抗結核薬、多剤併用療法と副作用

抗結核薬、多剤併用療法と副作用

抗結核薬は耐性菌ができないように、多剤併用療法が行われます。抗結核薬は様々な薬が組み合わされて使われますが、末梢神経炎、視覚障害、難聴などの副作用に注意が必要です。

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抗結核薬、多剤併用療法と副作用

結核はワクチンなどのおかげで現在はかなり減っていますが、症状が風邪と似ているため、気をつけなくてはならない疾患の1つです。

 

 

治療をする際には、耐性菌ができるのを防止するために多剤併用療法が行われます。コンプライアンスが悪いと治療に影響が出るため、一般的に直接服薬確認治療(DOTS;Directly Observed Treatment Short-course)と呼ばれる治療が6ヶ月間行われます。

 

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抗結核薬

抗結核薬には以下のようなものがあります。

 

  • イスコチン(イソニアジド)
  • ピラマイド(ピラジナミド)
  • リファジン(リファンピシン)
  • エブトール(エタンブトール)
  • ストレプトマイシン(ストレプトマイシン)

 

イスコチン(イソニアジド)

 

  • ミコール酸の生合成阻害

 

結核菌は細胞壁を持ちますが、その細胞壁の構成成分はミコール酸と呼ばれるものからなっています。イスコチン(イソニアジド)は、細胞壁の材料であるミコール酸の生合成を阻害することで細胞壁を作れなくします。

 

 

肝障害に加えて、末梢神経炎が特徴的な副作用であるため、副作用予防でビタミンB6が併用されることがあります。

 

ピラマイド(ピラジナミド)

 

  • イソニアジドの作用増強

 

ピラマイド(ピラジナミド)の作用機序はあまりわかっていません。しかし、イソニアジドと併用することで、イソニアジドの抗菌作用を強めると考えられています。

 

リファジン(リファンピシン)

 

  • RNAポリメラーゼ阻害

 

結核菌もヒトと同じように生きるにはタンパク質を合成する必要があります。タンパク質が合成されるには、以下のステップが必要です。

 

  1. DNAを転写してRNAを作る。
  2. RNAを翻訳してタンパク質を作る。

 

タンパク質を作っている工場のような場面をイメージしながら見てください。

 

 

DNAを転写してRNAを作る。

タンパクを作るには、作り方が載った指示書が必要です。指示書であるRNAを、原本のDNAからコピーする過程が、転写と呼ばれる工程です。

 

RNAを翻訳してタンパク質を作る。

ステップ1でつくった指示書であるRNAをもとに、タンパクを作ります。指示書を翻訳し、タンパクを作る工程がわかればよいです。

 

全体像を確認したところでステップ1のDNAを転写してRNAをつくる過程に着目します。DNAからRNAをつくるには、DNA依存型RNAポリメラーゼと呼ばれる酵素が関わります。このDNA依存型RNAポリメラーゼをリファジン(リファンピシン)が阻害することで、RNAを作れなくします。

 

 

なおリファジン(リファンピシン)は食前投与の方が食後投与に比べて血中濃度が高いという報告から、朝食前の空腹時に使います。

 

エブトール(エタンブトール)

 

  • 核酸合成経路の阻害

 

エブトール(エタンブトール)は、結核菌の核酸合成経路を阻害したり、細胞壁の合成を阻害することによって作用すると考えられています。

 

 

エブトール(エタンブトール)は視力障害が特徴的な副作用です。

 

ストレプトマイシン(ストレプトマイシン)

 

  • タンパク質合成阻害

 

ストレプトマイシン(ストレプトマイシン)も結核菌のタンパク質合成を阻害すると考えられています。

 

腎障害に加えて、難聴などの副作用に注意が必要です。

 

まとめ

  • 抗結核薬は基本多剤併用療法で行う。

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