α線、β−線、β+線、γ線、X線の物質相互作用や透過力

α線、β−線、β+線、γ線、X線の物質相互作用や透過力

放射線には、α線、β−線、β+線、γ線、X線などがあり、物質相互作用や透過力が異なります。またスペクトルも線スペクトルなのか、連続スペクトルなのかもおさえましょう。

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α線、β−線、β+線、γ線、X線の物質相互作用や透過力

前回の放射壊変(α壊変、β−壊変、β+壊変、軌道電子捕獲、γ放射)では放射壊変について見ました。その時に様々な放射線が出てきたと思います。今回はその放射線についてまとめていきます。

 

 

放射線の作用

放射線には以下のような物質相互作用があります。

 

  • 電離作用;放射線が物質に当たり、原子から電子を弾き飛ばして陽イオンと電子をつくる
  • 蛍光作用;放射線が蛍光物質を励起して、その物質から蛍光を出す
  • 写真作用;放射線が写真乾板に当たり、写真乾板を黒くする

 

特に写真作用はレントゲンに使われたりなじみのある作用になります。

 

 

そして、放射線の種類には以下のようなものがあります。

 

  • α線
  • β−線
  • β+線
  • γ線
  • X線

 

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α線

α線はヘリウムの原子核であり、陽子2個、中性子2個からなります。α線は線スペクトルで、物質相互作用は大きいものの、透過力は小さく厚紙で遮蔽することができます。

 

α線の代表的な放出核種は、226Ra、222Rn、239Pu、238Uなどがあります。

 

β−線

β−線は陰電子1個からなります。β−線は連続スペクトルで、α線と比べると物質相互作用は小さいものの、透過力は大きく厚いプラスチック板で遮蔽することができます。

 

β−線の代表的な放出核種は、3H、14C、35S、32P、90Sr、40K、60Co、131I、137Csなどがあります。

 

β−線と物質との相互作用には以下のような特徴的なものがあります。

 

弾性散乱

β−線が原子核のそばを通る時、原子核の正電荷により進行方向が変化します

 

 

非弾性散乱

軌道電子などと作用し、電離、励起などを繰り返し進行方向を変えながら、運動エネルギーを消失します

 

 

制動放射

β−線が原子核のそばを通る時、原子核の正電荷により進行方向を曲げられ減速し、その際に余分なエネルギーを制動X線として放出します

 

 

β+線

β+線は陽電子1個からなります。β+線は連続スペクトルで、物質相互作用や透過力などはβ−線と同じです。

 

β+線の代表的な放出核種は、11C、13N、15O、18F、22Naなどがあります。

 

β+線は放出された後、運動エネルギーを失った状態で陰電子とくっつき、消える時に180°方向に消滅γ線を放出します。

 

 

γ線

γ線は波長の短い電磁波で、線スペクトルであり、物質相互作用は小さく、透過力は大きいです。

 

γ線の代表的な放出核種は123I、125Iなどがあります。

 

γ線と物質との相互作用には以下のような特徴的なものがあります。

 

光電効果

γ線などが軌道電子の1つに全エネルギーを与えて原子から飛び出させます

 

 

コンプトン散乱

γ線などがエネルギーの一部を軌道電子に与えて飛び出させ、残りのエネルギー分を電磁波となって散乱します。

 

 

電子対生成

γ線が原子核の近くで消滅して、陽電子と陰電子を作ります。

 

 

X線

X線は波長の短い電磁波で、物質相互作用は小さく、透過力は大きいです。

 

スペクトルは種類によって異なり、制動X線は連続スペクトルで、特性X線は線スペクトルです。

 

まとめ

  • 放射線には、α線、β−線、β+線、γ線、X線などがあり、物質相互作用や透過力が異なる。

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