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痛みは体からの危険なシグナルであると同時に、私たちに苦痛や不快感などを与えます。特にがん患者などでは身の置き所のない痛みと闘っていることもあります。もし、その痛みを無くしたり、減らしたりすることができれば、私たちは「薬が効いた」と思うでしょう。それくらい痛みというのは直感的に薬の効果を示してくれます。
今回は鎮痛薬をまとめます。まず痛みの発生機序をみていきます。
痛みの機序は大きく2つの経路が関わります。
まず1つ目は、痛みを伝える経路です。痛みを受けると、知覚神経が感じ取り、情報が流れていきます。情報は複数の神経がバトンタッチしながら伝えられ、脊髄後角に入った後、脳の方へ登っていきます。
2つ目は痛みを抑える経路です。先ほどは上に登って痛みの情報が伝えられましたが、上からは痛みの情報をなるべく抑えるよう下へ情報も流しています。その結果、脊髄後角で痛みが伝わるのをなるべく抑えることができます。
痛みに関わる受容体にはオピオイド受容体というものがあります。このオピオイド受容体が刺激されると、神経活動が抑制されます。つまり、先ほどの痛みを伝える経路を抑えることによって、鎮痛作用を示します。
先ほど痛みの機序にはもう1つ、痛みを抑える経路があると言いました。こちらの経路については、オピオイド受容体が刺激されると、より痛みを抑える情報を流すようになり、脊髄後角で痛みが伝わるのを抑えられます。
なお、オピオイド受容体にはサブタイプが存在し、オピオイドμ受容体、オピオイドδ受容体、オピオイドκ受容体などがあります。鎮痛作用にそれぞれ関わりますが、中でもオピオイドμ受容体が痛みを抑えるのに重要です。
オピオイド受容体の作動薬として有名なものとして、モルヒネがあげられます。モルヒネは強い鎮痛作用を持ちますが、副作用ももちろんあります。
臨床で問題となりやすい副作用は以下のものがあります。
これらの副作用の中で、便秘については耐性を生じないので、便秘については何かしらの下剤を併用して便通コントロールを測った方が良いです。どうしてもダメなら、スインプロイク(ナルデメジントシル酸塩)などを検討してもよいかもしれません。
悪心や傾眠については耐性を生じ、1週間くらいで改善されることがあるのでよく観察する必要があります。
管理の関係上、麻薬に指定されているかどうかが重要となってきます。現場に出れば、使う薬ばかりなので、頑張って覚えてください。
フェントス(フェンタニル)はドロペリドールと合わせて、神経遮断性麻酔として使われることもあります。
非麻薬性であるため、麻薬を使う一歩手前で導入されることが多いです。
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オピオイドκ受容体を刺激して鎮痛作用を示します。逆に、オピオイドμ受容体は遮断するので麻薬拮抗性鎮痛薬と呼ばれます。
オピオイドμ受容体に対して、部分作動薬として働きます。
麻薬は時に副作用で呼吸抑制などをおこすため、解毒薬が存在します。
オピオイド受容体で先ほどの薬たちと拮抗することで解毒作用を示します。