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前回の疫学総論、感染症成立の三要因では、疫学の全体像を確認しました。そして最後の方で、疫学の種類には記述疫学、分析疫学、介入研究があることを話しました。今回は、記述疫学、分析疫学、介入研究などについて見ていきたいと思います。
まずこれらに入る前に疫学でよく混同されやすい有病率と罹患率について確認します。
有病率と罹患率は以下のように定義されています。
「病」気の「有」る「率」を表すのが有病率です。インフルエンザを例にすると、有病率は調査時点でかかっている割合を示します。例えば3/1に調査したとすると、3/1にどれくらいインフルエンザにかかっているかを示すのが有病率です。
有病率に対して罹患率は、「罹患」する率、つまりインフルエンザにかかるリスクを表します。しかも一定期間であるため、例えば2/1〜4/1でのインフルエンザにかかるリスクを罹患率は表しています。
では、有病率と罹患率をスッキリさせたところで、記述疫学、分析疫学、介入研究を見ていきましょう。
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記述疫学は観察研究の一つです。集団の疾病の発生や頻度と分布を、人、時、場所の面から観察して仮説を立てることです。
ジョン・スノーのコレラの疫学調査が記述疫学に該当します。1854年にイギリスのロンドンでコレラの流行がありました。この時はまだ原因となるコレラがわかっていない状況でした。しかし、ジョン・スノーは調査をして死亡者が特定の井戸の周辺に集まっていることに気づきました。そのため、この井戸が原因と考え撤去したところコレラが終息しました。
分析疫学も観察研究の一つです。記述疫学でたてられた仮説を検証して、要因と疾病の因果関係を推測する研究です。代表例には、生態学的研究、横断研究、症例対照研究、コホート研究などがあります。このうち症例対照研究とコホート研究は次回まとめます。
介入研究は分析疫学によって推測された要因に対して人為的に介入して効果を調べる研究です。介入研究には治験などの臨床試験が代表例となります。例えば、治験ではプラセボ群と治療群にわけて治療の効果を調べたりします。