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前回の抗がん剤、抗腫瘍ホルモン関連薬と乳がんと前立腺がんに続き、今回は白金製剤をまとめていきます。白金製剤は、その名の通り、白金(Pt)を含みます。
DNAの構成塩基のうち、アデニン(A)やグアニン(G)にくっつくことでDNAの複製などを抑制することで、作用する抗がん剤です。
代表的なものには以下のようなものがあります。
DNAは、よく二重らせん構造をとっている絵を見かけると思います。これらの2本の線を細かく見てみると、塩基と呼ばれるものがつながっています。
塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)と4つの種類があります。アデニンとチミン、シトシンとグアニンが引き合うことで安定した二重らせん構造を保つことができます。
細胞分裂をするには、DNAの二本の線が分離して、1本ずつになることが必要です。白金製剤はアデニンやグアニンに橋をかけることで分離できなくします。その結果、がん細胞をやっつけることができるというメカニズムです。
白金製剤で覚えておいた方がいいものとして、以下のものがあります。
腎毒性
吐き気
輸液
白金製剤は腎毒性が強いため、レジメンにもよりますが前投薬として1000〜2000mlの輸液を入れます。そして、抗がん剤投与後も利尿薬+輸液を投与してハイドレーションをかけます。
吐き気の副作用が出やすいため、アロキシ(パロノセトロン)などの5-HT3受容体遮断薬を投与して吐き気を防止します。
白金製剤のうち、特に覚えておきたいのが、ランダ(シスプラチン)とエルプラット(オキサリプラチン)です。
ランダ(シスプラチン)は、ジェムザール(ゲムシタビン)と組み合わせたGC療法が有名です。
ランダ(シスプラチン)は構造式に塩素(Cl)を含むことからわかるように、クロールイオンの濃度が低い輸液に混ぜると活性が低下するので、基本的に生理食塩液に混ぜます。生理食塩液(NaCl)のから出てくるクロールイオン(Cl-)が、ランダ(シスプラチン)のClに補充されて安定化するイメージを持つと覚えやすいです。
エルプラット(オキサリプラチン) は5-FUのところでもお話ししたFOLFOXで有名な抗がん剤です。
エルプラット(オキサリプラチン) は、ランダ(シスプラチン)とは逆に生理食塩液などに混ぜると分解してしまうため、基本的にはブドウ糖液に混ぜます。先ほどのランダ(シスプラチン)をしっかり覚えれば、消去法で覚えられると思います。
化学療法委員会などを通してレジメンを決めるはずなので、この間違いはめったにないはずですが、ごくまれに間違えて処方がくるので注意が必要です。