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薬剤師は公衆衛生もできなければなりません。このカテゴリーでは衛生についてまとめていきます。衛生は食品などの栄養、疫学、疾病予防、環境など様々なことを学ぶ必要があります。今回から、まず栄養について見ていきたいと思います。
まず、私たちは主に食事をすることで体に栄養素を取り入れています。栄養素は体を動かすのに必要だったり、体の構成成分となったり、体の機能を維持したりするのに必要となってきます。栄養素は以下のようなものがあります。
おそらくどれも聞いたことがあると思います。これらを五大栄養素といいます。今回は糖質について見ていきます。
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糖質は炭水化物と呼ばれ、米などが該当します。炭水化物と名のつくように、炭素、酸素、水素で構成されることがほとんどです。代表例にはグルコースがあります。
グルコースを見てもらえればわかるように、-OH基の右左の位置によって様々な組み合わせが考えられます。これらを単糖類と呼びます。
単糖類は、連結することができます。単糖類が2つつながると二糖類と呼ばれるものになります。これも単糖類の組み合わせによって色々あり、例えばグルコースが2つつながったものはマルトースと呼ばれます。
もちろん2つ以上つながることもでき、これを多糖類と呼びます。多糖類の例にはデンプンがあり、先ほどの米はデンプンを多く含みます。私たちが米を食べたとき、米のままエネルギー源になるかと思いきやそうではありません。米は消化され、吸収され、そして代謝されることでエネルギー源となります。次に糖質の消化や吸収を見ていきましょう。
私たちが米を食べると、唾液や膵液に含まれるα-アミラーゼ、小腸粘膜に存在するα-グルコシダーゼなどの酵素によって、先ほどの単糖類であるグルコースにまで分解されます。
グルコースまで分解されると、小腸の刷子縁膜に存在するナトリウム依存性グルコース輸送体;SGLT(sodium-dependent glucose transporter)1によって能動輸送されます。SGLT1によって能動輸送される他の単糖類にはガラクトースがあります。
SGLT1以外にも、グルコース輸送体;GLUT(glucose transporter)5があり、これはフルクトースを促進拡散で吸収します。
国家試験では、何の糖が何の輸送で吸収されるかを問われることがあります。そのため、グルコースとガラクトースが能動輸送であることを抑えましょう。覚え方は、「ぐ」ルコースと「が」ラクトースはのう「ど」うゆそうと濁点つながりで覚えます。フルクトースは促進拡散は濁点入っていませんね。
米からグルコースとなり、無事に吸収されました。吸収されたグルコースは解糖系とクエン酸回路と呼ばれる方法によってエネルギーを生み出していきます。かなり省略していますが、全体像は以下の図となります。
細かい反応などはここでは割愛しますが、グルコースは細胞質ゾルでピルビン酸となります。このピルビン酸は酸素の有無によって変わってきます。
つまりピルビン酸はあまのじゃくで、大好きな酸素ちゃんがいるときはピルビン酸のままでいい子ぶるのですが、大好きな酸素ちゃんがいないと裏の顔である乳酸になってしまうのです。
酸素が十分ありピルビン酸のままであれば、次のクエン酸回路に進んでいきます。
ピルビン酸はミトコンドリアでアセチルCoAとなり、クエン酸回路へと入っていきます。アセチルCoAはオキサロ酢酸と反応してクエン酸を作ります。
クエン酸「回路」とあるように、クエン酸は様々な反応を経てグルっと回って戻ってきます。グルっと回って戻ってきた結果、CO2を出して、オキサロ酢酸が作られます。そうしてできたオキサロ酢酸はリサイクルされ、また新しくやってきたアセチルCoAと反応して、クエン酸を作りクエン酸回路を回していきます。
このクエン酸回路を回すことでATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギーが産まれます。
このようにして、米はエネルギー源となっていくのです。
米からのエネルギー源変換について見ていきましたが、お金と同じくグルコースも一気に使ってしまうとエネルギー切れを起こしてしまいます。そのため貯金が大事です。その貯金にあたるのが、グリコーゲンと呼ばれるものです。
ご飯を食べ満腹になると、インスリンが出てきてグリコーゲンの合成が促進されます。肝臓や筋肉に取り込まれたグルコースの多くはグリコーゲンに変換され貯金されます。
そうして作られたグリコーゲンは、空腹時にはグルカゴンが肝臓に作用して分解が促進されます。その結果グリコーゲンからグルコースに再度変換されて血糖として血液中に放出されます。
このようにしてうまく血糖のバランスを体は保っています。