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前回の重金属と健康障害の事件や歴史でもお話ししたように、農薬、医薬品、食品添加物、化粧品などの化学物質は人体に障害を与える可能性があります。その毒性を調べるために毒性試験が決められています。今回は毒性試験について見ていきたいと思います。

まず毒性試験は大きく2つにわけられます。
その名の通り一般的な毒性を調べる試験で、さらに大きく2つにわけられます。
調べる物質を動物へ単回だけ投与して、毒性を調べる試験です。単回投与毒性試験(急性毒性試験)では、LD50(50%致死量)などがわかります。
の代表例にはames試験がある。1.png)
単回投与毒性試験(急性毒性試験)に対して反復投与毒性試験は、一定期間継続して投与します。数か月以内にかけて投与する試験を亜急性毒性試験、6か月以上にかけて投与する試験を慢性毒性試験と言います。これらより、化学物質が毒性を示さないNOAEL(no observed adverse effect level)などがわかります。
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特殊毒性試験もさらに大きく2つにわけられます。
発癌性試験(癌原性試験)は動物のほぼ一生をかけて試験します。期間が長いのもそうですが、動物を殺したりリスクが高い試験となるため、次の変異原性試験(遺伝毒性試験)をやって、がんに関わる物質っぽいなとなったら、発癌性試験(癌原性試験)をやることが多いです。
発癌性試験(癌原性試験)に対して、変異原性試験(遺伝毒性試験)は細胞が実験材料に使われるためコストも安く、短期間で済むので、発癌のイニシエーターを調べるのに使われます。ちなみにDNAに損傷が起こり複製にミスが起こることをイニシエーションと言います。発癌イニシエーターとはそのDNAの損傷を起こすもので、代表例には活性酸素、フリーラジカル、紫外線、放射線、化学物質などがあります。
変異原性試験(遺伝毒性試験)の代表例にはAmes試験があり、簡単に見てみましょう。
Ames試験には、Salmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)変異株を使います。この変異株は増えるのにヒスチジンが必要です。そしてSalmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)はP450やトランスフェラーゼを持たないという特性があるため使われます。
の代表例にはames試験がある。2.png)
Salmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)を被験物質の中に入れ、A群には何も入れず、B群にはS9mixを加えます。S9mixはざっくり言うと代謝酵素の塊のようなものです。そしてその後必要最小限のヒスチジンを含む培地に移します。
A群ではSalmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)が増えるのには本来ヒスチジンが必要です。ヒスチジンは最小限にとどめられているので増えることができません。しかし、Salmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)が増えていたら?化学物質によってヒスチジンが不要な株に突然変異したことが予測されます。この結果からわかることは、S9mixを含まないA軍でSalmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)が増えた場合は、化学物質によって突然変異が起きているということです。
次にB群を考えてみます。Salmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)でも同様に増えるのにはヒスチジンが必要ですから、突然変異が起きていなければ増えることはできません。しかし、こちらもSalmonella Typhimurium(ネズミチフス菌)が増えていたら?先ほどと違うのはS9mixをB群では加えています。つまりS9mixにより化学物質が代謝され代謝物ができています。この代謝物により突然変異を起こしてヒスチジンが不要な株になったと考えることができます。
まとめると、
と言うことができます。