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糖尿病の患者さんはかなりの数いて、テレビでも取り上げられるので患者さんはかなりの関心を持っています。今回は糖尿病の薬をまとめ、いまいちど復習していきます。。
まず糖尿病に関わる大事なホルモンとして、膵臓のホルモンがあります。
膵ホルモンは膵ランゲルハンス島から分泌され、以下のようなものがあります。
これらがうまくバランスを取り合って、血糖値をコントロールしています。
糖尿病にはいくつか種類がありますが、そのうち1型糖尿病はβ細胞が壊れてしまい、インスリンが欠乏しています。それに対し、2型糖尿病はインスリンの分泌低下や抵抗性に、食事や運動などの環境要因が加わって起こるとされています。
糖尿病の治療目標は、糖尿病でない人と変わらない寿命とQOLの実現になります。それを達成するために糖尿病の合併症などの発症、進展を阻止することが重要です。
糖尿病の合併症には、神経障害、網膜症、腎症があり、これらは糖尿病特有の合併症であり、血糖コントロールが関わってきます。
糖尿病治療薬は、注射薬や内服薬など様々な種類のものがあります。今回は載せていませんが、最近は配合錠なども出てきています。
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インスリンの分泌には大きく2つの種類があって、それぞれ基礎分泌、追加分泌と呼びます。
基礎分泌は少しずつですが、ずーっと分泌され続けているインスリン分泌のことです。基礎分泌は、空腹時と食間の肝臓での糖新生やグリコーゲン分解を調整します。
追加分泌は、毎食後に分泌されるインスリンのことです。追加分泌により食後の血糖上昇に合わせて、筋肉や肝臓への糖の取り込みや肝糖酸性の一時停止などが起こります。
持効型のインスリンはこれらのうち、基礎分泌を補うために使われます。
ランタスXR(インスリングラルギン)はランタス(インスリングラルギン)の濃度を3倍にした改良製剤です。濃度を高くして注射液量を少なくすることで、皮下の無晶性沈殿物の単位量あたりの表面積が小さくなり、投与部位の吸収がより緩やかになるため、ランタスよりも24時間以上にわたり安定した血糖降下作用を示します。
そのためランタス(インスリングラルギン)は朝か寝る前に打たなくてはいけませんでしたが、ランタスXR(インスリングラルギン)やトレシーバ(インスリンデグルデク)は朝や寝る前以外の注射が可能です。そのため、デバイスとして患者が使いやすい方を選ぶことが重要です。
先ほどのインスリン分泌のうち、超速効型は追加分泌を補うために使われます。超速効型は効果発現が早いため、基本的に食直前(食事の15分前以内)に使います。
フィアスプ(インスリンアスパルト)はノボラピッド(インスリンアスパルト)の改良、ルムジェブ(インスリンリスプロ)はヒューマログ(インスリンリスプロ)を改良したもので、添加物などを調整することでさらに血糖降下作用が起こるまでの時間が短くなっています。(通常食事開始2分前に使い、必要な場合は食後20分以内でも使用可能)
ノボラピッド(インスリンアスパルト)、ヒューマログ(インスリンリスプロ)、アピドラ(インスリングルリジン)であれば食直前でしか打てなかったため、打った後にあまり食事がとれなかった場合調整不可能でしたが、フィアスプ(インスリンアスパルト)、ルムジェブ(インスリンリスプロ)は食後でも20分以内であれば打てるため、食事を取り始めてやっぱり食べられなかったときなどに調整しやすいと言えます。
速効型も追加分泌を補うために使われます。速効型は超速効型よりも効果発現に時間がかかるため、基本的に食前に使います。
さらに即効型インスリンは効果時間が長いため、インスリンを補いたい食事時間以外も効いてしまうというデメリットがあります。そのため、現在は超即効型インスリンの方が使われます。
中間型は主に基礎分泌を補うために使われます。効果発現に1〜2時間くらいかかり、約20時間効果が持続します。その他にも作用にピークがあるため、やや使いにくい欠点があります。そのため現在はあまり使われず、持効型インスリンの方が使われます。
中間型を含む製剤では、手技の際に混和作業が必要となってきます。
超速効型や速効型と中間型が混合されたものが混合型です。
ライゾデグ(インスリン デグルデク/インスリン アスパルト)は成分名を見てもらえればわかりますが、トレシーバ(インスリンデグルデク)とノボラピッド(インスリンアスパルト)が混ざったもので、混合型を使う場合はこちらが使われることが多いです。
β細胞にあるSU受容体に結合します。SU受容体にくっつくと、K+チャネルを閉じ、脱分極が起こります。脱分極が起こるとCa2+チャネルを開き、細胞内のCa2+濃度が高まります。Ca2+の濃度が高まると、インスリンの分泌を促します。
構造式内にSU剤のような構造は持ちませんが、SU受容体にくっつき、インスリンの分泌を促します。名前にあるように、効果発現が早いため基本的に食直前に使用します。
語尾が「〜グリニド」であり、ゴロを使うまでもないですが、「グリグリ促進」と覚えましょう。
DPP-4(dipeptidyl peptidase W);ジペプチジルペプチダーゼ4とはなんなのか?それを説明するにあたって、関連するキーワードがもう1つあります。それがインクレチンです。まずインクレチンからみてみます。
インクレチンとはいわゆるホルモンの一種です。血糖値が上昇すると主に小腸から分泌されます。インクレチンには、GLP-1(glucagon-like peptide-1);グルカゴン様ペプチド1やGIP(glucose-dependent insulino-tropic polypeptide);グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドなどの種類があります。これらの働きとして、インスリン分泌促進作用やグルカゴン濃度低下作用を増強するなどの作用があります。
良いことばかりのインクレチンですが、これはあるものによって分解されてしまいます。それがDPP-4です。DPP-4阻害薬は、DPP-4を阻害することによってインクレチンの分解を防ぎます。よって先ほどのインクレチンの効果が得られて、血糖コントロールが得られるといったメカニズムになります。
先ほどのDPP-4阻害薬で出てきたGLP-1を人工的に作り出したものです。GLP-1受容体に結合し、血糖依存的にインスリン分泌促進作用やグルカゴン分泌抑制作用を起こします。
脂肪細胞は、小型の脂肪細胞が普通ですが、食事や運動不足などにより大型脂肪細胞へとなっていきます。
小型の脂肪細胞はインスリン抵抗性の改善に効果があるとされているアディポネクチンの分泌を行いますが、大型の脂肪細胞はインスリン抵抗性を増やすTNF-αと呼ばれるものを分泌するとされています。
アクトス(ピオグリタゾン)は脂肪細胞のPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)を刺激します。そうすることによって、前駆脂肪細胞から小型脂肪細胞への分化促進と、大型脂肪細胞のアポトーシスが起こります。
その結果、アディポネクチンは増えて、TNF-αは減るので、インスリン抵抗性を改善します。
肝での糖新生抑制や、骨格筋への糖の取り込み促進などにより血糖低下作用を示します。
デンプンは、α-アミラーゼによってマルトース(二糖類)に分解されます。マルトース(二糖類)はさらにα-グルコシダーゼによってブドウ糖に分解され、腸管から吸収されます。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、α-グルコシダーゼなどを阻害することで、腸管からの吸収を遅らせます。食後の高血糖を改善するので、基本的に食直前に使われます。
なお、ショ糖(砂糖)もα-グルコシダーゼで分解されるため、低血糖時にはブドウ糖を摂取する必要があります。
特徴的な副作用に腹部膨満感や放屁がありますが、これは腸内細菌が腸内に残った二糖類を食べてガスが発生するのが原因の1つと言われています。
SGLTは、sodium glucose cotransporterの略で、ナトリウム・グルコース共役輸送体と訳されます。尿が作られ、排泄される過程において、不要なものは排泄され、糖などの必要なものは捨てられないように再吸収されます。その糖の再吸収に関わるのが、近位尿細管にあるSGLTです。
SGLTにはいくつか種類があり、そのうちの1つがSGLT2です。近位尿細管における糖の再吸収のうち、約90%がSGLT2が関わっていると考えられていて、ここを抑えることで、糖の再吸収が抑えられます。
SGLT2阻害薬は、SGLT2を阻害することで、糖の再吸収を抑えて、尿中に糖を排泄させます。
グルコースは正常であればエネルギーとして利用されます。しかし糖尿病で高血糖状態だと、グルコースはアルドース還元酵素によってソルビトールになります。このソルビトールが神経細胞内にたまり、末梢神経障害の原因となります。
キネダック(エパルレスタット)はアルドース還元酵素を阻害してソルビトールがたまるのを防ぎます。グルコースが食事をとることで補充されることからキネダック(エパルレスタット)は食前に使います。
ツイミーグ(イメグリミン)はグルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、ミトコンドリアの機能を回復させることで肝臓、骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(糖新生抑制・糖取込み能改善)をもつ薬です。