t分布表の読み方

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t分布表の読み方

前回のt分布のヒストグラムと統計量Tの計算例題では、t分布を見ました。今回はt分布表の見方についてみていきたいと思います。

 

 

t分布表

前回でt分布は正規分布に似ているという話をしました。そして区間推定を行うにあたって以下のt分布表を利用します。

 

 

今までの標準正規分布表カイ二乗分布表とはまた見方が異なります。例えば自由度が1の場合、確率95%は12.706となっています。これは、−12.706〜12.706の範囲で囲まれる面積(確率)が95%であることを意味しています。

 

さらに前回では自由度が上がるにつれて、山のてっぺんが高くなっていくという話をしました。そのため自由度が上がるにつれて確率95%の数字が小さくなっていき、正規分布に近づいていきます。図は自由度7までですが、最終的に自由度が無限の場合は1.96となり、標準正規分布の95%予言的中区間と一緒になります。

 

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t分布表を用いた区間推定

では、早速t分布表を使って区間推定の練習をしてみましょう。

 

前回の例題では、統計量Tを計算したところT=1.20という答えになりました。この例題においては計算の都合上、母平均が2ということを知っているものとしましたが、何度も言っているように本来であればt分布は母平均が未知のものを推定するものです。そのため、母平均が2という仮定のもと導き出されたT=1.20が妥当かどうかを調べてみます。

 

前回の例題では正規母集団から5個のデータを持ってきたので、自由度は4となります。よってt分布表の自由度は4のところを見てみると、確率95%の数字は2.776となっています。つまり−2.776〜2.776で囲まれる面積が95%ということになります。

 

T=1.20は、この−2.776〜2.776の範囲に入っています。そのため、母平均が2という仮定は妥当なものであることがわかります。このようにして、t分布表は利用することができます。

 

t分布表の見方や使い方はわかったでしょうか?今回は母平均が2と知っているものとして行いましたが、次回は母平均が未知のものを推定していきたいと思いますので、t分布表の見方をしっかりマスターして臨んでください。

 

まとめ

  • t分布表の確率95%の数字を見て、そのプラスマイナスで挟まれる範囲の面積が95%となる。
  • t分布は自由度が上がるにつれて正規分布に近づいていくため、自由度が∞の時の確率95%は標準正規分布と一緒の1.96となる。

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95%信頼区間とは
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母標準偏差の出し方
度数分布表から母分散を出す場合、(偏差の二乗×相対度数)の合計で出す必要があります。また母分散に√(ルート)をとったものが母標準偏差です。
標本平均とは
1つの母集団からn個のデータを観測して標本平均を作ると、nが大きいほど標本平均は母平均に近い数値をとる可能性が高くなります。
正規分布している母集団からの標本平均における95%予言的中区間
母集団が正規分布している場合は、そこから標本平均を作った場合も正規分布します。正規分布している母集団からの標本平均における95%予言的中区間はμ−1.96σ/√n〜μ+1.96σ/√nです。
標本平均から母集団の母平均を推定する
観測データから母集団の母平均μを推測する場合は、95$信頼区間を利用して、標本平均が予言の範囲に入るような母平均を持つ母集団のみ妥当なものとして残す
標本分散の性質
標本分散={(偏差1)^2+(偏差2)^2+・・・・+(偏差n)^2}/nで表されます。分子も分母も必ずプラスになるため、標本分散は必ずプラスとなり正規分布しなくなります。
カイ二乗分布とは?自由度とヒストグラム
標本分散はカイ二乗分布となり自由度は、標本数を表します。カイ二乗分布のヒストグラムは自由度によって形が変化していきます。
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(標本−母平均)/母標準偏差を行うことで、標準正規分布に変換できます。つまりこの変換を行いカイ二乗分布をとることで、95%予言的中区間を利用することができます。
(標本−標本平均)/母標準偏差の二乗の和はカイ二乗分布する
(標本−標本平均)/母標準偏差の二乗の和は標本分散に比例するためカイ二乗分布をとります。ただし、自由度がn−1となります。
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