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前回の弱酸のpHの計算では、pHの基本的な計算についてみました。今回はHenderson-Hasselbalch(ヘンダーソンーハッセルバルヒ)の式について見ていきたいと思います。
前回までのpHの計算は単純な酸や塩基について見ましたが、実際の多くの医薬品は弱電解質で、溶液のpHによって分子形とイオン形の割合が変わります。例えば、酢酸水溶液と酢酸ナトリウム水溶液を混ぜたものは緩衝液と呼ばれますが、緩衝液では以下のように動きます。
このような緩衝液などのようにあるpHのおける弱電解質の分子形やイオン形の割合を求めるのがHenderson-Hasselbalch(ヘンダーソンーハッセルバルヒ)の式の式となります。弱酸性化合物の場合は以下のようにして導けます。
Ka=([A-][H+])/[HA]
logKa=log[H+]+log[イオン形]/[分子形]
pH=pKa+log[イオン形]/[分子形]
割愛しますが、弱塩基性化合物の場合はpH=pka+log[分子形]/[イオン形]となります。
では例題を見てみましょう。
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ある弱酸のKaは8.0×10^-6である。この弱酸0.45mol/L水溶液について以下の問いに答えよ。
この弱酸のpHはおよそいくらか?
前回の復習となります。[H+]=√(Ka・C)でした。
[H+]=√(Ka・C)
[H+]=√(8×10^-6・0.45)
[H+]=√36×10^-6
[H+]=6×10^-3
pH=−log[H+]=−log6×10^-3
pH=3−log6=3−0.78=2.22。これが答えです。
この弱酸と、0.45mol/L水酸化ナトリウム水溶液を2:1の割合で混ぜたときのpHはおよそいくらか?
この弱酸を酢酸と考えた場合、水酸化ナトリウムと混ぜると以下のような反応となります。
CH3COOH+NaOH→CH3COONa+H2O
この反応の反応前後のバランスシートは以下のようになります。
よって反応後では、CH3COOH(分子形)とCH3COO-(イオン形)が1:1となることがわかります。
Henderson-Hasselbalch(ヘンダーソンーハッセルバルヒ)の式はpH=pKa+log[イオン形]/[分子形]であり、分子形とイオン形が1:1であることから、log[イオン形]/[分子形]の部分は0となります。
pH=pKa+log[イオン形]/[分子形]
pH=pKa+0
pH=−logKa=−log8×10^-5
pH=5−3log2=5−0.9=4.1。これが答えです。