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前回の質量分析法のイオン化法では、質量分析法の全体像とイオン化方法についてみました。今回は質量分析計と質量スペクトルについて見ていきたいと思います。
イオン化されたものはその後、質量分析計で分析されます。質量分析計には以下のような種類があります。
飛んでいるイオンに磁場をかけることで力を働かせ、質量の違いに基づく運動の差を作ります。これによって、質量の小さなイオンほど大きく曲がることを利用して磁場型は質量ごとに分離します。
イオンを同じ電圧で加速することで、軽いイオンが速く、重いイオンが遅く移動するため飛行時間の差が生じます。飛行時間型はこれによって分離します。
四重極型は、4つの電極の間に電圧を同時にかけて電圧を変化させることで、電極の中にはいったイオンはある条件のm/zをもつイオンだけが検出されます。
m/zとは質量電荷比と呼ばれ、イオンの相対質量mをイオンの電荷数zで割ったものを指し次の質量スペクトルにも使われます。
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質量スペクトルとは、分子イオンやフラグメントイオンの強度比を分子量ごとにピークとして表したものであり、縦軸には相対強度、横軸にはm/z(質量電荷比)が使われます。質量スペクトルは以下のような図となり、以下のようなピークの種類があります。
質量スペクトルの問題を解く上で、以下のものも知っておく必要があります。
臭素は同位体存在比が79Br:81Br=1:1、塩素は同位体存在比が35Cl:37Cl=3:1となり同位体ピークが特徴的な形となるため、これから臭素や塩素の存在数を推定することができます。
通称窒素ルールと呼ばれるもので、分子量が奇数の時は窒素を奇数個含み、分子量が偶数の時は窒素を含まないか偶数個含んでいるというルールです。
次回、例題編でこれらのルール含めて質量スペクトルの読み方について見ていきたいと思います。