相関分析、単相関係数と例題

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相関分析、単相関係数と例題

今まで学んできた統計分析の方法は、1つの変数が単独で分布していました。しかし、世の中の自然現象や社会現象には2つの変数(現象)が関連して変化することがあります。例えば、「揚げ物を毎日たくさん食べる人は、脂質異常症になりやすい」だとか、「タバコを毎日吸う人は、肺がんになりやすい」など様々な現象があります。これを調べることを相関分析と呼びます。今回は相関分析を見ていきます。

 

 

相関分析

データの種類には、数量データとカテゴリーデータがありました。相関分析は2つの変数の関連性を調べるので、以下の3通りが考えられます。

 

  • 数量データと数量データ;例、年齢と血圧
  • 数量データとカテゴリーデータ;例、血圧と職業
  • カテゴリーデータとカテゴリーデータ;例、職業と血液型

 

これらがどのように関連しているのかを調べるにあたって、グラフや関連具合を示す指標の値を求めます。今回は、一番上の数量データと数量データの組み合わせを見てみます。

 

単相関係数

では、ここで2つ例題です。

 

例題1

年齢と血圧の関連性を調べるために10人にアンケートをとり、以下の値が得られた。横軸を年齢、縦軸を血圧として点グラフを作れ

 

  • A;年齢18歳、血圧111
  • B;年齢24歳、血圧102
  • C;年齢31歳、血圧134
  • D;年齢60歳、血圧148
  • E;年齢48歳、血圧155
  • F;年齢22歳、血圧120
  • G;年齢35歳、血圧126
  • H;年齢41歳、血圧131
  • I;年齢52歳、血圧138
  • J;年齢30歳、血圧128

 

以下のような点グラフができたと思います。

 

 

このグラフを見てざっくりではありますが、グラフは右肩上がりで年齢が上がるにつれて血圧も上がっているというのが読み取れると思います。では続けて例題2です。

 

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例題2

例題1のデータにおける単相関係数を求めよ

 

冒頭で関連性を調べるにあたって、グラフや関連具合を示す指標の値を求めるという話をしました。例題1では年齢が血圧に関連しているというのはなんとなくわかりましたが、それを具体的な数字として調べるのが例題2となります。今回のように数量データと数量データの組み合わせにおける指標を単相関係数と言い、以下の式で求められます。

 

  • xとyの積和/√(xの偏差平方和×yの偏差平方和)

 

意味不明だと思うので1つずつみていきます。

 

まずxの平均値を出します。ここではx軸を年齢としたので、年齢の平均値を出します。

 

(18+24+31+60+48+22+35+41+52+30)/10=36.1

 

同様に、yの平均値を出します。

 

(111+102+134+148+155+120+126+131+138+128)/10=129.3

 

次に年齢の偏差を出します。

 

  • 18−36.1=−18.1
  • 24−36.1=−12.1
  • 31−36.1=−5.1
  • 60−36.1=23.9
  • 48−36.1=11.9
  • 22−36.1=−14.1
  • 35−36.1=−1.1
  • 41−36.1=4.9
  • 52−36.1=15.9
  • 30−36.1=−6.1

 

同様に血圧の偏差を出します。

 

  • 111−129.3=−18.3
  • 102−129.3=−27.3
  • 134−129.3=4.7
  • 148−129.3=18.7
  • 155−129.3=25.7
  • 120−129.3=−9.3
  • 126−129.3=−3.3
  • 131−129.3=1.7
  • 138−129.3=8.7
  • 128−129.3=−1.3

 

xとyの積和というのは、先ほど求めたxの偏差×yの偏差の和をさします。そのため、これを求めると

 

  • −18.1×−18.3=331.23
  • −12.1×−27.3=330.33
  • −5.1×4.7=−23.97
  • 23.9×18.7=446.93
  • 11.9×25.7=305.83
  • −14.1×−9.3=131.13
  • −1.1×−3.3=3.63
  • 4.9×1.7=8.33
  • 15.9×8.7=138.33
  • −6.1×−1.3=7.93

 

xとyの積和=331.23+330.33−23.97+446.93+305.83+131.13+3.63+8.33+138.33+7.93=1679.3

 

xの偏差平方和とは、先ほど求めたxの偏差を二乗して足したものを言います。そのため、これを求めると

 

  • −18.1×−18.1=327.61
  • −12.1×−12.1=146.41
  • −5.1×−5.1=26.01
  • 23.9×23.9=571.21
  • 11.9×11.9=141.61
  • −14.1×−14.1=198.81
  • −1.1×−1.1=1.21
  • 4.9×4.9=24.01
  • 15.9×15.9=252.81
  • −6.1×−6.1=37.21

 

xの偏差平方和=327.61+146.41+26.01+571.21+141.61+198.81+1.21+24.01+252.81+37.21=1726.9

 

これを同様にyの偏差平方和も求めます。

 

  • −18.3×−18.3=334.89
  • −27.3×−27.3=745.29
  • 4.7×4.7=22.09
  • 18.7×18.7=349.69
  • 25.7×25.7=660.49
  • −9.3×−9.3=86.49
  • −3.3×−3.3=10.89
  • 1.7×1.7=2.89
  • 8.7×8.7=75.69
  • −1.3×−1.3=1.69

 

yの偏差平方和=334.89+745.29+22.09+349.69+660.49+86.49+10.89+2.89+75.69+1.69=2290.1

 

よって、分母の√(xの偏差平方和×yの偏差平方和)=√(1726.9×2290.1)=1988.66

 

これをxとyの積和/√(xの偏差平方和×yの偏差平方和)に代入して

 

単相関係数=xとyの積和/√(xの偏差平方和×yの偏差平方和)=1679.3/1988.66=0.844

 

これが答えです。私自身そうですが、脳みそと集中力の限界なので、この0.844がどういう値なのかは次回に回します(笑)万が一計算間違っていたら、ご指摘ください。お疲れさまでした。

 

まとめ

  • 2つの変数の関連性を調べることを相関分析という。
  • 相関分析のうち、数量データと数量データの組み合わせにおける指標を単相関係数という

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標本分散はカイ二乗分布となり自由度は、標本数を表します。カイ二乗分布のヒストグラムは自由度によって形が変化していきます。
カイ二乗分布表の読み方と例題
カイ二乗分布表は標準正規分布表とは異なり、横軸以上の面積が占める割合を表しています。カイ二乗分布表の読み方と例題をまとめてみました。
母分散をカイ二乗分布で推定する方法
(標本−母平均)/母標準偏差を行うことで、標準正規分布に変換できます。つまりこの変換を行いカイ二乗分布をとることで、95%予言的中区間を利用することができます。
(標本−標本平均)/母標準偏差の二乗の和はカイ二乗分布する
(標本−標本平均)/母標準偏差の二乗の和は標本分散に比例するためカイ二乗分布をとります。ただし、自由度がn−1となります。
(標本−標本平均)/母標準偏差の二乗の和の自由度が1下がる理由
(標本−標本平均)/母標準偏差の二乗の和は元は2つだったデータが式変形することで1つに減るため、自由度が1下がったカイ二乗分布となります。
母平均が未知の正規母集団の区間推定の例題
(標本−標本平均)/母標準偏差の二乗の和を出すことで母平均が未知の正規母集団を区間推定することが可能となります。それの例題となります。
t分布と統計量Tとは?
統計量Tを出して、t分布がわかれば、未知の母平均を推定することができます。統計量T=(標本平均−母平均)×√(n−1)/標本標準偏差で求められます。
t分布のヒストグラムと統計量Tの計算例題
t分布のヒストグラムは正規分布に似たような山のようなグラフを描きます。t分布と正規分布の違いは、山のてっぺんと山の麓の高さが違います。
t分布表の読み方
t分布表の確率95%の数字を見て、そのプラスマイナスで挟まれる範囲の面積が95%となります。t分布は自由度が上がるにつれて正規分布に近づいていくため、自由度が∞の時の確率95%は標準正規分布と一緒の1.96となります。
t分布を利用した未知の母平均の区間推定、例題
統計量Tとt分布表を用いることで、未知の母平均を推定することができます。薬学部の統計学ではt分布までできていれば、かなりのレベルまで達しています。

 
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