タンパク質の評価法、生物価、正味タンパク質利用効率、アミノ酸スコアの計算

タンパク質の評価法、生物価、正味タンパク質利用効率、アミノ酸スコアの計算

タンパク質の評価する方法には、生物価、正味タンパク質利用効率、アミノ酸スコアなどがあります。生物価、正味タンパク質利用効率、アミノ酸スコアの計算方法をまとめています。

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タンパク質の評価法、生物価、正味タンパク質利用効率、アミノ酸スコアの計算

タンパク質の消化、吸収、代謝では、タンパク質はアミノ酸にまで分解されて利用されることを学びました。タンパク質は一般的に野菜よりも肉の方に多く含まれています。しかし、なぜ肉の方が高タンパクなのでしょうか?今回は食品中にどれだけタンパクがあるか評価する方法をまとめていきたいと思います。

 

 

タンパク質を評価する方法には大きく3つあります。

 

  • 生物価
  • 正味タンパク質利用効率
  • アミノ酸スコア

 

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生物価

前回アミノ酸には窒素が含まれていることを話しました。そのことを利用して計算するのが生物価です。生物価は食べ物を食べて体の中でどれくらい窒素が残っているかを計算し、以下の式で表されます。

 

生物価=(体内保留窒素量/吸収窒素量)×100

 

いまいちよくわからないと思うので、例題を見ながら見ていきます。

 

例題

生物価を調べるために、無タンパク質食で一定期間飼育したラットにある食品を与えたところ、次の結果を得た。この食品の生物価はいくらか?

 

食品を介した摂取窒素量;400mg
食品摂取時の糞中窒素量;120mg
無タンパク質食事摂取時の糞中窒素量;20mg
食品摂取時の尿中窒素量;45mg
無タンパク質食摂取時の尿中窒素量;15mg

 

生物価=(体内保留窒素量/吸収窒素量)×100であるため、体内保留窒素量と吸収窒素量を求めればよいことがわかります。それぞれ求めていきましょう。

 

吸収窒素量

この問題を解くには、ADMEの知識も若干必要です。図式化すると以下のような全体像となります。

 

 

腸から吸収されて体内に入っていくので、体内に吸収できなかったものは糞便として排泄されます。

 

このラットは無タンパク質食事摂取時の糞中窒素量;20mgとあるように、無タンパク質の食事を食べたときにでも糞中に排泄しています。そして、食品摂取時の糞中窒素量;120mgとあることから、調べる食事を食べたときは120mg糞中に出ていることがわかります。つまり、食品摂取時の糞中窒素量から無タンパク質食事摂取時の糞中窒素量を引き算することで、この食品由来の糞に含まれている窒素を求めることができます。

 

食品摂取時の糞中窒素量ー無タンパク質食事摂取時の糞中窒素量=120ー20=100mg

 

よってこの食事由来の糞に含まれる窒素は100mgとわかります。糞以外のものは体内に吸収されると考えるので、400ー100=300mg。これが体内に吸収された窒素とわかります。

 

体内保留窒素量

さて300mg吸収された窒素は体内を回って、今度は尿中排泄されていきます。さきほどの糞と同じように考えると、

 

食品摂取時の尿中窒素量ー無タンパク質食摂取時の尿中窒素量=45ー15=30mg

 

この食事由来の尿に含まれる窒素は30mgとわかります。これを吸収窒素量から引くと体内に保留されている窒素を求められます。300ー30=270mg

 

生物価=(体内保留窒素量/吸収窒素量)×100であるため、代入すると、(270/300)×100=90となり、これが答えです。

 

 

正味タンパク質利用効率

先ほどの生物価は消化管吸収率を考慮しませんでしたが、正味タンパク質利用効率は消化管吸収率を考慮したものになります。

 

正味タンパク質利用効率=(体内保留窒素量/摂取窒素量)×100

 

生物価と式が似ていますが、消化管吸収率を考慮しているため、分母が摂取窒素量となっていることに注意が必要です。先ほどの例題の正味タンパク質利用効率を求めると、270/400=67.5となります。

 

アミノ酸スコア

アミノ酸には、9つの必須アミノ酸があります。

 

  • トリプトファン
  • ロイシン
  • リジン
  • バリン
  • スレオニン
  • ヒスチジン
  • フェニルアラニン
  • メチオニン
  • イソロイシン

 

ちなみに、覚え方は頭文字をとって「トロリーバスヒスフメイ」と私は覚えています。大学の先生が授業でゴロを言っていたのをそのまま覚えています。トロリーバスまではいいけど、ヒスフメイって何なんだ。まぁ行方不明みたいに思ってください(笑)

 

 

これら必須アミノ酸が理想的に含まれているものをアミノ酸評点パターンと言います。アミノ酸評点パターンに対して、現実の食品では必須アミノ酸が足りていないものがあります。必須アミノ酸が1つでも不足してしまうとそこが律速となり、タンパク質合成に支障がでてきます。この理想状態と比べて不足しているアミノ酸を制限アミノ酸と言います。

 

制限アミノ酸のうち一番不足してしまっているものを特に第一制限アミノ酸と呼び、タンパク質の栄養価を決めています。例えば、精白米の第一制限アミノ酸はリジンです。つまり、精白米だけ食べているとリジンが不足しているため100%のタンパク質合成が行われません。不足してしまったリジンを補うには、他の食品でリジンを補ってあげればよいわけです。こういった観点からも、様々な食品を食べて第一制限アミノ酸をなくすというのはとても大事なことだとわかります。

 

さて、アミノ酸評点パターンと第一制限アミノ酸から求められる指標をアミノ酸スコアと呼び、以下の式で表されます。

 

アミノ酸スコア=(食品中のタンパク質における第一制限アミノ酸の量/アミノ酸評点パターン中の当該アミノ酸の量)×100

 

これも例題をみてみましょう。

 

例題2

ある食品の必須アミノ酸含有量とアミノ酸評点パターンは以下のようになった。この時のアミノ酸スコアはいくらか?

 

 

表をみていくと、アミノ酸評点パターンに対してほとんどの必須アミノ酸含有量がこの食品では上回っていますが、リジンだけ下回っていることがわかります。よって、この食品の第一制限アミノ酸はリジンとわかります。

 

アミノ酸スコア=(食品中のタンパク質における第一制限アミノ酸の量/アミノ酸評点パターン中の当該アミノ酸の量)×100なので、(200/300)×100=66.7となり、これが答えです。

 

まとめ

  • 生物価と正味タンパク質利用効率は体内の窒素の出し入れによって、タンパク質を評価する
  • 第一制限アミノ酸を無くすように、食品を組み合わせることが重要。

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