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医療ドラマで手術のシーンがあると、患者は意識がない状態で行っていると思います。手術をする上で、痛みを取ったり、意識をなくしたり、筋肉を和らげるのになくてはならないものが全身麻酔薬です。全身麻酔薬は、これらの感覚に関わる中枢神経系に作用することで効果を示します。

全身麻酔薬に関わる中枢神経系には、大脳皮質、間脳、中脳、延髄、脊髄などがあります。通常の麻痺であれば、上から下に規則正しく降りてきます。

それに対して、全身麻酔薬の作用する順番は、大脳皮質→間脳→中脳→脊髄→延髄となり、脊髄と延髄の順番がいれかわり不規則な順番に作用します。これを不規則的下行性麻痺と呼びます。

延髄に全身麻酔薬が作用するのが最後になる理由として大きく2つあります。
1つ目は、手術が行われるのは脊髄に作用している時に行われるからです。
2つ目は、呼吸中枢など生命維持に必要な機能を調整しているのが延髄だからです。よって、もし通常通り、延髄→脊髄の順番となってしまうと、命が危なくなるうえに手術が行えなくなってしまいます。
麻酔の作用する順番で、大きく4つの期間にわけることができます。
大脳皮質の知覚領に主に作用して、痛覚を抑えます。
大脳皮質の全体に作用して、意識がなくなります。
脳は様々な作用に対してブレーキをかけていますが、発揚期になると、そのブレーキを抑制してしまうため、ブレーキが利かなくなってしまいます。そのため、見かけ上の興奮や筋肉の緊張などが発揚期ではみられます。
脊髄まで達して、骨格筋の弛緩がえられます。名前の通り、手術がやりやすい期間です。
延髄にまで達してしまい、生命が危ない期間です。
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さて全身麻酔薬ですが、大きく2つわけることができます。
吸うタイプの麻酔薬で、静脈麻酔薬と比べると、麻酔の調整がしやすいのがメリットですが、手術期までもっていくのに時間がかかるのがデメリットです。
吸入麻酔薬の麻酔導入の速さと覚醒の速さの指標には血液/ガス分配係数があります。血液/ガス分配係数が小さいものほど血液に溶けにくいことを意味するため、導入と覚醒が速くなります。
吸入麻酔薬の強さの指標には最小肺胞濃度(minimum alveolar concentration;MAC)があります。これは吸入麻酔薬の濃度を上げていき、50%のヒトが皮膚刺激に対して体動を示さなくなる濃度のことです。ED50の麻酔版ということです。もちろん、値が小さいほうが強い麻酔薬であると言えます。
吸入麻酔薬には、フローセン(ハロタン)、フォーレン(イソフルラン)、セボフレン(セボフルラン)、スープレン(デスフルラン)、笑気(亜酸化窒素)などがあります。ハロタン、〜フルラン、亜酸化窒素なので、ゴロなしで覚えられると思います。
心筋のカテコールアミンに対する感受性増大作用が強く、不整脈が出やすいです。現在はあまり使われません。
ハロタンと比べると、心筋のカテコールアミンに対する感受性増大作用は弱いです。
酸素欠乏症を起こしやすく、酸素と併用して使われます。
注射で投与する麻酔薬で、吸入麻酔薬と比べると、手術期まですぐにもっていけるのがメリットですが、麻酔の調整がしにくいのがデメリットになります。
静脈麻酔薬にはディプリバン(プロポフォール)、アルチバ(レミフェンタニル)、チトゾール(チアミラール)、ラボナール(チオペンタール)、ドルミカム(ミダゾラム)、ケタラール(ケタミン)、ドロレプタン(ドロペリドール)などがあります。こっちは、吸入麻酔薬を覚えられれば消去法で覚えられたり、睡眠薬などを覚えると自然に覚えられるでしょう。
非ベンゾジアゼピン系であり、GABAA受容体を介して作用します。
オピオイドμ受容体を刺激して、作用します。
バルビツール酸誘導体で、脂肪組織に移行しやすいため、作用時間は短いです。
非ベンゾジアゼピン系であり、GABAA受容体を介して作用します。
グルタミン酸NMDA受容体の非競合的遮断薬です。意識の解離状態を作り出します。
ドパミンD2受容体遮断薬ではありますが、オピオイドμ受容体刺激薬であるフェンタニルと併用し、神経遮断性麻酔として使われます。神経遮断性麻酔は手術中、患者は声掛けなどには応じられるが、無痛を保ち手術ができるような麻酔のことです。