![抗血小板薬、血小板凝集因子と一時止血](../img/header.jpg)
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走っていて転んだりすると、出血することがあります。そのまま出血が続くと死んでしまいます。しかし、大きな傷でなければ出血は治まります。
止血はおおまかにわけて2段階あります。
今回は血小板血栓を確認します。
血管が傷つき、血管内皮がはがれると、血管内皮下組織が出てきます。そうすると、von Willebrand factor(vWF)が結合します。vWFは粘着タンパク質であり、のりのような作用を示します。これによって糖たんぱく質が結合し、どんどん反応が進み血小板がくっつきます。くっついた血小板からも血小板凝集促進因子が出てきたりして一時止血が行われます。
抗血小板薬には以下のようなものがあります。
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血小板凝集促進因子には、TXA2、5-HT2、ADPなどがあります。
TXA2が作られるには、まずリン脂質からホスホリパーゼA2という酵素によってアラキドン酸が切り出されます。
アラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ(COX)により、プロスタグランジンG2(PGG2)となります。PGG2はその後いくつかの段階を経て、トロンボキサン合成酵素により、トロンボキサンA2となります。
バイアスピリン(アスピリン)は、COXを阻害してTXA2生成を抑制します。その結果血小板凝集抑制作用を示します。現在は、後で説明する薬などの合剤も出ています。
カタクロット(オザグレル)は、TXA2合成酵素を阻害することでTXA2合成を抑制して、血小板凝集抑制作用を示します。
エパデール(イコサペント酸エチル)は、アラキドン酸と構造が似ていて、COXがアラキドン酸と間違えます。その結果COXを奪い取って競合するためTXA2生成を抑えて、血小板凝集抑制作用を示します。
血小板の5-HT2受容体を遮断することで血小板凝集抑制作用を示します。
血小板の凝集を阻害する因子として、cAMPというものがあります。cAMPが増えれば、血小板凝集が阻害されます。cAMP上昇→血小板凝集阻害
そのcAMPはATPと呼ばれる物質から作られますが、この反応はアデニル酸シクラーゼが促進します。ATP→cAMP(この反応をアデニル酸シクラーゼが促進)
小括すると、アデニル酸シクラーゼを増やして、この反応を促進して、cAMPを増やすことで、血小板凝集が阻害されることがわかります。
大事な反応を促進してくれるアデニル酸シクラーゼですが、この物質はADPがADP受容体に結合すると抑制される反応が起こります。ADPによる抑制が増える→アデニル酸シクラーゼが減る
よってADPによる抑制をブロックできれば、アデニル酸シクラーゼが減らなくなることがわかります。ADPがADP受容体に結合するのをブロックするのがADP受容体遮断薬です。
先ほどcAMPを増やすためにアデニル酸シクラーゼを増やせばよいということを話しました。プロサイリン(ベラプロスト)はPGI2受容体を刺激して、アデニル酸シクラーゼを活性化します。その結果、血小板凝集抑制作用を示します。
つくられたcAMPはホスホジエステラーゼという酵素によって分解されてしまいます。プレタール(シロスタゾール)はホスホジエステラーゼVを阻害することで、cAMPの分解を防ぎます。その結果血小板凝集抑制作用を示します。