制吐薬、抗がん剤による吐き気のメカニズム

制吐薬、抗がん剤による吐き気のメカニズム

抗がん剤による吐き気は患者にとって苦痛であり、治療効果にも大きな影響を与えます。制吐薬は嘔吐中枢より手前で抑えることで吐き気を抑えていきます。

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制吐薬、抗がん剤による吐き気のメカニズム

抗がん剤などの副作用での吐き気は、患者さんにとっては耐えがたい苦痛となり治療効果にも大きな影響を与えます。その苦痛を少しでも和らげてくれるのが制吐薬になります。

 

 

まず薬の前に吐き気がどのようにして起こるのかを確認します。

 

吐き気のメカニズム

大きく以下の3つにわけられます。

 

  • 化学受容器引き金帯(CTZ;chemoreceptor trigger zone)の刺激;延髄の近くにはCTZがあり、D2受容体、5-HT3受容体、NK1受容体などがあります。CTZが刺激されると、その情報が嘔吐中枢に届いて嘔吐する。
  • 内耳の半規管の刺激;内耳の半規管が刺激されると、情報が内耳の神経を介して嘔吐中枢に届いて嘔吐する。
  • 胃粘膜や咽頭粘膜の刺激;これらの粘膜が刺激されると、情報が迷走神経を介して嘔吐中枢に届いて嘔吐する。

 

 

嘔吐中枢に情報が伝えられてしまうと嘔吐になってしまうので、その前で止めて情報を伝わらせないようにするのが制吐薬となってきます。

 

制吐薬

制吐薬には以下のようなものがあります。

 

  • D2受容体遮断薬
  • 5-HT3受容体遮断薬
  • 末梢性制吐薬
  • 抗動揺病薬
  • ニューロキニン1(NK1)受容体遮断薬

 

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D2受容体遮断薬

ナウゼリン(ドンペリドン)、プリンペラン(メトクロプラミド)

 

  • D2受容体遮断

 

CTZのD2受容体を遮断することで嘔吐を抑えます。

 

 

ゴロを使うまでもないですが、統合失調症などでもD2受容体遮断薬は出てきますので、一応載せときます。

 

  • ドンペリで2mのホスト嘔吐

 

 

  • ドンペリ;ドンペリドン
  • で2;D2
  • m;メトクロプラミド
  • 嘔吐;制吐薬

 

イメージ作りの物語を。

 

あるホストクラブに2mの超大型イケメンが新人で入りました。早速お客さんからドンペリの注文が入り、飲みましたが、慣れておらず吐いてしまうという物語です。

 

5-HT3受容体遮断薬

カイトリル(グラニセトロン)、ゾフラン(オンダンセトロン)、セロトーン(アザセトロン)、ナゼア(ラモセトロン)、アロキシ(パロノセトロン)

 

  • 5-HT3受容体遮断

 

CTZや消化管の迷走神経終末の5-HT3受容体を遮断することで嘔吐を抑えます。

 

 

語尾が「〜セトロン」であるため覚えやすいと思います。

 

末梢性制吐薬

ストロカイン(オキセサゼイン)

 

  • 局所麻酔作用

 

ストロカイン(オキセサゼイン)は、消化性潰瘍治療薬としても出てきましたが、胃粘膜を麻痺させて嘔吐を抑える作用もあります。

 

 

抗動揺病薬

トラベルミン(ジフェンヒドラミン、ジプロフィリン配合)、ヒベルナ(プロメタジン)

 

  • 内耳神経の遮断

 

乗り物酔いなどでも吐き気を経験したことがある人は多いのではないでしょうか。これらの薬は内耳の半規管から神経を介して、嘔吐中枢に情報が伝えられるのを遮断して、嘔吐を抑制します。

 

 

ニューロキニン1(NK1)受容体遮断薬

イメンド(アプレピタント)、プロイメンド(ホスアプレピタントメグルミン)

 

  • NK1受容体遮断

 

CTZのNK1受容体を遮断することで、嘔吐を抑えます。イメンド(アプレピタント)は内服薬で、プロイメンド(ホスアプレピタントメグルミン)は注射薬です。

 

 

抗がん剤による制吐薬と言えば、5-HT3受容体遮断薬かNK1受容体遮断薬という感じになりますが、レジメンによって最適なものを検討していくことが必要です。

 

まとめ

  • 抗がん剤による吐き気は患者にとって苦痛であり、治療効果にも大きな影響を与える。
  • 制吐薬は、嘔吐中枢より手前で抑えることで吐き気を抑える。

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