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前回の抗がん剤、アルキル化薬とDNAに続き、今回は代謝拮抗薬についてまとめていきます。

薬の前に、細胞周期の確認をしておきます。
細胞が増える周期には、分裂期と分裂間期があり、これを繰り返すことによって分裂を行っています。
細かく言うと、G0期(静止期)→G1(第一間期)→S期(DNA合成期)→G2期(第二間期)→M期(分裂期)→G0期・・・という風にサイクルがクルクル回っています。
文字の通り、おおまかに以下のような役割となっています。
、世界初のcdk46阻害薬とホルモン療法1.png)
正常な細胞分裂は、この細胞周期を行い過不足なく増殖を繰り返しています。しかし、がん患者は細胞が限りなく増殖を続けています。
今回の代謝拮抗薬は細胞周期のうち、S期に関わるものが多いです。
代謝拮抗薬は細胞増殖などに必要な物質に構造が似ています。そのため、がん細胞内に代謝拮抗薬が取り込まれると、がん細胞の増殖の反応を抑えます。
代表的なものには以下のようなものがあります。
前回のアルキル化薬で軽く触れたDNAの塩基のうち、アデニンとグアニンがロイケリン(メルカプトプリン)の作用に関わります。アデニンやグアニンはプリン塩基と呼ばれ、イノシン酸から作られるアデニン酸やグアニル酸が材料となります。

ロイケリン(メルカプトプリン)は、構造式がアデニンやグアニンと似ています。そのため、ロイケリン(メルカプトプリン)が取り込まれ、チオイノシン酸になると、イノシン酸と似たものが出てくることになり、アデニル酸やグアニル酸の合成がうまくいかなくなります。
その結果、がん細胞の増殖を抑えることができます。
先ほどのアデニン、グアニンに対して、チミンやシトシンはピリミジン塩基と呼ばれます。5-FU(フルオロウラシル)はピリミジンに似た構造式を持ちます。
DNA合成には、チミジル酸が必要となりますが、チミジル酸はデオキシウリジル酸にチミジル酸合成酵素が働いて作られます。
5-FU(フルオロウラシル)が取り込まれ、5-フルオロデオキシウリジル酸(5-FdUMP)となると、チミジル酸合成酵素を阻害するため、うまくDNAが作られなくなります。

5-FU(フルオロウラシル)は化学療法で有名なレジメンであるFOLFILI(フルオロウラシル+レボホリナート+イリノテカン)やFOLFOX(フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン)で使われます。
これらのレジメンで出てくるアイソボリン(レボホリナート)は、5-FU(フルオロウラシル)のチミジル酸合成酵素に対する作用を増強させます。
フルツロン(ドキシフルリジン)は代謝されると、5-FU(フルオロウラシル)となります。このようなものをプロドラッグと呼びます。
ゼローダ(カペシタビン)はフルツロン(ドキシフルリジン)のプロドラッグです。
TS-1(テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム)は配合剤で、大きく3つの成分が入っています。3つの成分のイメージとしては以下のような感じです。
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テガフールは先ほどの5-FU(フルオロウラシル)のプロドラッグです。しかし、テガフールはジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)によって代謝されてしまいます。それを防ぐのがギメラシルです。ギメラシルはジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)を阻害することで、効果を持続させます。
5-FU(フルオロウラシル)は、下痢、吐き気などの副作用を起こすことがあります。これは消化管で5-FU(フルオロウラシル)がオロテートホスホリボシルトランスフェラーゼ(OPRT)という酵素によって生じた物質が原因と考えられています。オテラシルカリウムは、消化管のOPRTを阻害することによって、これらの副作用を軽減させます。
国試対策としては「お寺知るカリウム」と覚えましょう。お寺を知ることによって、和やかな気持ちになって副作用を軽減するというイメージです。やや強引(笑)

キロサイド(シタラビン)はがん細胞でリン酸化されてシタラビン三リン酸ヌクレオチドになります。かなり省略しますが、このシタラビン三リン酸ヌクレオチドがDNA合成に関わるDNAポリメラーゼという酵素を阻害します。
スタラシド(シタラビンオクホスファート)、サンラビン(エノシタビン)はキロサイド(シタラビン)のプロドラッグです。
こちらもかなり省略しますが、がん細胞でリン酸化物となり、DNA合成を阻害します。
ジェムザール(ゲムシタビン)は「〇ラックジャックによろしく」の膵臓がんの話にも出てくる抗がん剤です。
DNAの材料の1つは葉酸です。葉酸がうまく使われるためにはジヒドロ葉酸レダクターゼと呼ばれる酵素により反応が進んでいくことが必要です。
メソトレキセート(メトトレキサート)は、ジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害してDNAの生合成を抑制します。

メソトレキセート(メトトレキサート)はがん細胞だけでなく、正常細胞のジヒドロ葉酸レダクターゼも阻害し、骨髄抑制などの副作用を起こしてしまうことがあります。そのような副作用を防ぐために使われるのがロイコボリン(ホリナートカルシウム)です。ロイコボリン(ホリナートカルシウム)は正常細胞にのみ取り込まれ活性型葉酸として働きます。