![コリン作動薬、間接型](../img/header.jpg)
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前回の、コリン作動薬、直接型に続き今回は間接型をまとめていきます。間接型は、アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼを阻害することによって作用します。
薬の前にまずアセチルコリンがどのようにしてコリンエステラーゼに分解されるのかを確認します。
コリンエステラーゼは、構造式上に2つの活性中心があり、陰性部とエステル部とそれぞれ呼びます。活性中心を例えるなら、アセチルコリンをがっちり捕まえるための腕と思ってください。
それに対して、アセチルコリンも、構造式上に腕のようなものがあり、第4級アンモニウム基とカルボニル基を持っています。
アセチルコリンの第4級アンモニウム基はプラスになっており、コリンエステラーゼの陰性部は名前の通りマイナスになっています。プラスとマイナスで引き合うためにイオン結合でつながります。
もう片方の腕はと言うと、アセチルコリンのカルボニル基は、コリンエステラーゼのエステル部と共有結合をして、つながります。
こうしてコリンエステラーゼに捕まったアセチルコリンはコリンと酢酸に分解されます。
化学の話もあったと思うので、難しいと思いますが、要するにコリンエステラーゼが腕を伸ばしてアセチルコリンを捕まえて分解するイメージを持ってもらえればよいと思います。
先ほどのコリンエステラーゼの活性中心に結合して、機能させなくすることによって作用を示します。効果が可逆的か、非可逆的かによってわかれます。
コリンエステラーゼを一時的に阻害します。基本的に活性中心に結合して、コリンエステラーゼのエステル部をカルバモイル化することで阻害しますが、後で加水分解されてコリンエステラーゼは元に戻ります。薬としては「〜チグミン」や「〜ニウム」があります。
コリンエステラーゼ阻害作用もありますが、筋にも直接刺激作用を持ちます。そのため、重症筋無力症や腸管麻痺などに使われます。
点眼薬では緑内障などに使われます。内服薬では排尿困難や重症筋無力症などに使われます。
重症筋無力症に使われます。
コリンエステラーゼの活性中心の陰性部のみと結合します。イメージとしては片腕だけしか捕まえません。よって、作用時間が非常に短いです。そのため重症筋無力症の診断などに使われます。
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コリンエステラーゼを非可逆的に阻害するため、医療用としては用いられません。可逆的コリンエステラーゼ阻害薬はコリンエステラーゼをカルバモイル化したのに対して、非可逆的コリンエステラーゼ阻害薬はリン酸化し、がっちりと阻害するため非可逆的となります。
殺虫剤として使われていたパラチオンや、事件で有名となったサリンがあります。
医療用でないとしても、可逆的か非可逆的かの違いなので、アセチルコリンが溜まることに変わりはありません。前回などのまとめから、アセチルコリンが溜まることによって、ムスカリン作用(縮瞳、吐き気、呼吸困難など)やニコチン作用(痙攣)などが引き起こされることがわかるかと思います。
解毒薬には、パム(プラリドキシム)とアトロピン(アトロピン)が使われます。
パム(プラリドキシム)は、リン酸化されてしまったコリンエステラーゼからパラチオンやサリンを引きはがして、コリンエステラーゼを元に戻します。
アトロピン(アトロピン)は、抗コリン薬(抗ムスカリン薬)であり、アセチルコリンがM受容体にくっつけないようにして毒性を弱めます。