗生物質、タンパク質合成を阻害するもの](../img/header.jpg)
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前回の抗生物質、細菌の細胞壁に作用するものでは、細胞壁に作用するものをまとめました。今回はタンパク質合成を阻害する抗生物質をまとめていきます。
細菌も私たちと同じように生きていくためにはタンパク質を作ることが必要です。そこを阻害することで今回の抗生物質は作用を示します。
まずは、細菌のタンパク質合成を簡単に確認していきます。
タンパク質が作られるには、おおまかに以下のステップが必要です。
タンパク質を作っている工場のような場面をイメージしながら見てください。
タンパク質を作るには、作り方が載った指示書が必要です。指示書であるRNAを、原本のDNAからコピーする過程が、転写と呼ばれる工程であることがわかればよいです。
ステップ1でつくった指示書であるRNAをもとに、タンパク質を作ります。このときにタンパク質を作る工場がリボソームと呼ばれるものになります。指示書を翻訳して、リボソームでタンパクを作る工程が翻訳とわかればよいです。
全体像をざっくりと確認したところで、工場であるリボソームに焦点を当てていきます。工場であるリボソームはいくつかの部品から出来ています。真核生物では40Sリボソームと60Sリボソームです。原核細胞では30Sリボソームと50Sリボソームです。この工場の部品を機能させなくすれば、歯車が合わなくなり、工場としての機能がうまくいかなくなることがイメージできるかと思います。
この真核細胞と原核細胞で、それぞれ工場が違うところに着目したのが、今回の抗生物質になります。
タンパク質合成阻害薬には以下のようなものがあります。
覚えるにあたって、ゴロではなく図を覚えましょう。
人の顔の図に、「あくまでリン」と当てはめます。特に「あくまでリン」に意味はありません(笑)片方の耳だけピアスがついているのがポイントです。
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30Sリボソームと50Sリボソームを阻害して、タンパク質合成を阻害します。
ハベカシン(アルベカシン)はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)にも使われます。
また、カナマイシンは感染性腸炎だけでなく、高アンモニア血症にも現場では使われます。
50Sリボソームを阻害して、タンパク質合成を阻害します。
クロマイ膣錠は、細菌性膣炎に産婦人科でよく使われます。
50Sリボソームを阻害して、タンパク質合成を阻害します。
消化性潰瘍治療薬、ピロリ菌の除菌でも紹介したように、クラリス(クラリスロマイシン)はピロリ菌の除菌にも使われます。
ジスロマック(アジスロマイシン)は3日間内服することで、約7日間効果が続きます。
30Sリボソームを阻害して、タンパク質合成を阻害します。
テトラサイクリン系は、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄などの金属とキレートを作り吸収が落ちることがあるため、相互作用に注意が必要です。一般的に2時間ほどずらして飲むように指導します。
ダラシンゲルが、ざ瘡によく使われます。