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前回の蛍光光度法のまとめでは蛍光光度法について見ました。今回は、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)測定法について見ていきたいと思います。
原子間の結合は、原子間の伸び縮みや結合角の変化によって振動しています。この振動数と等しい振動数の赤外線が照射されることで、その光の一部が吸収されます。赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)測定法の原理は、この原子核間の振動状態の変化による赤外線の吸収を利用しています。
赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)は横軸に波数、縦軸に透過率などが用いられ、波数4000〜400(cm^-1)、波長に換算すると2.5〜25(μm)の範囲で測定されます。なおこの数字も波数だけ覚えれば換算できるので、波長は無理に覚えなくていいと思います。
一応波数4000から波長2.5の換算方法として、以下に記載します。求める波長をxとすると、
x=1/4000(cm^-1)
x=1/4000(10^-2)^-1(m^-1)
x=1/400000
x=0.25×10^-5(m)
x=2.5×10^-6(m)
x=2.5(μm)
となります。
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さて、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)ですが、これは官能基の情報を知るのに役立ち、特定の官能基は決まった波数の位置に谷(山?)が現れます。国家試験では没問を作るわけにはいかないので、マニアックな官能基やわかりにくい微妙な位置の波数の赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)は出てきません。覚えておく赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)には以下のようなものがあります。
本当は他のページでたまにある例題編を書きたかったのですが、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)はグラフも構造式も煩雑なので割愛します(笑)代わりに簡単なものを1つ見てみましょう。
例えば、以下のような構造式を持つ場合の赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)は次のようになります。
赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)において、3200以上に吸収が見られることから、水酸基(OH)の存在が推定されます。そして、1700あたりに吸収が見られないためカルボニル基(C=O)の存在がないことが推定されます。だいたいの問題は、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)から水酸基(OH)と、カルボニル基(C=O)の有無などで構造式を選べる問題となっているので、消去法などで解きましょう。