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虚血性心疾患とは、そのまま訳すと、血が無くなることによる心疾患という感じでしょうか。虚血性心疾患と言われると、いまいちピンとこないかもしれませんが、心筋梗塞や狭心症などがあります。特に心筋梗塞は、テレビなどでも取り上げられ、患者さんも高い興味を示していることがわかります。
では改めて虚血性心疾患とは、何なのかというと、心臓に血液を送る冠動脈が詰まってしまい、心筋への血液供給が不足してしまっている状態です。私たちが息を止めて苦しいように、心臓も血液が届かなくなると、苦しくなってしまいます。一時的であればどうにか耐えられますが、長時間続くと死んでしまいます。一時的な血液供給不足で心筋が壊死していない状態が狭心症、長時間にわたり血液供給がされず心筋が壊死してしまった状態が心筋梗塞となります。
冠動脈が狭くなってしまい血液供給ができず苦しいため、基本的には冠動脈を広げるか、心臓の無駄な仕事を減らせばよいわけです。主に以下のような薬があります。
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これらの薬は、一酸化窒素(NO)を遊離させます。NOは血管平滑筋のグアニル酸シクラーゼという酵素を活性化します。グアニル酸シクラーゼが活性化すると、GTPからcGMPの生成を促進します。cGMPが増えると、血管拡張を示します。
血管拡張作用のあるcGMPですが、ホスホジエステラーゼX(PDEX)という酵素によって、5’-GMPに分解されます。このホスホジエステラーゼXを阻害するのが、バイアグラ(シルデナフィル)などの勃起不全治療薬になります。ホスホジエステラーゼXを阻害する作用のある薬と併用してしまうと、過度にcGMPが増えてしまい血圧が下がりすぎてしまうため禁忌となっています。1度だけこの年齢で使うの!?みたいなおじいちゃんに併用があったため問い合わせした記憶があります。先生に「どっちの薬が大事かじじいに、よく言っといて」と言われました(笑)
なおシグマート(ニコランジル)はNO遊離作用だけでなく、冠血管平滑筋のATP感受性K+チャネルを開口して、冠血管を拡張させると考えられています。ゴロというほどでもないですが「ニコっと口開くニコランジル」と覚えてください。作用が2個あるというのと、開口というのをイメージづけられます。
インデラル(プロプラノロール)、カルビスケン(ピンドロール)、ミケラン(カルテオロール)などは非選択的β遮断薬ですが、β1受容体遮断作用によって心臓の無駄な拍動を抑え、酸素の節約をします。
β受容体遮断薬は語尾が「〜ォロール」なので覚えやすいです。
血管平滑筋のCa2+チャネルを遮断することで血管拡張します。様々ところで出てくるCa2+チャネル遮断薬ですが、心臓か血管かどちらに作用しやすいかと考えたときに、ざっくりとしていますが、アダラート(ニフェジピン)、ノルバスク(アムロジピン)は血管への選択性が高いです。それに対して、ワソラン(ベラパミル)は心臓への選択性が高いです。ヘルベッサー(ジルチアゼム)はその中間といったイメージになります。
アデノシンはアデノシンA2受容体にくっつき、アデニル酸シクラーゼを活性化します。アデニル酸シクラーゼが活性化されると、ATPからcAMPを増やします。cAMPが増えると血管拡張作用を示します。
しかしアデノシンの一部は赤血球に取り込まれてしまうなどして減ってしまいます。ペルサンチン(ジピリダモール)、コメリアン(ジラゼプ)はアデノシンが赤血球に取り込まれるのを阻害してアデノシンを増やします。