![擬0次反応の式とグラフ、例題編](../img/header.jpg)
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前回までの2次反応の式とグラフ、例題編で0次反応から2次反応までを見てきました。今回は擬0次反応について見ていきます。
擬0次反応とは、本当は1次反応で分解するのにも関わらず、0次反応のマネをするような反応を言います。例えば懸濁剤(サスペンション)においては、溶液中に溶解している薬物の分解速度よりも、固体薬物の溶解速度が十分に速い時は、溶液中の薬物が分解しても固体が溶解してすぐに補充されるため、溶解している薬物濃度は一定に保たれます。
そのため擬0次反応では以下のようなグラフになり、固体が存在するかしないかでわけて考える必要があります。
溶解した薬物が分解しても固体物質より補充されるため溶解している薬物濃度は一定に保たれます。つまりC=Cs(溶解度)となり、全薬物の減少速度はk・Csとなります。
0次反応の濃度の式はC=−kt+C0でした。このkの部分に先ほどの全薬物の減少速度kCsが入ることになるため、固体が存在する時の全薬物濃度はC=−k・Cs・t+C0で表されます。
また半減期についても同様に、t1/2=C0/2kに、k・Csを代入して、t1/2=C0/(2k・Cs)となります。
溶解した薬物は1次反応で分解するので、1次反応と同じように考えれば問題ないです。
では例題を見てみましょう。
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薬A1.25gを水0.1Lに懸濁した時、擬0次反応で進み、実験開始5時間後までは全薬物濃度は直線的に減少し以下のグラフを描いた。以下の問いに答えよ。
実験開始5時間後の全薬物濃度が5.0g/Lであることから、溶解度Cs=5.0g/Lと判断できます。
実験開始5時間後がちょうど境目となり、C=5.0g/Lです。固体が存在する時の全薬物濃度はC=−k・Cs・t+C0でした。C0=1.25g/0.1L=12.5g/LCs=5.0g/Lこれらを代入して、k=0.3。これが答えです。
全薬物濃度が1.25g/Lということは、1次反応の領域のことを聞かれています。1次反応はlnC=−kt+lnC0で表されました。C=1.25、k=0.3、1次反応においてはC0=5.0からスタートのためこれらを代入すると、ln1.25=−0.3t+ln5
t=(ln5−ln1.25)/0.3
t=ln4/0.3
t=(2ln2)/0.3
t=(2・0.69)/0.3
t=4.6
1次反応は実験開始後5時間から開始するため、5+4.6=9.6。これが答えです。今回の問題についても数Vの知識が必要なので、しっかり計算できるようにしておきましょう。