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前回の非水滴定、キレート滴定では非水滴定とキレート滴定を見ました。今回は沈殿滴定です。
沈殿滴定は、名前の通り沈殿を利用した滴定で、特に銀を利用した沈殿が行われます。沈殿滴定は、銀がハロゲン化物(フッ素以外)、シアン化物イオン(CN-)、チオシアン酸イオン(SCN-)などと反応して沈殿します。沈殿滴定は、指示薬や標準液の違いで主に以下の2つにわけられます。
Fajans法(ファヤンス法)は、ClやIなどのハロゲンを含んだ化合物に硝酸銀を反応させることでコロイドを作り沈殿させる方法です。
塩素含有化合物の場合を見てみましょう。たくさんあるClは、フルオレセインナトリウムのナトリウムとくっついたり、硝酸銀の銀(Ag)とくっついたりします。その結果ナトリウムがとれたフルオレセインはひとりぼっちとなります。このひとりぼっちとなってしまったフルオレセインが黄緑色をしているため、反応前は黄緑となります。
しかしその後硝酸銀を加え続けることで、ひとりぼっちだったフルオレセインと銀がくっつきます。このフルオレセインと銀がくっついたものが赤色をしているため、終点では赤色となります。
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Volhard法(フォルハルト法)は、過剰の硝酸銀標準液を加えて、余った銀イオンを酸性溶液でFe3+を指示薬としてチオシアン酸塩の標準液で滴定します。例えば、銀を含んだ化合物に対して、硫酸アンモニウム鉄を指示薬、チオシアン酸アンモニウム液を標準液として滴定すると赤色となります。
ここでかなりマニアックですが、塩素(Cl-)をVolhard法(フォルハルト法)で定量する場合について見ていきます。
Cl-が、AgNO3と反応することで、AgClができます。一方で、AgNO3とSCN-と反応することで、AgSCNができます。
AgClの溶解度積は、AgSCNに比べて大きいため逆滴定をした時にAgClが溶解してしまいます。つまりAg+とCl-となってしまい、AgCl由来のAg+とSCN-が反応してしまいます。これを防ぐためには以下の2つの対策方法があります。
かなりマニアックではありますが、国家試験にも出たことがある内容なので簡単ではありますが、載せておきました。