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前回のP450の第T相反応、酸化と還元の代表例では、第T相反応についてみました。今回は第U相反応について見ていきたいと思います。第U相反応は抱合反応でしたね。抱合を受けることによって、さらに水溶性が高まります。
抱合反応の代表例には以下のようなものがあります。
これらの抱合反応は、異物(基質)と供与体と呼ばれるものにより起こります。多少名前が異なりますが○○抱合は、○○に当たる部分が供与体となります。例えばグルタチオン抱合であればグルタチオンが供与体となります。
抱合を受ける異物は構造式の中に官能基を持ち、官能基に応じた抱合を受けることになります。国試対策としては、まずこの図を叩き込んでください。
今回はこの図を覚える恒例のゴロはありません(笑)ただ覚え方のヒントとして、2つあります。
まず1つ目はグルタチオン抱合を抑えることです。それにあたって、グル「タチ」オン抱合はタチとついているように、タチの悪いもので覚えましょう。前回お話ししたようにエポキシドやハロゲンはタチが悪いです。そこのイメージをひもづけましょう。
2つ目は硫酸抱合とアセチル抱合を抑えることです。ここは恒例のゴロを使います。
イメージ作りの物語を。〇トリートファイターのリュウはムキムキマッチョです。マッチョになり過ぎて、流れ出る汗すらもアミノ酸を含んだアミノ水になってしまったという話です。
この2つを抑えたら、あとは穴埋めです。グルクロン酸抱合はよく聞くから、対応する官能基は3つだったなみたいな感じで水酸基、アミノ基、カルボキシ基を引っ張り出します。最後に余った空欄一つがアミノ酸抱合となります。
今はよくわからなくても後で個別の反応を見ていけば言ってることがわかるかと思うので、またあとで見てみてください(笑)では個別の反応に行きます。
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水酸基、アミノ基、カルボキシ基などをもつ異物と、UDP-α-D-グルクロン酸(UDP-GA)の供与体が、UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)によって、β-グルクロニドとなります。
抱合体の多くは胆汁中に排泄されますが、腸内細菌のβ-グルクロニダーゼで加水分解を受けて再び吸収されてしまうことがあります。これを腸肝循環と呼びます。
なお、新生児はグルクロン酸抱合が低くビリルビンの排泄が低くなることがあります。そうすると体内のビリルビンが増えてしまい新生児黄疸を起こすことがあります。
水酸基、アミノ基などをもつ異物と、活性硫酸(3’-ホスホアデノシン-5’-ホスホスルフェート;PAPS)の供与体が反応し硫酸抱合体を作ります。
水酸基、アミノ基などをもつ異物と、アセチルCoAの供与体が反応しアセチル化体を作ります。
アセチル抱合を受ける代表的な薬はイスコチン(イソニアジド)ですが、これには遺伝的多型があり、日本人にはアセチル化する能力が高い人が多く、欧米人はアセチル化する能力が低いと言われています。
カルボキシ基などを持つ異物と、グリシンなどの供与体が反応します。
アミノ酸抱合の代表例には安息香酸があります。トルエンから反応が進み安息香酸、ベンゾイルCoAとなり、最終的に馬尿酸となり尿中排泄されます。なおトルエンはシンナーの主成分なので、この一連の反応からシンナーを吸ったかわかってしまいます。
エポキシド、ハロゲン化合物などの異物と、グルタチオンの供与体が反応し、グルタチオン抱合体を作ります。
ただグルタチオン抱合体は分子量が大きくまだ尿中に排泄するには困難であるため、さらに反応が進みメルカプツール酸となり尿中排泄されます。