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前回の抗生物質、タンパク質合成を阻害するものでは、タンパク質合成阻害薬をまとめました。今回は残るその他の抗生剤をまとめていきます。
細菌がDNAを合成するためには、DNAジャイレース(トポイソメラーゼU)と呼ばれる酵素が必要です。DNAジャイレース(トポイソメラーゼU)はDNAに生じたねじれを調節して、再結合させる働きをします。
ニューキノロン系はそのDNAジャイレース(トポイソメラーゼU)を阻害することによって、DNAをうまく作れないようにすることで作用します。
ニューキノロン系の中でも、クラビット(レボフロキサシン)はとてもよく使われます。クラビット(レボフロキサシン)は腎機能に応じて減量が必要であるため、処方が来たときには腎機能の確認ができると理想的です。
ニューキノロン系は点眼薬や注射薬など様々な剤形がありますが、内服薬はアルミニウム、マグネシウム、鉄などとキレートを作り吸収が落ちることがあるため、テトラサイクリン系と同様に注意が必要です。
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バクタ(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)は、葉酸合成阻害薬に分類されます。
グアノシン→→→2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロキシメチルジヒドロプテリジンピロリン酸→ジヒドロプテロイン酸→→葉酸といった経路で葉酸は作られます。葉酸は体内でテトラヒドロ葉酸に変換されてDNAの生成などに関わります。
ここで上の経路の2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロキシメチルジヒドロプテリジンピロリン酸→ジヒドロプテロイン酸の経路に注目すると、この反応にはジヒドロプテロイン酸合成酵素が関わっていることがわかります。スルファメトキサゾールは、このジヒドロプテロイン酸合成酵素を阻害することで反応できなくします。つまり、ジヒドロプテロイン酸が作られなくなります。
また葉酸は、葉酸→ジヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸という経路でテトラヒドロ葉酸となります。同様に、ジヒドロ葉酸→テトラヒドロ葉酸の経路に注目すると、この反応にはジヒドロ葉酸還元酵素が関わっています。トリメトプリムは、このジヒドロ葉酸還元酵素を阻害することでテトラヒドロ葉酸を作れなくします。
よって両剤を使うことによって二か所DNAをつくるところが止められることになるので、相乗効果がみられるのがバクタ(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)になります。