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前回の浄水場の沈殿とろ過。緩速ろ過と急速ろ過。ではろ過まで確認しました。ろ過されたあとの水は消毒されます。今回は消毒について見ていきます。水の消毒で誰もが覚えているのが、プールの消毒でしょう。プールが塩素臭かったように、塩素の酸化力を利用して水の消毒を行います。塩素は少量で速やかに作用し、しかも安いといういわゆるコスパの面から使われています。
塩素はpHによって反応を起こし、形が変わります。
これらのうち、次亜塩素酸(HClO)と次亜塩素酸イオン(ClO-)のことを遊離残留塩素と言い、消毒に関わります。
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さらにアンモニアなどのアミン類が水の中にある場合、次亜塩素酸(HClO)と反応し、次のような反応が起こります。
この反応で出てきたNH2Cl、NHCl2などをクロラミンと呼びます。そして、クロラミンを結合残留塩素と呼びます。結合残留塩素は遊離残留塩素と比べたとき、以下のようになります。
まず安定性ですが、これはクロラミンはがっちりと結合しているから安定性が高いことがわかると思います。しかし安定していることは逆を返せば微生物と反応しにくいということが言えます。
これを反映しているのが殺菌力で、クロラミンが一番弱くなります。さらにHClOとClO-殺菌力を考える時、細胞膜透過性を考えたとき分子形の方が透過しやすいためHClOの方が殺菌力は強くなります。
では、水に塩素を入れていくとどういうグラフを描くでしょうか?国家試験的に大きく4つのパターンがあるのでこれをしっかり抑えることが大事です。
純水の場合は以下のような反応が起こり、HClO(遊離残留塩素)が生じます。
つまり塩素を入れると、残留塩素量も比例して増えていくグラフが描けます。
冒頭で、塩素は酸化力に基づいて殺菌力を示すという話をしました。そのため還元性物質があると、そちらに残留塩素が使われてしまいます。しかし塩素を入れているうちに還元性物質もすべて酸化されて力尽きます。そのため途中から純水と同じようなグラフが描けます。
先ほどのアンモニアなどアミン類を含むと、結合残留塩素(クロラミン)が生じます。結合残留塩素も残留塩素ですので、はじめは残留塩素が増えます。
しかし、さらにHClOとクロラミンが反応して次のような反応を示します。
つまりクロラミンは分解される反応が起こります。そのため結合残留塩素は低下します。クロラミンが分解され終わると、純水のように遊離残留塩素が増えてくるのでNのようなグラフを描きます。覚えるヒントとして、アンモニアやアミンもNを含んでいます。これをN字グラフと結び付けると覚えやすいです。
これは、先ほどの2番目と3番目が組み合わさったグラフとなります。
ちなみに2番目にも出てきたグラフの谷の部分を不連続点と呼びます。不連続点を過ぎると、アンモニアやアミン類が除かれるため遊離残留塩素が生じて殺菌効果が強くなります。これを利用した処理法を不連続点塩素処理法と言います。
塩素要求量とは初めて遊離残留塩素が出始める塩素注入量のことを言います。そして塩素消費量は初めて残留塩素が増加し始めるまでの塩素注入量を言います。例えば先ほどのグラフを見てみると以下のようになります。
結構混同しやすいのでこちらも覚えるヒントを。塩素「要」求量の「よ」と「遊」離残留塩素の「ゆ」ということで、「や行」つながりで覚えましょう。塩素「消」費量の「し」と「残」留塩素の「ざ」ということで、こちらは「さ行」つながりで覚えましょう。