Sponsored Link
前回の生体膜透過、単純拡散はめんつゆをイメージしよう。に続き、今回は特殊輸送をまとめていきます。
特殊輸送は輸送担体などを使うタイプで、さらに能動輸送、促進拡散、膜動輸送などがあることを前回軽くお話ししました。
能動輸送は濃度勾配に逆らって生体膜を透過します。濃度勾配に逆らうため、前回の単純拡散とは違い、自然の摂理に反します。自然の摂理に反するため、普通ではない何かが必要となってきます。それが、担体(トランスポーター)と呼ばれるものです。担体を動かすためにはATPのエネルギーを要します。
能動輸送を例えるならば、スキーのリフトの上りみたいなものです。山を上に登るのはしんどく、普通はなかなか登れません。そのため、私たちはリフトを使って山を登ります。もちろんリフトを動かすのには電気が必要です。
能動輸送は、ATPを直接するかどうかによって、一次性能動輸送と二次性能動輸送にわけられます。
要するに、ATPを直接使うか、間接的に使うかの違いです。
Sponsored Link
Sponsored Link
先ほどの一次性能動輸送担体で有名なものに、P-糖タンパク質というものがあります。P-糖タンパク質は脳の毛細血管や肝臓、腎臓、腸管、胎盤などに存在して、薬を細胞外に排出します。
対象となる薬として、有名なものは、ワソラン(ベラパミル)、プログラフ(タクロリムス)、ネオーラル(シクロスポリン)、ジゴシン(ジゴキシン)、キニジン(キニジン)、オンコビン(ビンクリスチン)、エクザール(ビンブラスチン)などがあります。ゴロとしては、
イメージ作りの物語を。ベラ君は気が小さく、ドMな男性でした。タクシーに乗ったはいいものの、事故が気になってビンビンになってしまったというお話です(笑)
能動輸送による膜透過速度は、Michaelis-Menten(ミカエリスメンテン)式で表されます。国家試験で問われるのは、濃度が小さい時と大きい時どうなるかということです。
まず、能動輸送が担体を介する輸送であることを思い出してください。そのため濃度が増えてくると輸送に飽和現象が起こり、頭打ちするようなグラフが描けます。スキーのリフトでもそうですが、数が限られているため、乗りたい人が増えると渋滞が発生します。それと同じです。
このグラフのイメージができたら、あとはそれぞれの濃度で考えるだけです。
濃度が小さい時は、C≒0と考えたら、V≒Vmax×C/Kmとなります。つまりVはCに比例するグラフとなります。
濃度が高い時は、定数Kmを無視できるくらいCが大きくなったと考え、C≒Km+Cとなります。よって、V≒Vmaxとなるグラフになります。
促進拡散は膜中に存在する輸送体と複合体を形成して、濃度勾配に従い輸送されます。
促進拡散は担体を使うけれども、ATPのエネルギーを使わない輸送方法です。代表例にはグルコースがあり、細胞内に能動輸送された後、促進拡散によって血中に行きます。
膜動輸送は、細胞膜の一部が陥没して、細胞膜に包み込んで膜透過します。
膜動輸送は担体は使わないけれど、ATPのエネルギーを使う輸送方法です。
単純拡散も含めて、ATPと担体のまとめは以下のようになります。