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前回までの紫外可視吸収スペクトル、発色団と助色団で、紫外可視吸光度測定法について見ました。今回は蛍光光度法について見ていきたいと思います。
蛍光光度法は、紫外可視吸光度測定法の逆のようなイメージであり、その原理は次のようになります。
蛍光物質の溶液に特定波長域の励起光を当てたときに、π電子などの電子が励起状態となります。励起状態となった電子は基底状態に戻る時にそのエネルギーを光として放射します。この放射する光は電子状態の差によって、蛍光とりん光という2つにわけられます。
蛍光は励起一重項状態から基底一重項状態に戻る時に放射される光です。難しいので直帰するときに出てくる光と思ってください。蛍光に対してりん光は、励起一重項状態から励起三重光状態になり、そこからさらに基底一重項状態に戻る時に放射される光です。りん光は回り道をする時に出てくる光と思ってください。このイメージからもわかるように、蛍光の方がりん光に比べて波長が短く、また発光時間は短いです。
蛍光光度法はこれらの強度を測る方法です。
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蛍光光度法の装置は以下のようなものからできています。
蛍光光度法の光源には、キセノンランプ、レーザー、アルカリハライドランプなどが用いられます。
蛍光光度法の分光部にはモノクロメーターが用いられます。
蛍光光度法の試料部には、1cm×1cmの四面透明の無蛍光の石英製セルを用います。この理由としてはガラス製のセルでは紫外部の光を吸収してしまうため不適だからです。
蛍光光度法の検出部の注意点としては、励起光に対して検出器を90°に置くことです。この理由としては検出器をまっすぐに置いたら、紫外可視も検出してしまい蛍光との差がわからなくなってしまうため90°に置く必要があります。
蛍光強度は溶液の濃度、温度、pHなどに影響を受けたり、測定溶媒によるレイリー散乱光やラマン散乱光の影響を受けます。
普通は蛍光分子のみにぶつかりますが、中には溶媒分子にあたるものもあります。こうした時に励起光と同じ振動数の光が散乱される現象をレイリー散乱と言います。レイリー散乱に対してラマン散乱は違う振動数の光が散乱されます。
蛍光光度法のスペクトルには以下の2つがあります。