![局所麻酔薬、エステル型とアミド型](../img/header.jpg)
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麻酔が無ければ、痛みなどが出てしまい処置に支障が出てきます。そのため麻酔は、なくてはならないものです。
麻酔の作用を知るためには神経がどのようにして痛みなどを伝えているかを知る必要があります。
神経細胞はおおまかに、細胞体、樹状突起、軸索から出来ています。
神経細胞に情報が流れていくことを興奮の伝導と呼びますが、興奮の伝導は細胞体から軸索へと流れていきます。末端まで伝導したら次の神経細胞へその情報が伝えられます。
興奮の伝導によって情報が伝えられていきますが、興奮の伝導は膜電位の変化によって起こります。イメージとしては電気のスイッチみたいなものと思ってください。
神経細胞が興奮していない時は、電気のスイッチはoffになっているので、マイナスの状態です。この状態を静止状態と呼びます。
次に神経細胞に刺激が与えられたら、電気のスイッチがonとなり、プラスの状態になります。この状態を脱分極と呼びます。またこの時の電位差を活動電位と呼びます。
最後に電気のスイッチをつけっぱなしだともったいないので、再びoffに戻りマイナスの状態に戻ります。この状態を再分極と呼びます。
このようにして、電気のon、offによって興奮の伝導が起こり、ウェーブのように情報が流れていきます。
麻酔薬の作用機序のためもう一歩踏み込んでみます。活動電位が発生する電気の素を探ります。実は活動電位の素はイオンなのです。各状態のイオンのやりとりをみてみます。
細胞膜にNa+,K+ATPaseと呼ばれるポンプがあります。これによってNa+が細胞外に出て、逆にK+が細胞内へ入ってきます。
細胞膜にはK+チャネルと呼ばれるトンネルのようなものもあります。これによって、K+が細胞外へ出ます。
プラスがたくさん出て行ってしまったので、細胞内はマイナスの電気となり、この状態が静止状態です。
細胞膜にはNa+チャネルと呼ばれるトンネルもあります。このトンネルを通してNa+が細胞内へ入ってきます。
K+チャネルは閉じ、細胞外へ出ていかなくなります。
プラスが補充されて細胞内はプラスの電気となり、この状態が脱分極となります。
Na+チャネルが再び閉じ、閉じていたK+チャネルが再び開いて、K+が細胞外へ出ていきます。
またプラスが出て行ってしまったので細胞内はマイナスの電気となり、この状態が再分極となります。
お待たせしました。作用機序です。ざっくり言うと、先ほどのNa+チャネルを遮断するということになります。しかし、これもいくつかのステップを踏んでNa+チャネルを遮断します。
まずはじめに投与された局所麻酔薬はpHによって非イオン型になります。非イオン型になると細胞膜を通り抜けることができます。
ちなみに局所麻酔薬は構造式にアミンを持つことが多く、弱塩基性であることが多いです。そのため、酸性部位だと、局所麻酔薬がイオン型の形となってしまいます。そうすると、細胞膜を通過できないので、効果が弱まってしまいます。
細胞内に入った局所麻酔薬は再び陽イオン型になり、内側の方からNa+チャネルを遮断します。
Na+チャネルが遮断されると、Na+が通ることが出来ないので活動電位は発生しなくなります。活動電位が発生しないということは先ほどの興奮の伝導がうまくいかなくなることがわかると思います。遮断の作用は、痛覚→冷感→温感→触覚の順番に起こります。私は「つれぇ音色(おんしょく)」で覚えていました。また遮断する繊維は細い→太いの順番に起こります。これも普通に考えたら、細いやつの方が遮断されやすいと考えれば問題ないと思います。
局所麻酔薬は基本的に血管拡張作用があり、効かせたい部位での濃度が下がってしまったり、全身に吸収されて中毒が起こったりしてしまいます。
そのため血管を収縮するためにアドレナリンやフェニレフリンなどが併用されることがあります。
構造式によって、エステル型とアミド型にわけられます。
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構造式にエステルを持ちます。血漿コリンエステラーゼで分解され、作用時間が短いです。また構造式に安息香酸を持ち、アレルギー反応も起こりやすいと言われています。ゴロを使って覚えましょう。
イメージづくりの物語を。
アミちゃんは、とても人気のあるエステティシャンでした。そんなアミちゃんのゴッドハンドに対してお客さんは「エステのプロかい!!」と言いました。
しかしアミちゃんには、お客さんも知らない秘密があったのです・・・。
コカインは組織浸透性が良く表面麻酔に使われます。逆にプロカインは組織浸透性が悪く表面麻酔には使われません。
構造式にアミドを持ちます。P450で代謝されます。こちらは安息香酸の構造がなくアレルギー反応を起こしにくいと言われています。エステル型の消去法で「〜カイン」「〜ゼイン」と覚えています。
レボブピバカインは、ブピバカインのエナンチオマーで心毒性が低いと言われています。オキセサゼインは、強酸性下でも局所麻酔作用を示します。