Sponsored Link
生活する上で、睡眠はなくてはならないものです。睡眠がうまくとれないと疲れが残ってしまいます。それゆえに睡眠で悩む人は多く、睡眠薬は多くの患者さんが使っています。
今回は睡眠薬についてまとめていきます。睡眠薬は中枢神経系の機能を低下させることで効果を示します。
まず、睡眠薬はおおまかに以下のようにわけられます。
このうち、バルビツール酸系、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系は作用機序が似ているので、まとめて確認します。
Sponsored Link
Sponsored Link
様々なところで話をしていますが、受容体と同じように考えてもらえればいいです。カギと鍵穴がくっついて、扉が開きます。睡眠薬はGABAA受容体が大きく関わります。
まずバルビツール酸系からです。
GABAA受容体には、バルビツール酸結合部位というものがあり、バルビツール酸系であれば、バルビツール酸結合部位というところにくっつきます。
GABAA受容体にはCl-チャネルというCl-イオンが通過できるトンネルがあります。バルビツール酸結合部位にバルビツール酸がくっつくと、Cl-チャネルが開きCl-が通れるようになり、細胞内にCl-がたまります。
Cl-イオンがたまると、過分極を起こし、抑制性神経の機能を亢進して催眠効果をもたらします。
ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系もほぼ一緒ですが、バルビツール酸系よりひと手間かかる感じです。
GABAA受容体には、ベンゾジアゼピン結合部位というのもあって、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系はそこにくっつきます。
バルビツール酸系とここが微妙に違うのですが、ベンゾジアゼピン結合部位にくっつくと、GABAA受容体にGABAがくっつきなりやすくなります。GABAA受容体にGABAがくっつきやすくなると、同じくCl-チャネルが開きます。
あとは同じです。
なんとなくのイメージですが、バルビツール酸系は直接的に、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系は間接的といったところでしょうか。
では薬たちです。
後で述べる薬たちが最近では良く使われるため、バルビツール酸系は現在はあまり使われません。なぜなら、他の薬と比べて、依存性がでやすく、REM睡眠を減少させやすいからです。REM睡眠は脳は働いているけれども、体の筋肉が緩んでいる状態で、体の睡眠とも言われます。
バルビツール酸系にはラボナ(ペントバルビタール)、イソミタール(アモバルビタール)、アイオナール・ナトリウム(セコバルビタール)、フェノバール(フェノバルビタール)などがあります。「〜バルビタール」となっているので覚えられると思います。
ベンゾジアゼピン系にはハルシオン(トリアゾラム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、ロラメット(ロルメタゼパム)、リスミー(リルマザホン)、サイレース(フルニトラゼパム)、ベンザリン(ニトラゼパム)、ユーロジン(エスタゾラム)、エリミン(ニメタゼパム)、ドラール(クアゼパム)、ダルメート(フルラゼパム)、ソメリン(ハロキサゾラム)などがあります。「〜ゼパム」「〜ゾラム」となっているので覚えやすいと思います。
作用時間がそれぞれ異なるため、分類を覚えておくと現場では役に立ちます。
入眠困難であれば超短時間型や短時間型、中途覚醒であれば中時間型や長時間型が使われることが多いです。
ベンゾジアゼピン系と構造式が異なりますが、ベンゾジアゼピン結合部位に作用するため、非ベンゾジアゼピン系と呼ばれます。一般的にベンゾジアゼピン系よりふらつきなどが起こりにくいとされています。
非ベンゾジアゼピン系には、マイスリー(ゾルピデム)、アモバン(ゾピクロン)、ルネスタ(エスゾピクロン)などがあります。これらは短時間型に分類されます。
今までの薬とはまた別の作用機序で効果を示します。その他の薬には、ロゼレム(ラメルテオン)、ベルソムラ(スボレキサント)などがあります。
メラトニンは体内時計を調整するホルモンです。ロゼレム(ラメルテオン)はメラトニンと同じように、メラトニン受容体に作用することで、睡眠のリズムを整えます。
オレキシンは覚醒に関わる物質です。オレキシンがオレキシン受容体にくっつくと、覚醒が保たれます。ベルソムラ(スボレキサント)はオレキシンがオレキシン受容体にくっつくのを妨げます。つまり覚醒が抑制されるので眠るといった作用機序です。