質量分析法のイオン化法

質量分析法のイオン化法

質量分析法においてイオン化するには、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、高速原子衝撃(FAB)法、エレクトロンスプレーイオン化(ESI)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法などがあります。

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質量分析法のイオン化法

分子量10万以上のタンパク質の分子量の決定、ペプチドや多糖類の配列決定に質量分析法が用いられています。今回は、質量分析法のイオン化法について見ていきたいと思います。

 

 

質量分析法とは

質量分析法(Mass spectrometry;MS)とは、分子をイオン化させて分離や検出を行う方法で、冒頭のようにタンパク質などの物質の確認や純度の試験などに用いられます。

 

質量分析法は、試料導入部、イオン化部、質量分離部、検出部、データ処理部などからなり、特徴でもあるイオン化する方法には以下のようなものがあります。

 

  • 電子イオン化(Electron Ionization;EI)法
  • 化学イオン化(Chemical Ionization;CI)法
  • 高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment;FAB)法
  • エレクトロンスプレーイオン化(Electrospray Ionization;ESI)法
  • マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix-Assisted Laser Desorption Ionization;MALDI)法

 

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電子イオン化(Electron Ionization;EI)法

電子イオン化法は、高真空下で高速の熱電子を気化した試料にぶつけることで、試料からe-が出てカチオンラジカルを作ることでイオン化する方法です。

 

カチオンラジカルは高エネルギー状態であるため、その後分子内で結合開裂を起こしてフラグメントイオンを作ることもあり分子イオンが得られず、スペクトルが複雑になる可能性があります。またイオン化をする時に気化する必要があるため、タンパク質などの高極性で熱に不安定な物質には適応が困難です。

 

化学イオン化(Chemical Ionization;CI)法

化学イオン化法は、電子イオン化法の改良版のようなイメージです。反応ガスをあらかじめ電子イオン化法でイオン化しておき、これに気化した試料を導入することでイオン化します。

 

 

化学イオン化法は電子イオン化法に比べて、フラグメントイオンが作られにくいですが、相変わらず気化する必要はあるので熱に不安定な物質などには適応は困難です。

 

高速原子衝撃(Fast Atom Bombardment;FAB)法

高速原子衝撃法は、試料をグリセリンなどの粘性が大きいマトリックスに溶かして、これに大きなエネルギーを持つキセノンやアルゴンなどの中性高速原子による粒子ビームを照射してイオン化する方法です。

 

高速原子衝撃法は、先ほどのように高温加熱の必要がないため、難揮発性で熱に不安定な高極性物質や高分子化合物に使われます。

 

エレクトロンスプレーイオン化(Electrospray Ionization;ESI)法

エレクトロンスプレーイオン化法は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)に関わり、高電圧のかかったキャピラリーの先端から試料を噴霧することで霧状の液滴とします。これを加熱して溶媒を減らしていくと電荷密度が上がり、やがて破裂しイオン化することができます。

 

 

エレクトロンスプレーイオン化法はタンパク質やペプチドなどの生体高分子に広く使われます。

 

マトリックス支援レーザー脱離イオン化(Matrix-Assisted Laser Desorption Ionization;MALDI)法

マトリックス支援レーザー脱離イオン化法は、試料をマトリックスに溶かして固め、そこにレーザー光を当てることでマトリックスの励起エネルギーが試料に移ります。励起エネルギーが試料に移ることで、試料をイオン化することができます。

 

 

マトリックス支援レーザー脱離イオン化法は、タンパク質などの生体高分子をイオン化するのに使われます。

 

まとめ

  • 質量分析法においてイオン化するには、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、高速原子衝撃(FAB)法、エレクトロンスプレーイオン化(ESI)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法などがある。

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