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日本人の高齢化は進み、それに伴って認知症の患者は増えています。家族に認知症の患者がいる家庭も珍しくはありません。今回は抗アルツハイマー病薬についてまとめていきます。
まず、「アルツハイマー」という言葉を聞くと、「認知症」と結びつく方が多いですが、認知症の中の1つがアルツハイマー型認知症なので、注意しなければなりません。アルツハイマー型認知症は、脳の広範囲が萎縮して、早期から記憶に重要な海馬が萎縮することが多いです。記銘力障害が特徴で、新しいことが覚えられません。その他にも、会話を取り繕ったり、質問時に家族に振り向いて確認したりすることもあります。
アセチルコリンは記憶に関わる神経伝達物質であり、アルツハイマー型認知症患者はアセチルコリンが減少していると言われています。記憶に重要なアセチルコリンは、アセチルコリンエステラーゼによって分解されています。
アセチルコリンが記憶に重要なのであれば、増やしてあげればいいわけです。アセチルコリンを増やすためには、先ほどの分解者であるアセチルコリンエステラーゼを阻害すれば、分解を防ぐことができます。
このアセチルコリンエステラーゼを阻害する作用がアルツハイマー型認知症治療薬の基本的なメカニズムとなります。
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アセチルコリンエステラーゼを阻害することで、アセチルコリンの分解を防ぎます。細かい違いは各ページで。
NMDA受容体とは、N-methyl-D-aspartate受容体の略であり、グルタミン酸受容体のサブタイプの1つです。グルタミン酸がNMDA受容体につくと、Ca2+チャネルが解放され続けて、神経障害が起こると考えられています。
また学習や記憶には、適度な電気信号が必要で、シナプティックノイズと呼ばれる持続的な電気信号が起きている状態だと、うまく学習や記憶が形成されません。シナプティックノイズは、NMDA受容体を作動させると起こりやすくなります。
メマリー(メマンチン塩酸塩)は、非競合型NMDA受容体拮抗薬であり、グルタミン酸が持続的に上昇している状態では、Ca2+チャネルをブロックして、神経障害やシナプティックノイズを改善します。
学習や記憶には一過性に高濃度のグルタミン酸が出ることが重要です。この場合には、メマンチン塩酸塩はNMDA受容体から解離して、学習や記憶の邪魔をしないようにします。
アルツハイマー型認知症治療薬では、アセチルコリンエステラーゼを阻害してアセチルコリンを増やすことと、メマリー(メマンチン)がNMDA受容体拮抗作用を持つことをおさえましょう。