抗真菌薬、エルゴステロールと1,3-β-D-グルカン

抗真菌薬、エルゴステロールと1,3-β-D-グルカン

真菌は細胞膜がエルゴステロール、細胞壁は1,3-β-D-グルカンからなります。抗真菌薬のうち、細胞壁の1,3-β-D-グルカンを攻撃するので有名なのはキャンディン系です。
です。

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抗真菌薬、エルゴステロールと1,3-β-D-グルカン

前回までは抗生物質、つまり細菌の話をしました。今回は真菌です。真菌というとあまりピンとこないかもしれませんが、身近な例でいうとカビやキノコなどがあります。病気で有名なのは水虫ですね。

 

 

これらの真菌に対しては抗真菌薬が使われます。まず真菌の構造から確認します。

 

真菌の構造

真菌はヒトと同じ真核生物ですが、細胞膜はエルゴステロール、細胞壁が1,3-β-D-グルカンであるところが異なります。

 

 

ヒトと異なるところを攻撃することで、真菌のみをやっつけることができます。

 

抗真菌薬

抗真菌薬には以下のようなものがあります。

 

  • アゾール系
  • アミン系
  • ポリエン系
  • キャンディン系

 

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アゾール系

ブイフェンド(ボリコナゾール)、イトリゾール(イトラコナゾール)、エンペシド(クロトリマゾール)、ニゾラール(ケトコナゾール)、ジフルカン(フルコナゾール)、フロリード(ミコナゾール)、プロジフ(ホスフルコナゾール)、ルリコン(ルリコナゾール)

 

  • C-14脱メチル酵素の阻害

 

真菌の細胞膜はアセチルCoAから始まり、スクアレン、ラノステロールなどを経て、エルゴステロールが作られます。

 

 

アゾール系はそのうち、ラノステロールからエルゴステロールになるのに必要なC-14脱メチル酵素を阻害することで、エルゴステロールが作られないようにします。

 

補足として、イトリゾール(イトラコナゾール)の内服は内用液剤とカプセルの2つありますが、それぞれ適応や用法が違います。

 

  • イトリゾール(イトラコナゾール)内用液剤;空腹時
  • イトリゾール(イトラコナゾール)カプセル;食直後

 

イトリゾール(イトラコナゾール)カプセルを空腹時と食直後で比べた場合、食事による胃酸分泌量の増加、胃の蠕動運動の活発化などの要因及び食事内容の脂肪成分の影響(イトラコナゾールは脂溶性が高く溶解性が上昇する可能性がある)により吸収率が高まると推定されていることから食直後となっています。

 

アミン系

ラミシール(テルビナフィン)、メンタックス(ブテナフィン)

 

  • スクアレンエポキシダーゼの阻害

 

先ほどのエルゴステロールを作る際、スクアレンがスクアレンエポキシダーゼという酵素によって、スクアレンエポキシドになる過程があります。

 

アミン系はスクアレンエポキシダーゼを阻害することで、エルゴステロールを作られないようにします。

 

ポリエン系

ファンギゾン(アムホテリシンB)

 

  • 細胞膜機能障害

 

ポリエン系は、エルゴステロールと結合することで細胞膜の機能を障害します。

 

キャンディン系

ファンガード(ミカファンギンナトリウム)、カンサイダス(カスポファンギン)

 

  • 1,3-β-D-グルカンの生合成阻害

 

キャンディン系は細胞壁の構成成分である1,3-β-D-グルカンの生合成を阻害します。

 

ミカちゃんはキャンディーと壁ドン大好きと覚えましょう。

 

 

  • ミカちゃん;ミカファンギン
  • キャンディー;キャンディン系
  • 壁ドン;細胞壁

 

クラスでモテモテのミカちゃんは、キャンディーが好きなだけでなく、実は壁ドンも大好きだったというお話です。

 

まとめ

  • 真菌は、細胞膜はエルゴステロール、細胞壁は1,3-β-D-グルカンからできている。
  • 細胞壁を攻撃するので有名なのはキャンディン系。

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