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前回のクラメールの連関係数と例題までで相関分析の基本的なことを見ました。今回は独立性の検定について見てみます。
前回のクラメールの連関係数を求める例題では、薬学部の20人のアンケート結果から得られたものでした。母集団を日本全国の薬学部と考えると、別の20人が選ばれていたらアンケート結果は変わっていたはずです。母集団のクラメールの連関係数を求めるには、全薬学部生からアンケート結果をもらわないといけません。
統計学は標本から母集団を推定する学問であるため、標本から母集団のクラメールの連関係数を推定できそうですが、残念ながらできません。ただ母集団のクラメールの連関係数が0でないことはわかります。
母集団のクラメールの連関係数が0ということは、2変数が無関係であるということを示すわけですが、これを調べる方法が独立性の検定となります。つまり、検定とは母集団について立てた仮説が正しいかどうかを標本のデータから推測することを言い、独立性の検定はその1つといえます。
いまいち仮説検定についてピンと来ていないと思いますが、仮説検定には大きく2つのパターンがあります。
こちらは次の場合と比べると割と直感的でわかりやすいです。例えば「ビタミンCの入ったサプリを1か月続けると、シミが1つ減る」と主張したかったとします。
この主張通りにビタミンCの入ったサプリを1か月続けてもらい、シミが1つ減るかを確かめます。これが証明できなければ効果の表現は誤りとなります。
例えば「ある地域で死亡者が極端に増えた。ある地域で死亡者が増えたのは水道の水が腐っていたのではないか」と主張したかったとします。
この主張を確かめるために、あやしい水をまた別の人に飲ませ続けて実験を行うのは倫理的に難しいです。このように主張すべきことがはっきりととらえることが難しい場合は、後で説明する対立仮説を立てます。
仮説;「ある地域で死亡者が増えたのは、水道の水が腐っていたためではない」
この対立仮説を立証できなければ、その逆である「ある地域で死亡者が増えたのは、水道の水が腐っていたためである」という主張は正しいことになります。
統計学では、この基本的に主張すべきことがはっきりととらえることが難しい場合を取り扱うので割と意味不明となってしまいます。
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検定を行うには、帰無仮説と対立仮説を立てる必要があります。
先ほどの薬学部のアンケートの例でいうと、
と表現することができます。
帰無仮説と対立仮説は統計学の独特な表現なので慣れないと思うので、例題を見てみましょう。
「ある製薬企業の錠剤を作る工場では、不良品発生率は平均0.05より大きい」という仮説を検定したい。この時の帰無仮説と対立仮説を答えよ
「ある大手薬局グループの就業時間の母平均は40時間より大きい」という仮説を検定したい。この時の帰無仮説と対立仮説を答えよ
どうでしょうか?感覚的に帰無仮説と対立仮説がわかったでしょうか?次回は検定をさらに深掘りしていきます。