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数量データとカテゴリーデータ
前回の母集団と標本では、統計学はどういう学問なのかを母集団と標本という単語を交えて話しました。今回は統計学に使われるデータについて見ていきたいと思います。
測れるデータと測れないデータ
統計学はどうしても数字のイメージが強いですが、その他にも様々なデータが使われます。その様々なデータには測れるものと測れないものが存在します。例えば、当サイトについて以下のようなアンケートを皆様にとったとします。
当サイトはわかりやすいか?
- とてもわかりやすい
- ややわかりやすい
- どちらともいえない
- ややわかりにくい
- とてもわかりにくい
あなたは薬学部何年生ですか?
- ○○年生
あなたの性別は?
- 男
- 女
当サイトを1週間にどれくらい見ますか?
- ○○回
このアンケートについて以下のような回答が得られたとします。
では、このアンケートの回答結果ですが、測れるデータと測れないデータがあるのですがわかるでしょうか?先ほどのアンケートについては以下のように分類できます。
- 測れるデータ;あなたは薬学部何年生ですか?、当サイトを1週間にどれくらい見ますか?
- 測れないデータ;当サイトはわかりやすいか?、あなたの性別は?
測れるデータというのは、目盛が等間隔であるため測ることができます。それに対して測れないデータは、目盛が等間隔ではありません。特に最初の当サイトはわかりやすいか?というのは個人の尺度で決まっているものなので、それぞれのわかりやすさの間隔は等しいと言えないから測れないわけです。
測れるデータのことを数量データ、測れないデータのことをカテゴリーデータと呼びます。
ちなみに本当にtwitterでたまに皆様にアンケートをとっていますが、その時に当サイトを「とてもわかりやすい」とアンケートに答えてくれるのを楽しみにしています(笑)
では、例題と共にもう少し数量データとカテゴリーデータをみてみましょう。
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例題
ある開発中の高血圧治療薬をAさんに治験で投与し、以下のデータ得られた。このデータについて数量データとカテゴリーデータで分類せよ
- 年齢;20歳
- 血液型;B型
- 職業;大学生
- 治験薬投与1時間後の血圧;120
- 治験薬投与1時間後の脈拍;80
- 治験薬投与1時間後の体温;37
- 治験薬投与1時間後の呼吸数;20
- 治験薬の味についての評価;苦かった
年齢、血圧、脈拍、体温、呼吸数は、目盛が等間隔のため数量データとなります。血液型、職業、味の評価については目盛が等間隔ではないのでカテゴリーデータとなります。
まとめ
- 目盛が等間隔で測れるデータを数量データと言う。目盛が等間隔ではなく測れないものをカテゴリーデータと言う。
数量データとカテゴリーデータ 関連ページ
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- 平均値とはデータの合計値を全データで割ったもので、中央値はデータを小さい順から並べたときに真ん中にくるものです。そのため平均値と中央値は違います。
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- 標準偏差の求め方は、平均値を出す、偏差を出す、分散を出す、標準偏差を出すという手順で出すことができます。薬学部において標準偏差を出すことができればかなりの進歩です。
- 統計学で偏差値を考える
- CBTや国家試験の模試を行うと、偏差値が出てきます。統計学の平均値や標準偏差の知識を用いることで、テストの偏差値や1点の重みがわかります。
- 基準値と偏差値
- 偏差値は基準値×10+50で出すことができます。偏差値は基準値をもとにして出されるので、満点の点数が違うものや、単位が違うものも比較できます。
- 標準偏差を用いて、データの特殊性を評価する
- 標準偏差1個以内にあるものは全体の70%を占め、月並みなデータですが、2個以上離れているデータは正規分布する場合前回の5%しか存在せず、かなり特殊なデータと言える。
- データに一定数を加えた時の平均値や標準偏差への影響
- データに一定数を加えて加工すると平均値のみ変化して標準偏差には影響を与えません。これはヒストグラムがただ横にスライドするだけと考えるとわかりやすいでしょう。
- データに一定数をかけた時の平均値や標準偏差への影響
- データに一定数をかけた場合、平均値も標準偏差もかけた数だけ増えます。つまり没問が出た場合、標準偏差にも影響が出てしまうため得点を二倍にしてはいけません。
- 正規分布の式とグラフ
- ヒストグラムの階級を限りなく狭めていくと曲線になっていき、その曲線の式を確率密度関数といいます。正規分布は確率密度関数の1つで左右対称の山のようなグラフとなります。
- 標準正規分布と性質
- 平均が0で標準偏差が1の時は、xは標準正規分布に従います。正規分布の特性としてμ±σの範囲のデータの相対度数は約70%がこの中に入り、μ±2σの範囲のデータの相対度数は約95%がこの中に入ります。
- 標準正規分布の95%予言的中区間
- 標準正規分布は無限の数字をとる可能性がありますが、その性質を利用することで次に出てくるデータを推測することができます。標準正規分布の95%予言的中区間は−1.96〜+1.96です。
- 正規分布の95%予言的中区間と例題
- 標準正規分布のデータに一定数σをかけて、さらに一定数μを足して加工するため、正規分布の95%予言的中区間は、μ−1.96σ〜μ+1.96σです。
- 標準正規分布表、面積と確率
- 標準正規分布表は、横軸の値と確率密度関数のグラフで囲まれる面積がどれくらい占めているのかを表しています。またこの面積は確率と等しくなります。
- データから母集団を推定する方法
- 正規分布の95%予言的中区間を使うことで、データから母集団を推定することができます。この時に、仮説が妥当ではない場合は仮説を棄却すると統計学では言います。
- 95%信頼区間とは
- 95%信頼区間とは様々な観測値から同じ方法で区間推定をして、そのうち95%は正しい母数を含んでいるものを言います。−1.96≦(N−μ)/σ≦+1.96で95%信頼区間は求めます
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- 度数分布表から母分散を出す場合、(偏差の二乗×相対度数)の合計で出す必要があります。また母分散に√(ルート)をとったものが母標準偏差です。
- 標本平均とは
- 1つの母集団からn個のデータを観測して標本平均を作ると、nが大きいほど標本平均は母平均に近い数値をとる可能性が高くなります。
- 正規分布している母集団からの標本平均における95%予言的中区間
- 母集団が正規分布している場合は、そこから標本平均を作った場合も正規分布します。正規分布している母集団からの標本平均における95%予言的中区間はμ−1.96σ/√n〜μ+1.96σ/√nです。
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